国立演芸場6月中席(千秋楽)
6月20日は国立演芸場中席の千秋楽に出向く。
近ごろは1-2ヶ月前に前売りを買うことが多く、行く段になってチケットを入手した理由を忘れてしまうことがある。
この日も小屋の入り口で出演者の顔付けを見ても、理由が思い出せない。認知症のハシリかしらン。
多分、芸協の寄席にしばらくご無沙汰していたので、久々に聴きに行こうと考えたのだろう。
土曜日の昼席で団体が一組入っていたにしては、やや入りが寂しい。
芸協は若手真打に大名跡を継がせる方針ととっているため、名前を聞くと懐かしい気分になる。
先代の圓遊は華のある陽気な高座で、「堀の内」など軽めのネタを得意としていた。
先代の昔々亭桃太郎は新作専門で柳家金語楼の実弟。
今もしばしば高座に掛けられる「新聞記事」は先代の作だ。戦前は大変な売れっ子で、東條英機が大フアンだったことでも知られている。人気のピーク時に兵役に取られた上シベリア抑留が重なり、後年は不運だった。
私が高座でみたころは往年の勢いは薄れていたが、とても上手い噺家だった。
そんな先代の芸風と比べてみるのも、オールドフアンの楽しみの一つだ。
<前座>春風亭昇也「たらちね」
春風亭べん橋「引越しの夢」
林家花「紙切り」
春風亭柳之助「ちりとてちん」
東京丸・京平「漫才」
三遊亭圓遊「淀五郎」
―仲入り―
北見伸&スティファニー「奇術」
三遊亭遊雀「熊の皮」
鏡味八千代・初音「曲芸」
昔昔亭桃太郎「ぜんざい公社」
前座の昇也は元々が漫才出身だそうだが、語りがしっかりしている。だた頻繁にカムのが気になった。
柳之助の「ちん」だが、料理を食べるシーンが上手い。特に虎さんがちりとてちんを食べた後のしぐさが秀逸。良い出来だった。
圓遊の「淀五郎」は熱演ではあったが、全体に急ぎすぎ。こうしたネタはじっくりと演じないと客が感情移入できない。
遊雀は得意のネタで、客席を沸かせていた。
桃太郎の「ぜんざい公社」は何回目になるだろうか、この日が一番良かったように思う。マクラもいつもより面白く感じた。
色物は元々芸協は定評がある。この日も様々な芸人が登場し、特に北見伸&スティファニーのイリュージョンマジックは落語協会の高座では見られない。
落語に関してはとかく落協との格差が指摘されるが、この日のラインナップであれば全く遜色がない。
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