「ウエスト・サイド・ストーリー」@オーチャードH(8/1昼)
誰にも青春の思い出と切り離せない、心に残る映画というのがあるだろう。
私の場合は「ウエス・トサイド物語」がそれだ。社会人成り立てのころ、初めて自分の給料で観に行った映画だ。それまでのミュージカル映画の概念をくつがえすような映像の連続で、感動と同時に衝撃を受けたことを覚えている。
1960年代の若者文化(当時は私だって若者だった)に最も大きな影響を与えたのは、この「ウエスト・サイド・ストーリー」とザ・ビートルズの出現だろう。
現在ブロードウェイ・ミュージカル“WEST SIDE STORY”の来日公演が行われているが、8月1日Bunkamuraオーチャードホールの昼の公演に出向く。
初演が1957年なので50周年記念ツアーと称した公演だ。
観客も若い人にまじって私と同様の年配者が目に付いたのは、やはり映画の影響だろう。
原案 ジェローム・ロビンス
脚本 アーサー・ロレンツ
音楽 レナード・バーンスタイン
演出・振付 ジェローム・ロビンス
以上はオリジナルのスタッフで、今回は次の通り。
音楽監督・指揮 ドナルド・ウイング・チャン
演出・振付 ジョーイ・マクニーリー
<主なキャスト>
スコット・サスマン(トニー)
ケンドール・ケリー(マリア)
エマニュエル・デ・ヘスース(ベルナルド)
マイケル・ヤブロンスキー(リフ)
オネイカ・フィリップス(アニタ)
なお、トニーとマリアはダブルキャストである。
ストーリーは、
1950年代の米国NYのダウンタウンが舞台。
人種の違いから対立する二つの不良グループ「ジェット団」と「シャーク団」、その「ジェット団」の元リーダー・トニーは、現リーダー・リフと共にダンスパーティーに出かける。
そこでトニーは美しい少女マリアに出逢い、恋に落ちる。 しかしマリアは対立する「シャーク団」のリーダー・ベルナルドの妹だった。
その夜、リフはベルナルドに決闘を申し込む。 トニーはマリアに頼まれて決闘をやめさせようとするが、その結末には悲劇が待ち受けていた・・・。
いうまでもなく、シェイクスピアの名作「ロミオとジュリエット」の世界をNYマンハッタンに置き換えたものだ。
半世紀経っても話が色あせないのは、物語に普遍性があるからだろう。
さて舞台の方だが、先ず瞠目すべきは群舞の素晴らしさだ。
決闘やダンスパーティー・シーンでの集団の踊り、それに「アメリカ」「クール」「アイ・フィール・プリティ」など有名な曲にのせて踊るシーンは圧巻だ。
ダンスではアニタ役のオネイカ・フィリップスの大きな踊りが光る。
舞台装置の工夫にも感心した。休憩時間以外の場面転換は途切れることなく続けられる。無機質的な立体の装置と背景のスクリーンを駆使し、荒々しい場面からロマンチックな場面まで表現していた。
ただトニーとマリアの主役陣が今一つだったように思う。その結果、「マリア」の詠唱や「トゥナイト」のデュエットが心に響いてこない。
ダブルキャストなので、もう一組の配役の方を観たらまた印象が違っていたかも知れない。
ブロードウェイ・ミュージカルといっても、来日メンバーが果たしてどのレベルの役者を揃えたのかという疑問があるが、この作品に関しは映画の方が遥かに良く出来ていたように思う。
東京公演は9日まで。
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