「THE 39 STEPS」のオモロイお話
ここのところ急な用事が重なり、せっかく取ったチケットを泣く泣く知人に渡して、代りに行ってもらうケースがある。
現在日比谷のシアタークリエで上演されている「THE 39 STEPS-秘密の暗号を追え!」もその一つ。
宣伝に「アルフレッド・ヒッチコック監督による映画『三十九夜』を元に作られた作品。2007年ローレンス・オリヴィエ賞ベスト・ニュー・コメディを受賞した怪作の日本初演。ウェストエンドやブロードウェイの演出そのままに、演劇界の実力派を集めた豪華布陣でお届けします。」とあり、しかも主演が高岡早紀。
これは行かずばなるまいと思っていたのだが、知人に譲るハメに。
先日その知人から観てきた感想をきいたところ、第一声が「イヤー、つまらなかったよ。」だった。
一応コメディタッチだが面白くなく、一部大受けしている人たちを除けば、周囲の客も殆んど笑わなかった由。
「それがさ、面白いことがあってさ。」というのだ。
こんな具合に。
休憩時間に、近くの席にいたオバサンから突然話しかけられたのだそうだ。
オバ「あのー、ちょっと、失礼ですが、この芝居どこが面白いんでしょうね。」
知人「いやー、ボクもつまらないと思って観てましたが。」
オバ「そうでしょ、面白くないですよね、やっぱり。あなたはここのチケットいくらで買いました。」
知人「ボクは、急に行けなくなった人からチケットを貰ったんです。」
そこでそのご婦人、今度は周りの女性にも話しかけた。
オバ「あなたはどうされたの?」
女性A「私も友達から譲ってもらいました。」
オバ「あなたは?」
女性B「私もそうなんです。」
オバ「皆さんタダなのね。そおーか、それで分かったわ。だーから、この芝居つまらないんだ。」
知人としては、それぞれ誰かが買ったチケットを譲られていただけで、元を正せばタダではないと思いつつ、敢えて突っ込まなかったそうだ。
オバ「私、8500円も出したのよ、ああー損した。こんなチケット買うんじゃなかった。もおー、お金返して欲しいわ。」
そのオバサンは、ずっーと大きな声で嘆いていたそうだ。
「それが面白くってねえ。芝居よりそっちが楽しかったよ。」と知人。
そう言ってもらうと、譲ったワタシも少し気が楽になる。
これとは逆に、渋谷パルコ劇場での「志の輔らくご」の方は、チケットを譲った別の知人から「いやー、君には申し訳ないと思ったほど、とても良かったよ。」と言われた。
こういうのも悔しいですね。
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