「チェンジ」しなかったオバマ
アメリカの政権が共和党から民主党へ、大統領がブッシュからオバマに変わっても世界戦略は変化しないし、従って対日政策も変わらないと、米大統領選挙の当時から当ブログは一貫して主張してきた。
一方、大手マスコミの予測はどうだったろう。
アメリカで民主党政権が生まれたら大変なことになると「オオカミ少年」みたいに警告していた産経から、過大な期待をかけていた朝日まで、全て失格だ。
戦争を最大の公共事業としている米国経済の構造を改めない限り、これからも基本政策は変わらない。
オバマ大統領が唱えるイラクからの撤退についてだが、彼が主張している、
・反テロ活動及び米国民の維持のため、残留軍はイラクにとどまる
・残留軍はイラク治安部隊の訓練、支援を行う
という点が見逃されている。
そして、イラクから引きあげた部隊は、アフガニスタンに投入されるわけだから、トータルでは大きな変化はない。
むしろ、イランに対する軍事行動をいつ起こすのかが心配される。
では、中東政策はどうだろうか、
この点についてもオバマ大統領の姿勢は、「イスラエルを脅かす者は米国を脅かす者である」という発言に見られるように、ブッシュ政権と同じといってよい。
対外政策は、ブッシュ政権をそのまま引き継いでいる。
オバマ政権の性格を読み違えたのは、鳩山政権も同様ではなかろうか。
普天間基地移設問題について、オバマ政権が前政権との合意をこれほど強硬に主張するとは予測していなかったと思われる。
しかしイラクへの駐留を継続しながら、アフガンへの軍事行動を強化しようとするオバマ政権にとって、沖縄の米軍基地はますます重要性を高めている。
彼らにとっては日本の安全保障などどうでも良いのであって、要は米国の利益のためには沖縄の基地は手放せない。だからアメリカの理解など、最初から期待できなかったのだ。
米国の世界戦略に引き続き全面協力するべきかどうか、民主党政権はその選択を迫れている。
普天間問題は、その試金石となる。
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