#93朝日名人会(10/17)@朝日ホール
10月17日は有楽町朝日ホールで開かれた弟93回朝日名人会に出向く。
同じ落語会でも会場によって少し客層が異なるというのも面白い。
ここの会場の客ダネは、やや歌舞伎座に似ているような気がする。早くいえば懐具合が良さそうな人が多い。
って言ったって、別に狙っているわけじゃないから、ご安心を!
会場は補助席も出る満員御礼である。
<番組>
前座・柳家花いち「寿限無」
名前は「花いち」、出来は「今いち」。
・春風亭一之輔「代脈」
医者の弟子と駕篭カキとのヤリトリがカットされた短縮版。
近ごろは風格さえ漂う一之輔、あまり余計なクスグリを入れず正統派の演出。
だが私はどうもこのネタの面白さがよく分からない。
・三遊亭金時「井戸の茶碗」
金時の芸は折り目正しく品があるから、こうしたネタはピッタリだ。
浪人と若侍、屑やの演じ分けもしっかりとしていて、とても出来の良い「井戸茶」に仕上がっていた。
・桂文珍「そこつ長屋」
上方落語から東京に移したネタというのは多いが、その逆は少ない。有名なのは東の「酢豆腐」が、西へいくと「ちりとてちん」。
文珍は既に「星野屋」を上方に移した実績があるが、今回は東京の「粗忽長屋」を、大阪へ舞台を移しての「そこつ長屋」、この日がそのお披露目だったようだ。
文珍は「女」が上手くないので、「星野屋」は成功したとは言えないが、こちらのネタは良くできていた。
お囃子を入れて賑やかな演出にし、粗忽者をもう一人増やすことにより、面白さを引き立たせていた。「まとも」と「変」が入れ替わっていくのだ。
それと文珍の時事ネタのマクラは、いつ聴いても面白い。こうした点は、東京の落語家ももっと見習って欲しいところだ。
~仲入り~
・三遊亭小遊三「蜘蛛駕籠」
小遊三の明るい芸風が生かされてネタだった。
ただ大看板になった今、いつまでもこういう立場に留まっていて良いのか、チョット考えものではある。
・桂歌丸「真景累ヶ淵~豊志賀の死」
丁寧だし上手いのだが、いかんせん退屈なのだ。
こういう演目では、演者は押したり引いたりしながら喋らないと、観客は眠気に勝てなくなる。
意欲だけでは客は付いてこない。
後半、物足りなさが残る会だった。
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コメント
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>三遊亭金時 金時の芸は折り目正しく品がある
金時は今後ますますよくなると思います。某所で「笠碁」を聴きましたが、けっこうな出来でした。顔も一見昔風ですが、現代的な感じもあり、なかなかいい男です。
投稿: 福 | 2009/10/25 07:51
福さま
あまたいる世襲落語家の中でも、金時だけは息子が父親を乗り越える可能性が大です。いや、もう既に乗り越えているかも。
古典を崩さず真っ直ぐに演じて観客を納得させる、数少ない中堅噺家の一人だと思います。
「笠碁」、良いですよね。私は「青菜」がベストだと思っていますが。
投稿: home-9(ほめく) | 2009/10/25 18:04