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2010/03/28

立川談春「25周年スペシャル独演会”THE FINAL”」

3月27日東京厚生年金会館で行われた、立川談春「25周年スペシャル独演会”THE FINAL”」へ。
独演会にスペシャルだのFINALだのが付いて長ったらしいタイトルになったのは、
1.昨年5月から始まった談春25周年記念ツアーの、これが最終公演
2.会場である東京厚生年金会館がこの3月末で幕を閉じることになり、その最後の落語会
という意味合いのようだ。
序にいえば、この会場で最初に落語会を開いたのは、師匠・談志とのこと。
そんな企画のせいか、会場ではグッズ販売あり、くじ引きあり、写真展や談春写真集(誰が買うんだろう)販売あり、はてはゲームコーナーまで置かれ、お祭り気分。
グッズが当たるゲームコーナーは長蛇の列で、係員が「ここが最後尾でーす」と叫んでいた。
アタシはそうしたものにまるで興味がなく、写真展をチラッと見て座席へ。
前から7列目なので、細かなとこまでよく見えた。

<番   組>
立川談春「粗忽の使者」
立川談春「愛宕山」
~仲入り~
立川談春「たちきり」

談春に限らず立川一門では、独演会は本人一人だけというのが多いが、これは結構。独演会なのだから、前座もゲストも不要だ。この点だけは、他の一門の噺家は見習って欲しい。
舞台正面に大型スクリーンが据えられ、遠くの席でも高座の様子がよく見える仕掛けになっている。
前方の席の人間にとっては邪魔でしかないが、こうした大きな会場では止むをないことだろう。これを邪道というなら、元々こういう大ホールで落語を演ること自体が邪道なのだ。

ここ2,3年、談春の人気は沸騰している。
前売りチケットは瞬間蒸発、会場は大入り、本を出せばベストセラー。ブームとよんでも可笑しくない。
人気が高まれば批判の声も強まるのは世の常。
「さすが」という賞賛の声もあれば、「それ程のものじゃ」という落胆の声もある。
談春の良さは、その明解な語り口だ。落語家というより講釈師に近い。
そのせいか、この人は講談を落語化したネタや、芝居を落語に移した演目で精彩を放つ。
欠点はというと、細かな人物描写ができていない。
無頼を演じさせれば、今この人の右に出る者はいない。その一方、初心(うぶ)な人物は全くサマにならない。だから「明烏」の若旦那などを演ると、まるでギャグみたいになってしまう。
芸人だから得手不得手があって当然。
そこを飲み込んでいれば、談春に対する評価は大きくブレないと思う。

もう一つ、これは談春に限ったことではなく、立川一門に共通する欠点といっても良いが、
・解釈の押し付け
・言葉の過剰
という問題がある。
解釈は聴き手の自由であって良い。そこを「このネタはこう解釈すべきだ」とやられると、大きなお世話だと言いたくなる。落語は口演であって、決して講演ではない筈だ。
これに関連するのだが、語り過ぎ、説明し過ぎの傾向がある。語られない部分で聴き手は想像力を膨らませるのであって、そこにあまり手を突っ込んで欲しくないのだ。
この辺りは好みの問題ということになろうが、アタシはそう思う。

さて、この日の三席だが。
「粗忽の使者」は大師匠・先代小さんの極め付けで、あの何ともトボケタふわっとした語り口がカンドコロ。こういうネタはあまり力んで演じるものではないのでは。
面白くなかった。
「愛宕山」では、カワラケ投げの解説は良かったが、幇間がサッパリ幇間らしくない。大家(たいけ)の大旦那も風格が感じられない。
「たちきり」では、言葉の過剰という欠点が目立ってしまった。
こういうネタは情緒纏綿たる雰囲気が大事で、番頭の身の上話など余計。
最後のシーンで、女将が若旦那に「ここを出たら全て忘れなさい」というセリフも蛇足。これではこの噺のオチの効果を消してしまう。
小糸の一途な心に感情移入して、柳家さん喬の「たちきり」では滂沱の涙を流してしまったが、今回は全く泣けなかった。
不満の残る三席だった。

少し点が辛いと思われるかもしれないが、それは偏に談春に対する期待の高さの反映だと思ってください。

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コメント

初めて書き込み致します。
米朝 枝雀落語で育った関西人ですがこの頃江戸落語が好きで上京の折には寄席にもよく行きます。
ここのブログもいつも楽しませてもらってます。
談春落語の評を読んて全く同感です。
以前大阪のフェスティバルホールの公演に行きましたが期待はずれでなんか違和感が残りました。
ここのブログ見て納得しました。
その時のネタは芝浜でしたが ちょっと前に鈴本で聴いた雲助師匠の方がすっと心に浸みました。
寄席の さん喬 一朝師匠もいいですね。
落語も人好きずきですがあんまりぴったしの感でしたので思わず書き込んでしまいました。
長くなってすみません。

投稿: すみれ | 2010/03/28 13:25

すみれ様
コメント有難うございます。
談春は次代の落語界を背負うべき才能の持ち主の一人であるのは、間違いないでしょう。
しかし最近の談春ブームは、いささか度を超しているように見受けられます。
企画会社はブームを煽って集客し、利益が上がればそれでOKですが、芸人は消耗品ではありません。
人気だけが先行し、実力がやや伴っていないというのが、談春の現状だと思います。
そういう意味では残念ですね。

投稿: home-9(ほめく) | 2010/03/28 16:50

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