「たい平・喬太郎」二人会@蕨市民会館
今の落語ブーム・寄席ブームがいつから始まったのかというのは諸説あるようだが、ワタシ的には2000年(平成12年)からだと判断している。
この年に林家たい平と柳家喬太郎が同時に真打に昇進した。
鈴本での真打披露興行にでかけたところ、前方2列が20代から30代とおぼしき女性たちに占領されていた。
そして喬太郎(当時はアイドル風だった)が放つギャグへの反応が、明らかに従来の寄席ファンと異なり、どちらかというとコンサートの客席のような反応なのだ。
寄席が変わってきたなと、そのとき実感した。
そしてこの二人が、やがて落語界を背負って立つんだろうなとも思った。
その後の二人の活躍ぶりはご存知のとおり。
ただ歩み方は同じではない。
たい平は人気番組“笑点”のレギュラーになって全国に名前を売りながら、独演会で技を磨き古典一筋の道を歩んでいる。
対して喬太郎は古典と新作の二足の草鞋を履き続けながら、埋もれかけていた古典を掘り起こし、独自の境地を開いてきた。
共通しているのは古典をそのまま演じるのではなく、現代風にアレンジしながら新しい息吹を吹き込んでいる点だ。
ただ、実力で喬太郎が一歩も二歩もリードしているのは、衆目の一致するところだろう。
前置きが長くなってしまったが、その「林家たい平・柳家喬太郎 二人会」が4月18日、蕨市民会館コンクレレホールで行われた。
蕨駅に下車したのは始めてで、駅前からホールのある所までおよそ700mあるのだが、ずっと商店街が続いている。
呉服屋があったり、人形店があったり、古くからの店が軒を連ねていることがうかがえる。
市民会館の男子トイレの便器に、「一滴入魂」という標語が貼られていたが、意味不明。
<番 組>
春風亭昇々「たらちね」
柳家喬太郎「ハンバーグができるまで」
~仲 入 り~
林家たい平「長短」
出演者が二人とも落語協会なのに、前座が芸術協会というのは珍しい。
こうした協会の壁が取り払われていくのは大歓迎だ。
昇々だが、少々どころか、やたら早口で聞き取りにくい。この欠点は早く直したほうが良い。
さて、この日の二人会だが、各々一席ずつというのが先ず不満だ。
喬太郎が終わって場内が明るくなった時、おやっという空気が流れたのも、私を含めて多くの人が二席を期待していたのではなかろうか。
それも大ネタならともかく、「ハンバーグ」と「長短」ですよ。
マクラはタップリと取っていたし面白かったとはいえ、あまりに薄味。
もちろん演者の責任ではなく、主催者である「エイフル企画」の問題だけど。
人気者を揃えればとにかく客は入る。後は野となれナントヤラで、当日のチラシ1枚作らないこの会社の方針でしょうかねぇ。
と、ブツブツ言いながら帰途についたわけであります。
« #98朝日名人会 | トップページ | 「新党」に蠢く政治屋たち »
「寄席・落語」カテゴリの記事
- 「落語みすゞ亭」の開催(2024.08.23)
- 柳亭こみち「女性落語家増加作戦」(2024.08.18)
- 『百年目』の補足、番頭の金遣いについて(2024.08.05)
- 落語『百年目』、残された疑問(2024.08.04)
- 柳家さん喬が落語協会会長に(2024.08.02)
コメント