「小沢一郎擁護論」は間違っている(中)
社員教育や研修で生産の三要素として、「人、物、金」と習った方も多いだろう。
この三要素は選挙でもいかんなくその威力を発揮する。
資金を出してくれる上に人とモノが無料で提供されるとあっては、候補者にとってこれほど有り難いことはない。
この有り難い存在こそ、建設業者である。
もちろん、公共事業の受注と引き換えだ。
(1)人の提供
選挙ともなると、主に建設業の営業マンが選挙運動に駆り出される。
毎日会社へは出勤せず、選挙事務所に通う。
「〇〇候補選挙事務所」の名刺を持たされて、朝から晩まで選挙運動を行うが、給料は会社から出る。だから候補者のフトコロは一切いたまない。
運動員への謝礼を企業が立て替えていることになり、公選法からいえば違法のはずだが、実際に摘発された例は稀ではなかろうか。
(2)名簿の提供
二つ目のモノだがむろん「票」が良いに決まっているが、そうはいかないので、企業の従業員とその家族などの名簿が提供されることになる。
(3)資金の提供
通常の企業献金の他にパーティ券の購入などオモテの金もあれば、時にはウラの金もある。
議員からみれば、建設業者は「金のなる木」みたいなものだ。
だからセッセと予算を獲得しては、地元に公共事業を引っぱってくる。
献金の原資は元々の予算におり込まれているので、業者も腹は痛まない。最終的なツケは国民の税金となって回ってくるのだ。
だから自民党政権のもとで、公共事業はどんどん増加し、それと共に財政赤字も膨らんできた。
ここまでは自民党の伝統的な手口でいわばお家芸であり、小沢一郎の手法もその顰に倣ったものだろう。
問題となっている岩手県の胆沢(いさわ)ダム工事についていえば、下請企業16社から小沢一郎が支部長をしている支部におよそ6700万円が献金されている。
また大久保被告の公判で明らかにされて数字によれば、鹿島など大手ゼネコン各社から小沢幹事長サイドに数百万円から2千万円の献金が行われていた。
これらはいうなれば表の金。
ザル法とはいえ政治資金規正法により資金の使いみちにある程度制約がある。
それに対して裏金は使途自由なので、議員にとってはこれほど有り難いものはない。
胆沢ダム受注の下請企業の一つである水谷建設・水谷功元会長の証言によれば、小沢幹事長の秘書に現金で5千万円ずつ2回に分けて合計1億円を都内のホテルで渡したとされる。
これが収支報告書に記載されなかったのは、裏金だったからだろう。記載もれではなく、記載しなかった、あるいは記載ができなかった金ということになる。
つまり違法を承知で記載しなかったわけだ。
よく政治資金規正法違反は形式犯にすぎないという意見を耳にするが、中味からすれば悪質な違法行為だ。
小沢一郎をめぐる不透明な資金に、「政党転がし」がある。
共同通信によれば2004年10月に、小沢一郎の関連政治団体「改革フォーラム21」の口座に約15億円が簿外で入金された疑いのあるとのことだ。
この資金の原資は、小沢一郎が党首だった旧自由党(2003年解散)への政党交付金(助成金)であった可能性が高いというのだ。
旧自由党に対して2002年に政党交付金として約15億円が支給されており、その金が流用されていた可能性が囁かれているわけだ。
つまり現行の政党助成金制度を使えば、政党を創っては壊しを繰り返していると、その資金が特定の個人の懐に転がり込むことが可能になる、「政党転がし」による錬金術だ。
不思議なことにこの手口は、違法ではないらしい。
しかし道義的な観点からすれば、あまり世間様に向かって堂々と胸をはれる行為ではあるまい。
陸山会による4億円の土地購入をめぐる不自然な金の動きは、どう見ても資金洗浄(マネーロンダリング)としか考えられない。
しかし検察は小沢幹事長を不起訴とした。
次回はその背景を考えてみたい。
(続く)
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