横浜にぎわい座#23上方落語会(11/1)
11月1日は横浜にぎわい座「第二十三回上方落語会~天満天神繁昌亭 見参!~」へ。
出演者全員が繁昌亭の何らかの賞を取っているので、こういうタイトルにしたのだろう。
日曜日の会にしては会場は随分と淋しい入りだった。
この日の夕方の「立川志らく百席」の会もまだチケットを販売していた。
近ごろは特定の人気落語家が出演しないと、客が少ないという傾向が顕著だ。
<番組>
桂吉坊「月並丁稚」
桂歌之助「片棒」
桂かい枝「堪忍袋」
桂三風「振りこめ!」
~仲入り~
桂文華「河豚鍋」
林家染二「天下一浮かれの屑より『紙屑屋』」
以前より東京と上方の垣根が低くなったとはいえ、同じ演目でも中味が違う。
落語家の気風も違うようで、上方落語家は一様に声が大きく元気がいい。それに常に客を笑わせようとする。
大阪の落語界の関係者からきいた話では、大阪の落語家に鬱病が多いのはそのためで、客が笑ってくれないとガックリと落ち込むのだそうだ。
そこいくと東京の落語家は、「笑わないのは客が悪いんだ」で片付けるから、病に罹らないのだろうか。その方が健康的かな。
桂吉坊の「月並丁稚」、テーマが「粗忽の使者」によく似ている。
桂歌之助の「片棒」、東京と違って三人の息子が最初にズラリと顔を揃えて、親父の前で一人ずつ葬儀のアイディアを披露する。
歌之助の高座は明るく華やかで、息子たちの語る情景が鮮やかな色彩となって浮かんでくる。上出来だったと思う。
桂かい枝の「堪忍袋」、東京の演出に比べて夫婦喧嘩が派手でしつこい。
後口が、モツ鍋をたらふく食ったような濃厚スープの味が残る。
英語落語が得意なのだそうだ。
桂三風の「振りこめ!」は唯一の新作。
振りこめ詐欺を題材にしたもので、楽しく聴かせてくれた。
「大阪のオバチャン」の存在感が前提で、東京では成り立たないかも知れない。
桂文華の「河豚鍋」。
マクラで、フグ鍋のことを大阪では「てっちり」というが、「てつ」は鉄砲、「ちり」は鍋料理を指し、鉄砲もフグも当たると死ぬからという洒落だそうだ。
一つ勉強になった。
「フグは食いたし命は惜しし」がテーマのネタで、鍋を食うさまが良く出来ていた。
林家染二の「紙屑屋」、このネタは東京とは全く違う派手な内容だ。
居候の若旦那が紙屑屋をさせられるというのは共通だが、大阪の演出は「はめもの」といわれる賑やかなお囃子が入り、「義経千本桜・吉野山」の狐忠度の軍語りやら、「娘道成寺」の鞠つきの踊りやら、賑々しい演出となる。
後半は座布団を片付けて、高座中を踊りまくる。
熱演だったが、さて東京の落語フアンにはどう映っただろうか。
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