キエフ国立フィルハーモニー交響楽団&イヴリー・ギトリス
公演日 2009年10月22日(木) 19時
会場 東京文化会館大ホール
演奏 キエフ国立フィルハーモニー交響楽団
指揮 ニコライ・ジャジューラ
ヴァイオリン イヴリー・ギトリス
<プログラム>
チャイコフスキー:弦楽セレナーデ
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
チャイコフスキー:交響曲第5番
(他にアンコール5曲)
いやー、来てみて良かったなあとシミジミ感じるクラシックコンサートというは、そう滅多にお目にかかれるものではない。
フアンには失礼かも知れないが、それほど期待していなかったのだが、これが実にいいのだ。
ただ、どこが?と訊かれても上手く説明できないかも知れない。
行けば分かるさ、というのが正解だと思う。そんなコンサートだった。
キエフ・フィルがあるウクライナだが、多くの芸術家を輩出している国として知られている。
今回の奏者、イヴリー・ギトリスもウクライナ系ユダヤ人の血が入っているが、ヴァイオリニストだけでもオイストラフ、ミルシュテイン、アイザック・スターンという20世紀を代表する巨匠がズラリと顔を揃えている。
作曲家チャイコフスキーも父方はウクライナ人だ。
だから今回の演奏者も楽曲も、みなウクライナつながりというわけだ。
イヴリー・ギトリス、おん年87歳の最高齢現役ヴァイオリニスト。
背中をまるめたご老人がユックリと舞台に登場する。
いきなり音出しをして、さあ演奏開始かと思ったら片手をあげて制し、譜面を指しながら指揮者に二言三言。ではいよいよと思ったら、今度はハンカチを出して顔を拭いたり、鼻を拭いたり。
このユーモラスな雰囲気に、会場から笑いが漏れる。
なんだかリハーサル風景を眺めているような、そんな気分になる。
ヴァイオリン協奏曲の演奏が始まり、ヴァイオリンの最初のパートがスタートした時は、正直いって大丈夫か?と思った。
手元にいくつかあるチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲のCDとは、全く音が違うのだ。
第一楽章の長いガデンツァに入ってもその違和感は消えない。
ちゃんと譜面の通りに演奏しているんだろうな、そんな疑問も湧いてくる。
だけど、だけど、何だか次第に演奏に引き込まれていく。
アンコールでも繰り返された第二楽章に入る頃は、もうウットリと聞きほれていた。
実はこのチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲、今まであまり好きな曲ではなかったのだが、初めていい曲だなあと思ってしまった。
一口でいうと、「良い子のみなさんは真似しないように」という演奏。
落語でいえば、古今亭志ん生のような。
何を言ってるのか分からないって? そうでしょう、言ってる本人も分からないのだから。
とにかく良かったということ。
アンコール2曲目は日本の「浜辺の歌」、このお爺さん、サービス精神旺盛、偉い!
キエフ国立フィルハーモニー交響楽団の演奏、細かなことでは色々あるんだろうが、じっと聴いていると未だ見ぬウクライナという国の風土や文化、そして大草原を渡ってくる風が感じられる。
とてもハートフルな演奏会だった。
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