柳家権太楼独演会(6/6)@横浜にぎわい座
雨の残る6月6日、横浜にぎわい座の「柳家権太楼独演会」に出向く。土曜日ということもあり、補助席も出る一杯の入り。
今、活躍している代表的な落語家を1人上げよと問われたら、迷うことなく権太楼と答える。同感してくれる人も多いだろう。
大看板になると滅多に寄席に出ない芸人も多い中で、この権太楼とさん喬は常にどこかの寄席に出ている。今月の上旬も新宿末広亭と池袋演芸場を掛け持ちし、その合間にこの日のような独演会も開く。
年間で600席公演しているというが、ウソではない。
コアの落語フアンを寄席に引きつけてきた権太楼の存在がなければ、今の寄席ブームは起きなかったに違いない。
権太楼の芸風の特長は、先ず明るいということだ。
出てくるだけで小屋全体がパッと明るくなる、これは寄席芸人にとってはとても大切なことだ。
第一、顔がいい。初めて寄席に来た人でも、この人の顔をみるだけで、「きっと面白いんだろうな」と期待してしまう、そんな顔である。
「よぉし、やるぞ」と風に高座に上がってくる姿が良い。
落語家は、噺に入る前が既に勝負なのだ。
レパートリーが広いというのも権太楼の特長だろう。
得意の滑稽噺から長講の人情噺までこなすし、古典一筋かと思うと新作を演らせても上手い。
この点は、師匠である先代小さんを上回っている。
それと、何より芸が若々しい。
この日の「粗忽の釘」だが、柳家の伝統を継ぎながら随所に独自の演出を加えている。いま発売されているCDと比べても、転居先が分からなくなった男が、お巡りさんに連れてきて貰うという具合に変えている。
権太楼節絶好調で、場内は爆笑の連続だった。
マクラで、5日の寄席では末広亭はガラガラで客のテンションが低く、そういう時の芸人はあまり勝負をしないのだそうだ。一方池袋演芸場は満員で高座も客席もテンションが高かったというエピソードを振りながら、これが本題の「お菊の皿」に生かされていく。
観衆が増えてくるに従って、お菊の幽霊のしぐさが次第にクサクなっていくところが笑わせる。
前半、休憩なしに連続口演した「厩火事」も決して手を抜かず、サービス精神満点の独演会であった。
他にゲストのWモアモアの伝統的なシャベクリ漫才が場内を沸かしていた。
柳家小んぶ 「初天神」
柳家小権太「のめる」
柳家権太楼「お菊の皿」
柳家権太楼「厩火事」
~仲入り~
Wモアモア「漫才」
柳家権太楼「粗忽の釘」、
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