ルノー・カプソン ヴァイオリン リサイタル
3月21日はトッパンホールで行われた「ルノー・カプソン ヴァイオリン リサイタル」へ出向く。
クラシック音楽なんてぇものは季節に関係なさそうだが、ヴァイオリン曲というと何となく「春」がピッタリのような気がする。
あの音色が、心浮き立つ春の季節にフィットするのだろうか。
この日はフランスの俊英(と勝手につけたが)ルノー・カプソンの第三回リサイタルで、ヴァイオリン・ソナタの名曲の数々を拝聴しようという寸法。
最近気がついたのだが、ホール(劇場)にも相性ってぇものがあるようだ。
場内に入った瞬間なんとなく感じが悪いと思うホールもいくつかあるが、このトッパンホールは一番のお気に入りだ。
ホールの幅と奥行き、天井高さ、舞台の広さ、この4つの要素が程よく調和していて、とても気分が落ち着くのだ。ウソだと思うなら一度来てみてください。
もちろん音響も良い。
時々ここの来るのも、音楽を聴きにというよりは、このホールの空間の中で身を浸しておきたいという方が、大きな比重を占めている気がする。
だからって何でもイイという訳ではないけど。
< プ ロ グ ラ ム >
ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ
ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ
~ 休憩 ~
フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調
アンコール曲/マスネ:タイスの瞑想曲
ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ第二楽章
< 演 奏 者 >
ルノー・カプソン(ヴァイオリン)
児玉 桃(ピアノ)
この3曲とも、ライブで聴くのは(確か)初めてだ。
CDは持っているが、実はあまり良い曲とは思っていなかった。
ナマで聴くと印象がガラリと変わって、実にいい。音楽だのビールだのというのは、やっぱりナマに限る。
ドビュッシーのヴァイオリン・ソナタは、いかにもドビュッシーという感じですね(当たり前か)。
ラヴェルの曲は第二楽章のブルースが有名だが、これもライブで見ると凄さが分かる。
それとヴァイオリンとピアノがぴったりと調和するでもなく、ビミョーにずらしているところが面白い。あれってけっこう演奏が難しいんでしょうね。
フランクのヴァイオリン・ソナタはピアノが大活躍する。解説を読んだら、当初は「ヴァイオリン伴奏つきのピアノ・ソナタ」として構想されたとある、納得。
ルノー・カプソンが奏でる音色は美しく、ウットリとしてしまう。
テクニックはいうまでもない。
ピアノの児玉桃は、時には主役時には脇役と役柄を変えながら、こちらも素晴らしい音を響かせていた。
演奏家のスタイルというのも興味がひかれる。
先日のカントロフは背筋を真っ直ぐにして弾いていて、テンポアップしたパートでは靴で床をタッピングする癖があった。
この日のカプソンの場合は足を前後にして少し膝を折って弾くため、力を入れる場面になると中腰の恰好になる。
演奏とは離れるが、一つ注文がある。
ヴァイオリン・ソナタの演奏では、通常ヴァイオリニストは、ピアニストの向って右側に立って演奏することが多い。これだとどの位置からでも、二人の演奏者がよく見える。
この日は二人の演奏者が並んでいたため、客席からは奥にいるピアニストの動きが見えづらい。
ライブでは、演奏者の手や身体の動き、表情を見るのも楽しみのひとつだ。
エンターテイメントの見地からは一考を要すると思われる。
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