林家一門の襲名ビジネス
素直に喜んでおられる向きもあろうが、その反面、苦々しい思いで見ている落語フアンもおられるだろう。例の林家いっ平の「二代目林家三平襲名」騒ぎだ。
兄の林家正蔵の跡をたどるように、金をかけてド派手な演出でメディアへの露出を増やし、世間の注目を集めるという林家一門の商法は、わたしの様な人間からすれば「洒落ンならねぇ」のだ。
一昨日に行われた襲名披露パーティにしても、まるで人気タレントの結婚式か、政治家の資金集めパーティのような雰囲気だった。
とりわけ目を引いたのは、海老名美どりと泰葉姉妹の不仲と仲直りの過剰演出である。TVカメラもセレモニーより、専らこの二人の映像ばかり流していた。
もしかすると、小朝と泰葉の離婚騒動も、元々は三平襲名に向けた仕込みだったのではないかと疑ってしまう。
それでも内容を伴っているのであれば、納得がいくのかもしれない。
あるTVレポーターが、「林家三平という大名跡を継いで」と紹介していたが、三平は決して大名跡ではない。
初代の林家三平は愛嬌があり、観客の心をとらえるのが巧みで、お笑い芸人としては優れていた。しかし落語家としてはどうだろう。
いわゆる名人上手とは程遠い存在で、その証拠に彼のライブ録音はあまり残されていない。多分、いまCDで聴いてもちっとも面白くないだろう。どちらかというと、雰囲気の芸人なのだ。
実物の高座をライブで見たという人は少なく、「昭和の爆笑王」というキャッチコピーだけがイメージとして残されているような気がする。
二代目三平を襲名する林家いっ平だが、今のところ見るべきものがない。あの舌足らずの喋りは、どうも落語という芸能に向いていないのではなかろうか。
襲名を控えて古典にも力を入れ始め、以前よりはまともな高座になってはいるが、前途はあまり明るいとは思えない。
話題性で一時期は盛り上がっても、実力が伴わなければ人気は下がる。
実力が伴わないから、せめて派手な演出でという意図も分からないではないが、「あざとさ」ばかり目立つようだと、かえってフアンは白けてくるだろう。
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小朝「21世紀最大の無駄遣いにようこそ」貴乃花親方「ご兄弟いつまでも仲良く」週刊誌によれば、です。
たしかに興業先行の感は否めませんね。それにしても、いっ平が38歳というのには一寸驚きました。童顔ゆえそのようには見えません。
近い世代には、古今亭 菊生、林家 彦いち、三遊亭 金八、隅田川 馬石、古今亭 菊志ん、
春風亭 柳朝、柳亭 左龍などなど。
そのあたりとの切磋琢磨がほしいですね。
投稿: 福 | 2009/03/16 20:33
福さま
コメント有難うございます。
現在、落語家のアラフォー世代は優秀な人材が揃っていて、名前を上げられた噺家と比べても、いっ平の今の実力では劣っています。
襲名を機に化ける人もいるので、それに期待はしたいですが、果たしてどうでしょうか。
投稿: home-9(ほめく) | 2009/03/17 10:05