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2009/07/12

「児童ポルノ法改正案」は天下の悪法だ

児童ポルノは絶対にイカン、だから持っているだけでも処罰しよう、一見すると誰もが反対できない法案のような気がしてしまう、これが実は恐いのだ。
未だ国会で審議中で、ようやく与党と民主党が合意に達したと報道されている「児童ポルノ法改正案だ」だが、既に捜査当局は改正を先取りした動きを始めている。

ネットの掲示板に児童ポルノのサイトにリンクを張ったとして、書き込み者と開設者を摘発される例がおきている。
7月8日に神奈川県警は、海外の児童ポルノ動画サイトのアドレスを書き込んだ男3人を児童ポルノ禁止法違反(公然陳列)の疑いで逮捕し、掲示板を08年8月に開設した大学生を同法違反(公然陳列ほう助)の疑いで書類送検した。
逮捕者のうち2人は、すでに罰金50万円が確定しているという。
国内の有害サイトでは前例があるそうだが、海外のサイトで摘発されたのは初めてだ。
URLは単なる文字の羅列であり、それがなんで公然陳列になるのか。
「クリックすれば児童ポルノにつながり、誰でも見られます。だから、公然陳列罪に当たるということです」
神奈川県警の少年捜査課はこう説明している。

もしリンクを貼っただけで、有害サイトのURLを表示しただけで有罪になるとしたら、どうだろうか。
・検索サイトの表示の中に有害サイトが含まれていれば、そうした検索サイトの管理者も有罪ではないか。
・サイトのコメント欄やトラックバック欄にしばしば有害サイトからのアクセスがあるが、削除しない限りこの場合もサイトのURLは表示され続ける。これも有罪になるのだろうか。
特に後者の場合、見かけ上はいかにも普通のサイトを装いながら、実際にアクセスすると自動的に有害サイトに接続される悪質なものも現れている。
HPやブログを運営していたら、いつの間にか加害者になっていたという可能性も出てくるわけだ。

初めに法律を作った段階では、まさかリンクを貼っただけで、URLを表示しただけで逮捕されることなど、誰も予想していなかったはずだ。
法律というのはいったん成立してしまうと、どんどん拡大解釈されてゆく、これが恐い。

肝心の「児童ポルノ法改正案」だが、先ず現行の「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」の条文の中で、児童ポルノを次のように定義している。
【引用始め】
3  この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一  児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二  他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三  衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
【引用終り】

特に三号の定義 「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」、これが問題になる。裸でなく衣服を着けていても、その画像が性欲を興奮または刺激すると判断されれば、それはリッパな児童ポルノになってしまう。
なおここでいう「児童」とは18歳未満の者(男女を問わず)全てを指している。
18歳未満で活躍している俳優やタレントは沢山いるが、彼女(彼)らの写真や映画、ビデオなどの作品も、見た者が性的に興奮すればそれは児童ポルノなのだ。

今回の改正案のポイントは、児童ポルノの「単純所持」を処罰の対象とする、つまり持っているだけで犯罪になるというものだ。
前回の記事に紹介したように、この法律が既に存在しているアメリカでは、自分の子供が入浴した時の写真を現像に出しただけで逮捕されるという事件も起きている。
こうした「自発的所持」とは別に、今回の審議でも問題になっている「受動的所持」がある。
もし受動的所持も処罰されるとしたら、
・パソコンでネットサーフィンしていて、たまたま児童ポルノがある画面に行き当たったりすれば、キャッシュや履歴としてハードディスクに残ってしまって「所持」
・送られてきたメールに児童ポルノの画像が添付されていれば、受信した瞬間に「所持」
・郵便物は、自宅のポストに配られた段階で「所持」
・誰かがあなたのバッグの中に児童ポルノを入れたとしても、これも「所持」
誰もが犯罪者となりうる。
受動的所持を対象から外す案も検討されているようだが、これとて自発的か受動的かはその時の捜査当局の判断次第だ。

16歳の少女と淫行した人物を平身低頭して立候補を懇願している自民党や、度重なる反社会的行為で摘発を受けている統一教会が、以前から熱心にこの法改正を推進していることも、妙にウサン臭い。

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