月例三三独演・新春(1/13)@国立演芸場
国立演芸場での柳家三三独演会、月例だが1月は2回公演となっていて、1月13日の会に出向く。
この会は人気が高く、平日にもかかわらず3月の会まで前売り完売となっている。
チラシに「将来の名人」と書かれていたが、その期待は高い。
ただ、若い時は凄かったのに・・・という噺家も少なくないのがこの世界。全ては今後の精進しだいだ。
<番 組>
柳家ろべえ「旅行日記」
柳家三三「錦の袈裟」
笑福亭たま「火焔太鼓」
~仲入り~
柳家三三「蜆売り」
柳家ろべえの名前の由来で、師匠が喜多八なので弟子は弥次郎兵衛、ただ半人前だから下半分をとって「ろべえ」との解説。
師匠譲りのトボケタ味が生きていて、「明るい喜多八」といった趣き。将来が楽しみだ。
「錦の袈裟」は女形の出来次第で決まる。与太郎の女房、芸者たち、女郎の紫の性格付けと演じ分けがポイント.
三三の演出は与太郎の女房は良かったが、芸者と紫の造形が今ひとつ。
それとこの演目、あまりシモネタをふらない方が良いと思う。
三三にしては平凡な仕上がりだった。
ゲストの笑福亭たまは、三三と同じ歳だとか。
マクラで、最近スランプで心療内科に受診した話題に。医師の見たてでは鬱病ではなく、芸に行き詰りだと言われたとのこと。
大阪の落語家は、以前から鬱病になる人が多いらしい。
業界に詳しい人に聞いたら、すぐさま数名の落語家の名前が上がっていた。
その理由だが、笑福亭たまも言っていた通り、笑いどころで客が笑わないと落ち込んでしまう。
常に笑わせたいということが、一種の脅迫観念になるようだ。
もう、職業病ですね。
その点、東京の噺家はそれ程のプレッシャーが掛らないから、鬱になる人は少ないのではなかろうか。
上方版「火焔太鼓」は、やはりコッテリした味付けで、これはこれで楽しめた。
この日の三三の長講は「蜆(しじみ)売り」。
ストーリーは、
和泉屋の次郎吉親分、博打打ちは表の稼業、実は大泥棒・鼠小僧次郎吉。
雪降る晩、博打に負けて馴染みの船宿で船頭相手に一杯呑んでいると、そこに蜆売りの少年が透りかかる。
気の毒に思った次郎吉が売れ残りの蜆を全て買い取り、身の上話を聞いていくうちに、この少年の一家の不幸に、実は次郎吉自身が係っていたことが分かる。
思案に余った次郎吉は・・・。
長い話だが、登場人物は次郎吉と船頭、それに少年の3人だ。
次郎吉の貫録、船頭のオドケ、少年の健気さ、いずれの描写も申し分ない。
一つ注文をつけさせて貰えば、この少年は今でいう10才だ。こまっちゃくれた口はきくものの、幼さを残さなくてはいけない。
三三の描く少年は、いささか大人び過ぎている。その分、観客の感情移入が薄目になったように思う。
この点だけは、不満が残った。
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>柳家ろべえの名前の由来
そうでしたか。11日の月曜日に池袋演芸場(もちろんお目当ては喬様)で、ろべえは「竹の子」を演りましたが、すぐに喜多八の弟子だとわかりました。あの独特の語り口・・・あ、申し遅れましたが、本年もよろしくお願いいたします。
投稿: 福 | 2010/01/15 06:31
福さま
私も以前から変な名前だなあと思っていたので、ようやく合点がいきました。
それに「柳家弥次郎兵衛」では語呂が悪いですしね。
真打になる頃には、改名するでしょうけど。
投稿: home-9(ほめく) | 2010/01/15 15:48