#92朝日名人会(9/19)@有楽町朝日ホール
9月19日東京有楽町朝日ホールで、第92回朝日名人会が行われた。売り出しから1ヶ月経っていたが、ダメ元で申し込んだらすんなりチケットが取れた。
最近、落語会のチケットの売れ行きが少し落ちているような気がするのだが、やや落語ブーム寄席ブームにも翳りが見え始めたのだろうか。
長期的に見れば、人気と実力が折り合ったところに落ち着くことになろう。
<当日の番組>
前座・古今亭志ん坊「子ほめ」
以前から主張しているのだが、こうした落語会に前座をあげる意味がどこにあるのだろうか。
前座の噺を聴きたいという客がいないのなら、やめたほうが良い。
・柳家三之助「棒鱈」
来春真打に昇進すると高座で発表、拍手を浴びていた。もともと実力は十分で、むしろ昇進が遅過ぎた感がある。
折り目正しい演出だったが、芸者にもう少し色気が欲しい。
・柳家花緑「猫久」
冒頭でこのネタは柳家のお家芸だと紹介していたが、師匠である先代小さんの芸にはほど遠い。
例えば熊五郎と侍のセリフが同じようなリズムになっていて、熊公のとぼけた味わいが利いていない。
一口にいえば低調な高座。
・柳亭市馬「御神酒徳利」
会場で配られたチラシによれば、このネタは二つのタイプがあるのだそうで、
一つは、三代目柳家小さんによる改定江戸東京版。
もう一つは、この日市馬が演じた三代目桂三木助の上方オリジナル版。
後者の方が時間が長く難しいようだ。
近年では圓生の名演が知られているが、市馬の高座はほぼ圓生の演出をなぞったものだ。
流れるような明解な語り口で、大ネタを演じきった。
~仲入り~
・柳家三三「引越しの夢」
新入りの美人女中の寝所に、3人の番頭が夜這いにいくが失敗するという実に他愛もない噺だが、それだけにどう面白く聴かせるか、演者の腕の見せ所である。
三三は、二番番頭に「御神酒徳利」の善六を登場させて笑いを取るなどの工夫をこらし、楽しませてくれた。
とにかく上手い。
・五街道雲助「お直し」
廓の最下層にまで転げ落ちた夫婦の「やり直し」の人生と、二人の細やかな愛情がテーマになっている廓噺。
雲助の演出は、登場人物の演じ分けがくっきりとしており、特に女房と酔客との会話シーンが秀逸。
セリフの間の取り方や心理描写が巧みで、ともすると陰々滅滅となりがちな中に一筋の明るさを与えていた。
雲助の、年季の入った確かな芸を見せつけた高座だった。
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素晴らしいメンバーですね。すんなりとれたとは・・・
>雲助の、年季の入った確かな芸
全くです。本日のお江戸日本橋亭では「千早振る」で笑いをとりました。
その後に出た喜多八は「千両みかん」番頭が辿り着いた認識、リアルで切ない。
投稿: 福 | 2009/09/20 20:58
福さま
コメント有難うございます。
来月のチケットと申し込んだ際に、試しに「今月の残ってますか?」ときいたら。意外や「はい、あります」との答えで取れたわけです。
他の会のチケット情報を見ても、一時期より完売が減っているような気がします。
談春の「赤めだか」辺りで、ピークを打ったのかも知れませんね。
雲助、いつ見ても上手いですね。ただ人気の面では多少損しているような印象があるのは、芸風が地味なのと名前の影響でしょうかね。
投稿: home-9(ほめく) | 2009/09/21 09:21