【寄席は学校 2】「女除け」のお守り
「金もできたし着物もできた そろそろあなたと別れたい」。
未だ10歳に満たなかったボクが、新宿末広亭で初代柳家三亀松からきいた都々逸だった。
金も着物も貰ったら、もう男には用はないということだ。
え~~、ショックでしたね、女の人というのはそんなモノなのかと。
そんなモノに近付いてはいけない、ボクはもう一生独身で通そうと、その時は心にかたく誓ったのであります。健気にも。
ここ最近、埼玉で結婚詐欺で捕まった女や、鳥取で詐欺で捕まった女の周辺で、それぞれ過去に数名の男性が不審な死をとげていたことが話題となっている。
未だ捜査段階だが、共通しているのは男性が多額の金を女に貸したり与えたりしていて、どうもそれがトラブルの原因となっていたらしい。
金品が目的で男に近付いてくる女は、取るものさえ取れば後は用はない。むしろジャマになるだけという、古典的犯罪パターンのようである。
「外面如菩薩内心如夜叉(げめんにょぼさつないしんにょやしゃ)」。
こちらは、三代目三遊亭金馬の落語のなかに出てくる。
意味は読んで字のごとく、「容貌は菩薩のように優しく美しく見えるが、内心は夜叉のように邪悪で恐ろしいということ」。
お釈迦様が女性を評したもので(俗説)、女性の恐ろしさを説いたとされる。
優しい顔の裏では、鬼のような心を持っていると聞かされ、いよいよ女性に対する恐怖心がかきたてられた。
そうした恐ろしい女性から男性が身を守るために、「女除(よ)け」のお守りというのがあるらしい。
話は・・・。
弘法大師空海がまだ若い修行時代に、川崎近くの平間村の名主の家に逗留したいたところ、名主の娘に思いを寄せられる。
叶わぬなら死ぬとまでいわれた空海は困り果て、こんや寝間に忍んできなさいとその娘に伝えたまま、旅立ってしまった。
翌日、娘は悲嘆のあまり多摩川へ身を投げてしまう。
これを知った空海は娘を哀れみ、名主の家で一心に冥福を祈りながら、病人の加持祈祷をつづけた。
あんまり飲まず食わずで祈っていたので、見かねた名主が「なんか空海(食うかい)?」
すると病人やその家族から、お礼に柱一本瓦一枚と寄進され、建立されたのが川崎大師であるという。
そこで空海は女に惚れられるのが一生の大難だからと、「女除け」のお守りを作った。
だから川崎大師の厄除けというのは、本来は「女除け」であるという、由来の一席。
ただあまり霊験あらたか過ぎて、女性が誰一人として近寄ってこなくなるので、要注意!
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