近ごろ捜査情報のリークがひどすぎないか
東京地方検察庁は酒井容疑者が覚せい剤を隠し持っていたことが裏付けられたとして、28日中に覚せい剤取締法違反の罪で起訴する方針を固めたもようだ。
ここのところ酒井法子容疑者に対するマスコミの報道は過熱する一方で、スポーツ新聞などは「酒井法子」新聞と化し、TVのワイドショーはまるで「酒井法子」ショーと化している有りさまである。
報道内容の大半は各社が捜査関係者から聞きだしたもので、事実かどうかの検証がないまま情報を垂れ流している。
こうした捜査関係者でしか知りえない情報を非公式な形でリークするのは、明らかに公務員の守秘義務に違反している。
公務員には法律で守秘義務が定められており、違反した場合は厳しい罰則がもうけられている。
その法律はどうなっているのか、以下に国家公務員法の規定を示すが、地方公務員についても同様の規定がある。
【公務員の守秘義務と罰則】
第百条 職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。
2 法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表するには、所轄庁の長(退職者については、その退職した官職又はこれに相当する官職の所轄庁の長)の許可を要する。
(3項以下省略)
第百九条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
十二 第百条第一項若しくは第二項又は第百六条の十二第一項の規定に違反して秘密を漏らした者
(十二以外は省略)
第百十一条 第百九条第二号より第四号まで及び第十二号又は前条第一項第一号(途中省略)に掲げる行為を企て、命じ、故意にこれを容認し、そそのかし又はそのほう助をした者は、それぞれ各本条の刑に処する。
要約するとこういうことだ。
(1)公務員が職務上知りえた秘密をもらしてはならない。これは退職した後も同様。
(2)違反した場合は、一年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる。
(3)秘密をもらすことを企てたり、命令したり、故意に認めたり、そそのかしたり、ほう助した場合も同罪。
この他に公務員としての服務違反で、免職などの厳しい処分もある。
捜査段階で本人がどのような供述を行ったというのは、文字通り取り調べにあたった警察官や検察官しか知りえない秘密情報だ。
漏洩が事実なら、関係者は厳正に処分されねばならない。
本来ならこうした違法行為を監視すべきマスコミが全くこれを問題とせず、それどころか秘密漏洩に積極的に手を貸しているのは解せない。
こうしたことが許されるなら、他の刑事事件でも捜査関係者は思いのままに捜査情報をマスコミに流し、情報操作が容易になってしまう。
特にこれから裁判員制度により一般の国民が裁判に参加するようになると、容疑者に不利な情報だけが報道され続けられるならば、その影響で偏った判断により判決が左右されないとも限らない。
歯止めをかける意味で、捜査情報にかかわる記事については全て、記者の名前を明らかにする署名記事を義務づけたらどうだろうか。そうすれば、無責任な報道はあるていど規制できると思われる。
有名人のスキャンダルやプライベートが日々暴かれるというのは見ていて楽しいだろうが、あまり面白がってばかりいられないのだ。
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毛髪検査だけでは起訴が難しいなんていう弁護士もいましたが
あっさり起訴されました
それを受けての事務所解雇なのでしょうが、遅きに失するような気がします
投稿: ニュースチェッカー | 2009/08/31 09:55
ニュースチェッカーさま
過去の判例からすると、0.008gの「所持」では無罪になった例があり、検察は当初かなり慎重になったのでしょう。
しかし「逃げ得を許すのか」という声と、なんといってもこの事件に対する世間の関心が異常に高いので、覚せい剤の「使用」を視野に入れながら起訴に踏み切ったのでしょう。
サンミュージック側も酒井法子はドル箱ですから手放したくはなかったでしょうが、これも起訴となった以上は、解雇は当然です。
だから会見も未練タップリな感じでした。
再犯がなければ、いずれ復帰させるつもりだろうと思います。
投稿: home-9(ほめく) | 2009/08/31 10:39