柳家三之助真打披露(5/14昼)@国立演芸場
国立演芸場5月中席は落語協会の新真打4人の昇進披露公演だ。
春から都内4軒の定席をまわり、寄席としてはここが最終となる。
5月14日昼の部は、「柳家三之助」の真打披露とあって平日にもかかわらず満席の入り。
寄席の客席やロビーでの会話は参考になることが多く、3年ほど前のある落語会で中年男性が三之助のファンだと言ってるのを小耳にはさんだのがきっかけで、この人に注目し始めた。
聴いてみると、確かに上手い。
当時は二ツ目だったが、実力は既に真打なみ。
今回の昇進は当然の結果だ。
<番 組>
前座・鈴々舎やえ馬「金明竹」
三遊亭金兵衛「反対俥」
ロケット団「漫才」
柳家福治「安兵衛狐」
柳家〆治「お菊の皿」
鈴々舎馬風「漫談」
―仲入り―
真打昇進襲名披露口上
ダーク広和「奇術」
柳家小三治「二人旅(序)」
柳家紫文「俗曲」
柳家三之助「景清」
披露口上で師匠がどういう挨拶をするかを毎回注目しているのだが、この日の小三治の口上は心のこもったものだった。
三之助が手紙で弟子を志願してきて入門を許したただ一人の弟子で最後の弟子という紹介から始まって、3年ほど前に高座を見てこれはいけるぞと思ったことまでを述べて、最後は「将来は大きな大きな看板を背負うような・・・」という期待でシメテいた。
三之助本人も、師匠の期待の大きさをヒシヒシと感じたに違いない。
余談だが、小三治の弟子は18人いたそうで、いま残っているのが9人。つまりはやめた人と続けた人が半々ということだ。
破門されたけど、その後ほかの師匠に入門した人もいるだろうが、単純に計算すれば定着率(転職率)は50%という計算になる。
本人が好きで入った道だが、それでも半分はやめて行くとしたら、なかなか厳しい世界なんだなと思った。
トリの三之助、緊張からか出だしはカタサがみられたが、筋に入るころから本調子に。
同じ盲人が主人公のネタでもこの「景清」の定次郎は、かつて酒に女の道楽三昧を尽くしたという設定になっていて、遊び人だったころの風情を残さなくてはならない。ここが難しい。
三之助はそこのところを上手く表現していて、神仏への悪態のつきかたがドウに入っていた。
石田の旦那も風格があり、目明きになるクライマックスもドラマチック。
全体として上出来の「景清」であり、三之助の実力を示していた。
これも余談になるが、三之助はなにより顔が良い。
落語家といえども芸人である以上は、顔は大事だ。
それも韓流スターやジャニーズ系のような安っぽい顔では勿論ダメ。
歌舞伎役者のようなノッペリとした色男でもダメ。
高座に上がってくるだけで、場内がパッと明るくなうような顔が望ましい。
三之助の顔はそういう意味で落語家として理想的であり、母親に感謝せねばなるまい。
仲入りの時の周囲から、「いま若手じゃ、三三とこの三之助かね。」という会話が聞こえた。
そういう声が出ているようだ。
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