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2009/12/29

蓮池透氏の講演をきく

去る11月13日に、蓮池透氏の講演をきいた。記事にしようと思いながら放ったらかしにしていたが、年末も迫ってきたので、思い出しなら書くことにする。
蓮池透(以下、敬称略)は北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(家族会)元副代表であり、1978年に北朝鮮に拉致され2002年に帰国した蓮池薫の実兄だ。
一時期TVのワイドショーで顔を見ない日がなかったが、最近とんと目にする機会がなくなった。そう思っていたら、かつての対北朝鮮強硬路線から、最近は対話路線に転換したのだそうだ。
ネットで検索したら出るわ出るわ、いわく蓮池透は北朝鮮の工作員などという中傷が溢れている。
主に拉致被害者を支援していると称する「救う会」関係者の発言のようである。
他に、つい最近まで救う会の責任者だった人に対しても、まるで裏切り者扱いで攻撃しているのにはビックリだ。私のように気が小さい人間は、到底近寄りがたい。
この人たちは、自分たちの意見に同調しない人間に対しては、全て反日や親北のレッテルを貼りたがるクセがあるようだ。

登壇してきた蓮池透の第一印象だが、随分とやつれて見えた。いやショボクレて見えたというほうが正確かもしれない。
原因は、周囲からの批判や脅しを受ける日々にあるようだ。
つい最近もある右翼系新聞が、市民は蓮池一家を監視せよという記事を掲載したそうだ。北のスパイだというわけだ。
蓮池透はもちろん、両親や弟・薫とその家族も含めてだ。
自分のことは止むを得ないとしても、家族や親族に対するこうした攻撃は許せないと語っていた。
直接その新聞社に出向いて抗議したが、議論は平行線だった由。
一方で人権を主張しておきながら、「右向け右」と号令をかけたら国民全てが右をむくように仕向けているような集団は、どうも信用がおけない。
日本もなんだか恐ろしい国になりつつあるのだろうか。

さてその蓮池透の講演内容だが、既に書籍やネットなどで公開されているので、そちらをご覧願う。
講演を聞いた上での感想と意見を、以下に述べてみたい。
先ず、拉致問題を20数年間なにもせず放置してきた日本政府の責任は重大だ。
拉致された国によっては、直ちに政府代表を派遣して交渉し、被害者を取り返した例もある。
日本の場合、国会で明らかにされた後も、長期にわたり拉致被害者は放置されてきた。
歴代自民党政権の責任を明確にする必要があるだろう。

拉致被害者を救出するのは、大別して武力と交渉がある。武力行使が現実的でない以上、交渉によって取り戻すしかない。
交渉となれば、悔しいけれど相手の言い分にも耳を傾けねばならない。
悪いのはもちろん北朝鮮側だが、ただ悪い悪いと相手を非難するだけでは、交渉は進まない。日本政府は北朝鮮に劣らぬタフ・ネゴシエーターにならねばならない。
次に、我が国としては、核・ミサイル問題とは切りはなして、拉致問題を優先して独自に解決を図るべきだろう。
クリントン元大統領が北朝鮮に拘束されていた米国記者を連れ戻したのは、一つの成功例ではあるまいか。国境の外側で取材していた記者を強引に引きずって連行したのだから、あれだって拉致なのだ。
しかし元大統領を先方に派遣して謝罪し、それを北朝鮮側が受け容れて特赦で放免する形にした。
取り返せばこっちのものだ。名を捨てて実を取ったわけだ。

蓮池薫が拉致された生々しい状況や、北朝鮮での辛い厳しい生活が具体的に紹介され、胸を打たれた。
蓮池透は、自分たちの家族は帰国できたが、拉致被害者全員の帰国が実現できるまで運動を続けると決意を述べていた。
その日がくるまで、私たちもしっかりと支援せねばならない。

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