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2009/12/28

談春「小猿七之助」in年忘れ市馬落語集

12月27日は銀座ブロッサム会館で行われた「年忘れ市馬落語集」に出向く。
年末を市馬の高座でシメルというのは、ここ数年の吉例だ。今回は30周年企画として、フルバンド付き歌謡ショーのサービスもあり、定員900名の会場は前売り完売。
この会の企画は「ミックス寄席」だが、いつもながら気が利いている。

<番 組>
開口一番・柳亭市楽「悋気の独楽」
柳亭市馬「味噌蔵」
柳家花緑「天狗裁き」
立川談春「小猿七之助」
~仲入り~
大喜利「昭和歌謡大全集」

年末の市馬とくれば「掛取り」と相場が決まっているが、意外にも「味噌蔵」。
師匠の小さんが高座にかけた記憶がないが、兄弟子の小三治の型をそのまま踏襲した演出になっていた。
ケチな主人が留守の間に、奉公人たちが盛大な宴会をやるシーンが要だが、いかにも市馬らしい陽気な高座になっていた。

花緑の高座は当り外れと言いたいところだが、外れが多く当りが少ない宝くじみたいだ。
「天狗裁き」も好んで高座にかけているが、これがサッパリ面白くない。
ここ数年この人、進歩が止まっていると思うのだが、どうだろうか。

談春の「小猿七之助」は初見。
この演目の歴史をみると、乾坤坊(けんこんぼう)良斎の講談「網打七五郎」をもとに河竹黙阿弥(もくあみ)が歌舞伎に脚色し、「網模様灯籠菊桐(あみもようとうろのきくきり)」として安政4年(1857)初演されたとある。
物語は、七之助に犯され娼婦となった奥女中滝川と、本能のままに動く七之助の悪事を描いている。
この滝川という女、きっと苦労したんだろうね。滝川クローシテル。
この芝居をもとに落語にした経緯はよく分からないので、もしご存知の方があればご教示頂ければ幸いです。

【追記】
小言幸兵衛様より「小猿七之助」の落語化について、下記のコメントが寄せられましたのでご紹介します。
「『小猿七之助』は、五代目神田伯龍のレコードに惚れ込んだ立川談志が落語にした、という説があります。たぶん、正しいのではないでしょうか。」

落語の「小猿七之助」のストーリーは。
通称を小猿と呼ばれた七之助と、売れっ子芸者・お滝の二人が大川を船で浅草に向かう。
途中永代橋から身投げの男を助け船に上げる。
事情を聞くと、その男は酒問屋の手代で、集金の30両を渡し船の中の博打ですってしまい死のうとしたと言う。さらに話の続きを聞くとイカサマ博打で取られと分かり、七之助はそれなら俺が取り返してやると、そのイカサマ師の名前を訊くと、深川相川町の網打ちの「七蔵」だと言う。
途端に七之助の態度が変わり、今度は手代を大川に突き落とす。
その七蔵こそ、七之助の実の父親だったのだ。
一部始終を聞いていた芸者お滝に、匕首を持った七之助がお滝の命を奪おうと迫るが・・・。

談春は風邪気味だったのか鼻声で、こういうネタはどうかと思われたが、じっくりと聴かせてくれたのはさすがである。
談春は芝居噺を得意としていて、現在この分野では第一人者といって良い。
人物像では悪党が実に上手いし、造形は群を抜いている。反面、好人物は似合わない。「明烏」の若旦那など、殆んどギャグになってしまう。
語りのメリハリがしっかりとしているし、女形に色気があるのも強みだ。
今年聴いた談春の高座では、今回がベスト。

仲入り後はお楽しみの市馬歌謡ショー。
「船方さんよ」から「赤いランプの終列車」まで、昭和30年代のヒット曲を気持ち良さそうに熱唱。
企画の加藤さんが芸達者なのに感心した。あの踊りは舞台にかけられる。
最後は出演者全員が並んでフィナーレのおまけ付き。

久々に同行した連れも大喜びだった。

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コメント

『小猿七之助』は、五代目神田伯龍のレコードに惚れ込んだ立川談志が落語にした、という説があります。たぶん、正しいのではないでしょうか。
私も2007年5月18日の浜松町かもめ亭で談春の
この噺を聞いていますが、談春にはこういう
ネタが“にん”ですね。

投稿: 小言幸兵衛 | 2009/12/28 11:29

小言幸兵衛さま
早速のご教示、感謝します。
やはり談志でしたか。
今回は、お滝が七之助を説得する場面は省略されていました。
凄味と色っぽさが要求されるネタで、確かに談春は「にん」かも知れませんね。

投稿: home-9(ほめく) | 2009/12/28 11:46

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