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2009/05/18

「喜劇・日本映画頂上決戦」@青山劇場

正式には「伊東四朗一座・熱海五郎一座合同公演『喜劇 日本映画頂上決戦~銀幕の掟をぶっとばせ!~』」という長~いタイトルの公演が、東京・青山劇場で行われていて、5月17日昼の部を観劇。
伊東四朗が中心となり「東京の笑い”軽演劇”」を伝えようと2004年に旗揚げしたこのシリーズ、今回は三宅裕司こと熱海五郎の一座を加えた合同公演。ゲストに歌手の小林幸子とベテラン中村メイ子を迎え、賑々しい顔ぶれとなった。

作:妹尾匡夫
演出:伊東四朗 三宅裕司
~出演者~
伊東四朗
三宅裕司
渡辺正行
ラサール石井
小宮孝泰
小倉久寛
春風亭昇太
東貴博
伊東孝明
河本千明
中村メイコ
小林幸子
ほか

大正から昭和の時代にかけて、東京に軽演劇とよばれる喜劇があって、古くはエノケンやロッパ、戦後になると渥美清やてんぷくトリオなどの数々のスターを生み出してきた。森繁久弥も元々はボードビル出身だ。彼らは映画やTVの世界に進出し人気者になっていくが、本家の軽演劇は次第に勢いを失っていく。
その時代を生きてきた伊東四朗が、その時代を知らない三宅裕司や小倉久寛らと共に、もう一度東京に軽演劇の火を灯そうというわけである。
IT時代だからこそ、人々は生身の人間の演じる舞台に引き寄せられるという願いなのだろう。

ここで今回の芝居のテーマになっている五社協定について説明しておきたい。
五社とは映画全盛期に存在した5つの映画会社(他に新東宝があった)であり、お互いに専属俳優やスタッフは他社の映画に出演や参加ができないとする協定を結んでいた。
監督も同じで、小津安二郎は松竹、黒澤明は東宝、溝口謙二は大映という具合だった。
人気俳優の引き抜きでは、時に刃傷沙汰になることもあった。
例外的に他社の映画に出ることはあったが、それは所属する会社の了解があった場合に限られた。
今でもレコード会社は、専属契約制度を続けている。

五社協定は映画俳優の活動の自由を縛るということで、数々のトラブルが起きたが、反面、映画各社の特色がハッキリ出るという側面もあった。
松竹:ホームドラマ&メロドラマ
東宝:都会派ドラマ
大映:文芸大作
東映:時代劇&任侠もの
日活:無国籍アクションもの
新東宝:お色気もの
とまあ、ざっとこんな風だった。 
良くも悪くも、全盛期の映画界を支えた制度だったといえる。

劇中、当時の映画界のエピソードがいくつかとりあげられていた。
戦前の宝塚の大スター・ターキーこと水の江滝子が、石原裕次郎のプロデューサーだったことや、黒澤明が映画「天国と地獄」のロケで、撮影の邪魔になるといって家を一軒立ち退かせたことなど。
新東宝の大蔵貢社長の「女優を愛人にしてはいけないが、愛人を女優にしてなにが悪い。」という名セリフも、劇中で使われていた。

芝居は徹底したドタバタ劇で、これでもかこれでもかと笑わせてくれる。
セリフが出なかったり間違えたりという場面もあったが、それをもアドリブで凌ぎながら、むしろ楽しんでいた感がある。幕間も出演者が出てきてショートコントでつなぐなどサービス満点。
中村メイ子が往年のヒット曲「田舎のバス」を披露したり、コント赤信号がかつてのコントを演じて見せたり、小林幸子が紅白ばりのスペクタルな舞台装置で歌い、客席は大喜びだった。
ドタバタ喜劇というのは時代を越えた普遍的なエンターテイメントであることを改めて認識させられた。

公演は30日まで。

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コメント

はじめまして!
私も昨夜観に行ってきました。
この一座の舞台は全部観に行ってますが、
劇場を出たら、「何で笑ってたんだろね」
って感覚になるのが軽演劇の魅力かと。
やっぱり、笑うっていいですね。

うにに様
コメント有難うございます。
本当に楽しいお芝居で、私もずっと笑い続けていました。
理屈抜きで楽しめるというのが軽演劇の特徴ですが、映画全盛期のエピソードも散りばめられていて、懐かしさを憶えました。
小林幸子の歌が聴けたのも、なんか得をしたような気分でした。

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