「国会改革」は小沢一郎の独裁を招く
現在、民主党小沢一郎幹事長主導のもとに「国会改革」が進められようとしていて、与党も通常国会での成立を目指している。
この中味をみると、政治主導という美名のもとで、議会も行政もすべて民主党に思いのままにしようという、企みが垣間見えてくる。
先ず、改革の目玉ともいうべき政府参考人制度の廃止について見てみよう。
関係する法律として、以下に衆院規則の抜粋をしめす。
【引用始め】
衆議院規則
(昭和二十二年六月二十八日議決)
(最近の改正 平成十三年三月十五日施行)
第四十五条の二 委員会が審査又は調査を行うときは、政府に対する委員の質疑は、国務大臣又は内閣官房副長官、副大臣(法律で国務大臣をもってその長に充てることと定められている各庁の副長官を含む。以下同じ。)若しくは大臣政務官(長官政務官を含む。以下同じ。)に対して行う。
第四十五条の三 委員会は、前条の規定にかかわらず、行政に関する細目的又は技術的事項について審査又は調査を行う場合において、必要があると認めるときは、政府参考人の出頭を求め、その説明を聴く。
註)政府参考人とは、政府特別補佐人以外の政府職員その他の政府関係機関の役員又は職員等をいう。(委先57)
【引用終り】
議員が政府に質問する場合は、上記のように大臣や政務官など政治家に対して行うのが原則だ。
そして必要と認めた場合に限り、政府委員などが説明できることになっている。
与党案では、この第四十五条の三を廃止し、政治家だけで議論するというものだ。
しかしどうだろう。
専門的なことや細かなことまで大臣らが全て把握するというのは現実的でない。
一方、法案審議には細かな点に立ち入る必要がある。往々にして「真理は細部に宿る」のだ。
従って原則は政治家に限るのだが、必要な場合は官僚の説明を聞くことができるという、現行法が正しい。
官僚の答弁を禁止することは「脱官僚」だと評価する向きもあるが、それは違う。
国民が行政を監視するためには、国会の場でかれらに答弁させることも重要なのだ。
ではなぜ小沢一郎らが強引にこの改正を図っているのだろうか。
一口にいえば、官僚への口封じと行政を100%支配しようという狙いからだ。
自分たちの考えが全てあり、異論は一切認めないというのが小沢一郎の思想だ。
国会で多数をとり、官僚を完全に支配できれば、小沢一郎に盾突く者は誰もいなくなる。
これはもう独裁政治といって良いだろう。
小沢一郎らは「政府参考人の廃止」を皮切りに、今後は、
・議員定数の削減、特に比例区を減らし少数政党を排除する
・各種委員会の整理と定員の削減
を打ち出して、要は国会を法律通過マシンにするというのが彼らの狙いだ。
議会制民主主義を守ることは国の根幹にかかわることであり、野党各党は危機感を持ってこれに対抗して欲しい。
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