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2009/08/16

三遊亭遊雀勉強会・葉月会(8/15)@お江戸日本橋亭

Yujakuお江戸日本橋亭での三遊亭遊雀勉強会、葉月会は8月15日に行われた。
演目は「牡丹灯籠」。
以前はお盆の寄席というと怪談噺がつきものだったが、最近めっきり減ったのは季節感、つまりどこに行っても冷房が効いているので、ヒヤッとする必要がなくなったせいだろうか。
でも怪談噺はこの季節独特のものなので、一度は聴いておきたい。そんな訳でお盆の中日に出向くことになった。
日本橋亭はコジンマリとした小屋で演者と客席が直ぐ間近なので、全体が家族的雰囲気に包まれていて、私は好きだ。
しかし演者からみたらどうだろうか。ウケている時は気分も良いだろうが、スベッてしまった時は逃げ場がないだろう。そういう意味では恐い面があるのだと思う。
一杯の客席は女性が目立つ。
かつては男は寄席、女は芝居と相場が決まっていたが、いよいよ男どもの居場所がなくなってきつつある。

普段の落語会と異なり、公演の前後に遊雀がホワイトボードを使って、「牡丹灯籠」全体のストーリーと登場人物を解説してくれた。
これはとても親切で良い企画だった。こういう長編のネタは、全体像の解説がないとなかなか理解しづらい。客席もまるでゼミに参加したような気分で、しきりに感心していた。

三遊亭遊雀「お札はがし」
ストーリーの解説を終えたそのままの高座でネタに入ったが、縁者も客席も怪談モードに切り替わっていない。そのギャップが滑り出しに出ていた。ここは一度楽屋に戻り、改めて高座に上がった方が良かったのではなかろうか。
手元に春風亭小朝の「お札はがし」のCDがあるが、出囃子をわざわざ静かな曲調に変えている。
牡丹灯籠の中でもこのパートは、一種の青春ドラマでもある。
遊雀の演出は、女中お米や伴蔵・お峰夫婦の人物像はクッキリと描かれているが、新三郎とお露二人の初々しさが伝わってこない。
反面、後半の伴蔵らが百両で買収され、新三郎を死に追いやる場面になると俄然盛り上がった。

~仲入り~
三笑亭可龍「お菊の皿」
三遊亭遊雀「お峰殺し」
「お札はがし」では女房の尻にしかれて悪事をそそのかされていた伴蔵が、ここでは一転して真の悪党の本性を表す。
そのきっかけになるのが、伴蔵が酌婦・お国を妾同様にしていたのを、女房・お峰に追及されたことだ。
最初はトボケ、バレルと平謝りし、許されないと知ると居直って脅し、最後は適当なウソを言ってまるめこむ。こういうパターンは現在でも浮気がばれた亭主の常套手段なんでしょうね、経験が無いので分からないけど。
しかし伴蔵は、ここではっきりとお峰への殺意を固める。
このパートの登場人物は悪者ばかり。新三郎殺害の時には迷い躊躇していた伴蔵の変貌を、遊雀は見事に表現していた。迫力が客席にも伝わってきた。

三遊亭遊雀「船徳」(おまけ)
怪談噺の後は賑やかに寄席の踊りというのが定番だが、その代りに軽い噺でと言いながら始まったのが「船徳」で、客席からエーっという反応が返っていた。
いうなれば「船徳」高速ヴァージョンで、通常の3分の1位の時間で演じたのだが、これが面白かった。
完全に遊雀ワールドに入ってしまい、場内は爆笑の連続。隣の席の男性はそれまで全く笑わなかったのが、ここでは大喜びしていた。
徳三郎が船を漕ぎ出す前に見得を切るギャグが秀逸。

独演会としての魅力が溢れた会だった。

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コメント

大変に御無沙汰をいたしております!
いらしていたのですねぇ~
ホワイトボード解説なども含めて、
遊雀師テイストな会だったように思います。

私も、お札はがしの前に一度引っ込めばいいのに?と思ってしまいました
なんとなく、聴く側の気持の転換が出来ないままに入ってしまったのが、
ちょっと残念だったかしら?

でも、最後の爆笑で、スッキリ!
終演後のビールがさらに美味しく頂けました(笑)

投稿: 築地の柳 | 2009/08/17 23:40

築地の柳さま
こちらこそご無沙汰で恐縮です。
柳姐さんと違ってあまり熱心でない落語フアンなもので、記事のペースもすっかり落ちていました。
遊雀がホワイトボードを後ろに回し眼鏡を外して「それでは・・・」と始めた途端、客席から小さな「エー・・・」が聞えました。聴き手にも違和感があったのは確かでしょう。僅かな時間のことですから、惜しい気がしました。
ただ解説そのものは、とても良い企画でした。
「船徳」はビックリしましたね。文楽も志ん朝もぶっ飛んだ演出でした。
次回も楽しみにしています。

投稿: home-9(ほめく) | 2009/08/18 18:22

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