桂文珍国立演芸場10日間連続独演会(4/10)
4月10日は、桂文珍国立演芸場10日間連続独演会の中日に出向く。
大劇場での10日間連続での公演というのは、落語家としては初めてのようだ。
ただ日替わりで人気者をゲストに迎えていて、この日は春風亭昇太だった。
「途中入場はできません」「開演中席を離れると戻れなくなります」というようなアナウンスが繰り返され、携帯電話の注意では、場内アナウンスに加え、係員の呼びかけ、果てはプラカードまで出して会場を回っていた。
チョイと大仰な感じはする。
<番 組>
桂楽珍「蒟蒻問答」
桂文珍「池田の猪買い」
春風亭昇太「花筏」
~仲入り~
内海英華「女道楽」
桂文珍「御神酒徳利」
何度も同じことをいうが、こういう興行に前座を出すべきでない。
観客に失礼だ。
桂文珍、かつて上岡龍太郎が「丹波篠山出身であることのコンプレックス」を特徴に上げていたが、ある種のインテリ指向みたいな所があったのは、その反映だったのか。
今ひとつ「垢抜け」しない感があったが、いまや上方落語会を背負う存在になった。
演目も、古典+新作から古典中心に軸足を移しだしているかに見える。
「池田の猪買い」、いかにも上方落語らしいバカバカしさと楽しさ溢れたネタで、文珍は大阪から池田までの道中づけを織り込みながら、実に楽しそうに演じていた。
上方落語の多くが東京に移し変えられているが、このネタはムリだろうと思うが、それとも誰か演じているだろうか?
自虐ネタをマクラに昇太は「花筏」、このパターンはここ3回連続だ。
それぞれ完成度は高いし、客もよく笑っているのだが、このまま進んでいくのであれば、果たして昇太の将来はどうなるのだろうか。
英華「女道楽」、一般には聞きなれない言葉というよりは、世間では別の意味で使われることが多いのだが、寄席の世界では三味線や太鼓などを使う演芸のことをいう。
かつては東京の寄席でも千家松人形・お鯉(人形さん、美人でしたね)らがいたが、今は皆無。
大阪でも現在はこの内海英華ただ一人だ。
上方落語では下座が活躍するので、優れた囃方が生まれるのだろう。
文珍のいうとおり、人間国宝になるように頑張って欲しい。
文珍「御神酒徳利」、占いをするのは番頭でも八百屋でもなく、ここでは左官職人になっていた。
向かう先は安芸、途中の宿で紛失物を当てるのは尾道。
筋としては「占い八百屋」に近いのだが、かなりアレンジされているので、演題を「御神酒徳利」としたのだろうか。それともこの名前の方が東京のファンには通るせいか。
この型を聴いたのは始めてだったが、クスグリを含めて良く工夫されており、オリジナルの「占い八百屋」よりずっと面白く仕上がっていた。
客席は大入り満員だったが、それだけの理由はある。
« 「慎太郎党」やら「パナソニック党」 | トップページ | 「休演と代演」の補足 »
「寄席・落語」カテゴリの記事
- 祝!真打昇進 立川小春志、三遊亭わん丈(2023.11.02)
- 落語『鼠穴』のキズと権太楼による改変(2023.11.01)
- (続)この演者にはこの噺(2023.09.03)
- 素噺と音曲師(2023.08.30)
- 落語『永代橋』(2023.08.05)
通りがかりの者です。落語好きなものでついつい色々読ませていただきました。
「池田の猪買い」ですが、当代立川談志が「猪買い」としてやっていますよ。地名その他をどう変えていたかは忘れてしまいましたが…。CDにもなっています。
投稿: まる | 2010/09/04 09:58
まる様
コメント有難うございます。
ご指摘の通り、談志全集に収録されています。
地名は「秩父」に変えているようです。
投稿: home-9(ほめ・く) | 2010/09/04 12:01