窮地の鳩山首相の本音と賭け
支持率が急落し窮地においこまれた鳩山首相から、二つの発言が飛び出した。
RFラジオ日本の収録で、次のように語っている。
(1)普天間基地移設問題について
「抑止力の観点からしてみて、グアムに普天間(の基地機能)をすべて移設させるということは無理があるんじゃないか」
発言がぶれたとの指摘にたいしては「多少サービスするかみたいな発想になってしまった」
(2)憲法改正について
「ベストな国のあり方のための憲法をつくりたい。必ずしも9条ということではなく、地方と国との関係を大逆転させたいなという気持ちがある」
「憲法順守規定がある首相が声高に主張すると、なかなかうまくいかない。安倍(晋三・元)首相が大上段から憲法改正を唱えた瞬間に、議論がストップした。党のなかでしっかり議論を頂きたい。しっかりとした指導力を発揮して、そこでまとめる」
総理在任中に改憲をする意向を示したのは、安倍元首相以来となる。
普天間移設問題ではいろいろ言ってきたが、あれはリップサービスみたいなもので、米軍の抑止力を重視すれば海外移転などという選択肢は、鳩山総理には最初からなかったわけだ。
米軍の抑止力を前提にするならば、国内の他の地域への移転も現実的でなくなる。
結論としては当初の日米合意どおり、名護市辺野古沿岸への移転しかない。
沖縄県民の多くは移転に反対だが、地元は利権ガラミで最終的には受け容れるだろうとタカを括っているのだろう。
憲法問題については、鳩山首相はかつて「憲法改正試案」を発表したこともある改憲論者だが、首相就任後は憲法改正に関する言及を避けてきた。
民主党もマニフェストで「慎重かつ積極的に検討」として、党憲法調査会も活動を休止していた。
ではなぜこの時期に鳩山首相は改憲を打ち出してきたのだろう。
理由は三つ考えられる。
一つは、祖父である鳩山一郎元総理の改憲の遺志を継ぐという使命感だ。
相続したのは財産だけではないわけだ。
二つ目は、先の普天間移設問題とあわせて、「社民切り」を明確にしたこと。
三つ目は、安全保障と憲法改正を軸にした自民党への切り崩しと、政界再編への動きだ。
基本政策は自民党と一緒だというメッセージを発することにより、民主党へのシンパシーを抱いている勢力を取り込もうというネライだと思われる。
鳩山由紀夫首相の本音なのか開き直りなのか分からないが、ここで旗幟を鮮明にし、舵を右に切る決意を固めたものと思われる。
お坊ちゃんがいよいよ危険な賭けに出てきた。
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普天間移転問題に関連して、国務省に呼び出されたと記者会見を行った藤崎大使の発言について、重大な虚偽だという指摘がなされている件について、【「支持率が落ちているが、どう見ているのか」。21日昼、クリントン国務長官との会談のため急きょ呼び出された藤崎一郎駐米大使に、同席したキャンベル国務次官補は、世論調査で鳩山内閣の支持率が5割前後に急落したことに触れ、政権の行方について問いただした。】(時事通信http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009122500561)などと... [続きを読む]
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