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2009/08/15

立川志らく&下町ダニーローズ“演劇らくご『鉄拐』”(8/14.15p.m.)

立川志らく率いる劇団「下町ダニーローズ第11回公演」は、“演劇らくご『鉄拐』”に挑戦している。
師匠談志の得意ネタ「鉄拐」を、
一部:古典落語「鉄拐」立川志らく
二部:「上海極楽(パラダイス)~鉄拐後日談~」
という構成で上演するもの。

劇団のHPによれば、今回の公演の意図を次のように語っている。
<志らくが落語を語り、その落語の登場人物がビジュアル化して新たなイリュージョンの世界をつくりあげる、それが「演劇らくご」。>
<落語家による落語の新たな境地。>
後半の演劇については、脚色・演出・タイトルロール:立川志らく。
劇場は新宿紀伊國屋ホールで、8月14日15時の部を観劇。

落語の「鉄拐」のストーリーは
時は戦前の支那、場所は上海のリトルトーキョー・虹口(ホンキュウ)。毎年8月末に大宴会を催している上海屋唐右衛門だが、余興の芸人の種が尽きてしまい、番頭・金兵衛に仙人鉄拐をスカウトさせる。
鉄拐の「腹からもう一人の自分を出す」芸は大ウケで、それを機にすっかり人気の芸人になってしまう。やがて同じ芸ばかり繰り返す鉄拐は飽きられる。
金兵衛は再び仙郷に行って、今度は仙人張果老を上海に連れてくる。張果老の「瓢箪から駒(馬)を出す」芸に人気が集まり、客を取られた鉄拐は張果老の馬を腹に入れてしまうが....。
故事によれば下の図のように左の鉄拐が瓢箪を持ち、右の張果老はロバ(紙で小さくたためる)に乗っているが、これは落語の世界だからヤカマシイことは言わず。
後半の芝居は、この鉄拐と張果老二人の仙人がそのまま上海に残る。日中戦争が激しさを増す時代の中で、鉄拐仙人の運命やいかに・・・。
Tekai_2

先ずは志らくの落語「鉄拐」、いつもと全く違う雰囲気の中での高座はやり難かっただろうが、これが実に面白い。
落語の世界には珍しく舞台が支那(中国)の上海、それも仙郷に住む仙人を連れてきて芸をさせるという奇想天外の作品だ。
志らくは随所にクスグリや楽屋落ちをかましながら、スケールの大きな世界を描いてみせた。

後半の芝居であるが、確かに柳亭市馬の美声に酔い、ゴンゾーのタンバリン芸に感心し、北原佐和子の可愛らしさ(失礼ながら40代半ばですよ)にウットリした。
しかし芝居全体の出来はというと、いささか疑問符が付く。
(1)この演劇を通じて客に何を訴えたかったのか、そこが伝わってこない。これだと観客は「アー、面白かった」で、帰りに新宿駅に着く頃にはもう忘れているのではなかろうか。
(2)話芸におけるリアリティと、芝居の世界でのリアリティは異なる。落語の世界なら問題にされないが、例えば同じ日本語をしゃべっても、日本人のそれと中国人の話す日本語とでは、アクセントが全然違う。芝居の世界ではこうしたことが問題とされてしまう(外国の翻訳劇の場合は別だが)。
(3)勧善懲悪、悪は滅び善人は皆ハッピーエンドを迎えるという結末だが、安易過ぎてはいまいか。「鉄拐」の続編というなら、もう少し捻ったオチがあっても良かったと思う。

蛇足になるが、途中の休憩時間が無いので、開演前にトイレを必ず済ませておいた方が良い。
公演は17日まで。

=出演者=
立川志らく
なべおさみ
北原佐和子
森口博子
岩間沙織
柳亭市馬
竹本孝之
入江若葉
唐沢民賢
柳家一琴
ゴンゾー
酒井莉加
ロリィタ族
松尾マリヲ
落合哲郎
KIYOMI
原田果奈
樋口祐子

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