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2009/04/20

「落語101」百榮も萌え

4月19日横浜のげシャーレ(にぎわい座地下小ホール)で、第一回「落語101」が行われた。ネーミングから察しがつくように春風亭百榮と春風亭一之輔の二人会である。
若手の人気者の会とあって前売りは完売。客席は若い人から年配者まで幅広い層で埋まっていた。
この会は、元々一之輔から声をかけて実現したとのこと。確かに二人並ぶと、二ツ目の一之輔の方が先輩に見える。古典に限れば芸も一之輔が一枚上だろう。次代を担うホープであるのは間違いない。
この二人会、当初から5-6回と決めているのだそうで、理由は二人会を永く続けているうちにお互い仲が悪くなることがあるのだそうだ。

前座・春風亭朝呂久「狸賽」

Momoe・百榮「生徒の作文」
新作落語の古典ともいうべきネタだが、今は百榮が十八番(おはこ)としている。
百榮のチョットと呆けた味が、この演目と良く合うのだろう。とにかく面白い。聴いたことがない向きには一聴をお薦めしたい。
生徒の名前は演じる噺家の工夫になる。百榮は“S”の生徒を「千草忠夫」と名付けていたが、会場から反応がなかったのは残念。ご存知SM文学の巨匠である。あれなら「団鬼六」の方が観客に分かりやすかったかも知れない。

Ichinosuke・一之輔「あくび指南」
色っぽい女師匠を目当てに稽古に行くと、出てきたのはその亭主の男。さぞガッカリかと思いきや、一度あくびの稽古をつけて貰うとすっかりハマルが、さっぱり上手く行かない。
風流なあくび指南役と、そそっかしい江戸っ子の職人、この対比がネタの成否を決めるが、一之輔は独自のクスグリを入れて、とても面白く聴かせてくれた。
このネタをこれだけに仕上げるというのは、大した力量だ。
二ツ目には勿体ない。早く真打に昇格させたらどうか。

~仲入り~
・一之輔「花見の仇討ち」
マクラで本来は時節にあったネタだが、今年は桜が早咲きで時期遅れになってしまったという前置きから本題へ。
二席目はあまり手を入れず、オーソドックスな演出だったが、骨格のしっかりとした「花見の仇討ち」となった。この日の敵役の名前は「鈴々舎馬風」。

・百榮「寝床」
終わりに百榮は「素人義太夫でございました」と言っていたので、近ごろはそういうタイトルも使っているのだろうか。
「寝床」といえば名人文楽の極め付けと相場が決まっているが、志ん生の演出は違っていた。
文楽のほうは、義太夫の会に誰も来ないのに腹を立てた主人を、番頭が気を利かせて長屋の住人を説得して参加させ、主人の機嫌を直していくという演出。
志ん生のほうは、店立てをくった長屋の住人が全員で集まって善後策を講じている所に、番頭が来るという演出。この場で、住人や奉公人が、いかに主人の義太夫で苦しんできたかのエピソードが語られ、「寝床」のオチはカットされる。
どちらかのスタイルを選ぶかは噺家により、例えば橘家円蔵は文楽スタイル、亡くなった志ん朝は両方ともに演じていた。
百榮は志ん生スタイルで演じていた。未だ粗削りで完成度は低いが、これから磨いていく中で、百榮独自のクスグリも入って、新しい「寝床」に仕上るのではなかろうか。

隣席の(私より)年配のご婦人と言葉を交わしていたら、先日、桂小金治の独演会に行ったとのこと。感想を聞いたら「春風のようでしたよ」と述べておられた。
実にうまい表現だと、ただただ感心。

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