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2010/05/31

股股「玉にキズ」

ちょうど5年前に切り取った「陰のう腫瘍」、つまり玉袋の先っちょの腫物だが、また出来てしまった。
同じ病院に行ったのだが、前回は若き美人女医だったのが、今度は男の医師。
なんだか見せ甲斐がないなあ。

「先生、なんで同じ場所にできたんですかね?」と訊くと、「まあ、たまたまでしょう」と気のない返事。
「玉玉、玉袋に股股」ってぇところなのかねぇ。
「印ろう」なら、水戸黄門。
「陰のう」なら、見ろ肛門。

「このまま放っておきます?」と、医者は明らかに投げやり。
どうせこれから使いモノになるわけじゃなし、というのが顔に表れている。
こっちも意地になって「前回と同じように切ってくれませんか」と言うと、「ええ、切るんですか。範囲が広いし周囲に血管が集まっているし、リスクが大きいですよ」と、やはりヤル気なし。
こっちがしばらく黙っていると、「そうしたら、取り敢えず焼いてみましょう」と言い出した。
ナンだ取り敢えずって、ビールじゃないぞ。

液体窒素をつかって、患部を焼いてしまおうというわけだ。
窒素ガスを-200℃以下に冷却すると液体になるので、要はこれを塗って低温火傷をおこして腫瘍を除去するというもの。
「じゃベッドに横になって、下半身は全部脱いで。看護婦さーん、こっちへ来て、はいソコをしっかり握ってて」と、なんだか恥ずかしいやら嬉しいやら。
これから液体窒素を塗りたくられたのだが、これが痛いこと痛いこと。
なにしろ男性にとって最も敏感なトコロですからね、そりゃもう呻いたね。
「ほー、真っ白になったね」と医師はまるで他人事。
仔細にみれば、小山に雪がかぶったような姿。
「これでダメなら切りますよ」という言葉を背中に、病院を後にした。

でも、その後がまた大変。
とにかく歩くとスレて痛むから、がに股でヨチヨチと歩くことになる。
座っても先端が床に接してやはり痛い。
寝ていると楽だが、そう一日中寝てばかりいられない。
痛みはおよそ5日間は続くそうなので、その間はジッとガマン。

ブログで他人様の悪口ばかり書いているのでバチが当たったんだな、きっと。

全般に低調だった「立川流落語会」(5/30)@国立演芸場

恒例となっている国立演芸場の立川流落語会、毎年人気が高い。
向かったのは3日連続公演の最終日。
発売日の昼近く電話したら、この日の1席分しか残っていなかった。つまり私のチケットで3日分の興行が完売になったわけだ。
さて、残り物には福があるかどうか。

< 番  組 >
前座・立川松幸「豆屋」
立川平林「名古屋弁・浮世根問」
立川キウイ「真打への道」
立川談笑「イラサリマケー」
ミッキー亭カーチス「饅頭こわい」
立川談幸「片棒」
―仲入り―
土橋亭里う馬「雛鍔」
立川談之助「漫談」
立川文志「字漫噺」
立川談四楼「柳田格之進」

全体的な印象としては、低調の一言だ。

良かったのは談笑と談四楼、そして本業は歌手のミッキー・カーチスだけ。
むしろ、立川流の若手・中堅の実力というのはこんなに低かったのかと、溜め息が出るほどだ。
例えば立川キウイ。
一応タイトルがついているが中味は漫談で、それも面白くもないサクセスストーリーを聴かされる破目に。
馬風がかつて「会長への道」を得意ネタにしていたが、落語協会会長が決まってからは高座にかけなくなった。
シャレにならないのだ。
因みに、書いた本が売れたり話題になったりしたことと、落語家の実力とはナンの関係もない。
もう一人の談之助の漫談はさらにひどい。
他の芸人が使い古したようなギャグをダラダラと並べているだけで、聴いててイライラしてくる。

立川流の会に来るような人の多くは談志ファンだろう。
弟子の噺家が談志のエピソードを語ると、それだけで観客が喜んでくれる。
そのことに寄りかかり過ぎる傾向が、一部の噺家に見られる。
ちょうど“笑点”出演の落語家が、ウケを狙ってしばしば“笑点”の裏話で笑いを取ろうとするように。
しかし、それは芸とは別物だ。

談笑の「イラサリマケー」、「居酒屋」を改作したものだが既に完成形だ。
とにかく面白い。先代金馬の「居酒屋」が現代に蘇ってきた。
やはり落語の基本がしっかりしているからこそ、これだけオリジナルを壊しても十分楽しめるのだろう。
独演会の人気が高いというのも肯ける。

トリの談四楼「柳田格之進」が、ダレていた最後を締めた。
人物描写がクッキリしていて、特に格之進の娘の毅然とした姿が良くできていた。
品と風格の保たれた、良い出来の「柳田格之進」だった。

他にミッキー亭カーチスの、決して上手とはいえないが、なんとも洒脱な味わいのある高座が印象に残る。
本職の噺家たちは、もっと見習ってほしい。

2010/05/29

「福島瑞穂」は「平手造酒」である

昨日、日米共同声明とそれにもとづく政府方針は、普天間移設先としてキャンプ・シュワブの「辺野古崎地区及び隣接する水域」(沖縄県名護市)と明記した。
社民党党首の福島瑞穂消費者・少子化担当相は閣議での署名に応じず、鳩山由紀夫首相は福島瑞穂を罷免した。
これにより社民党が連立から離脱することが現実味をおびてきた。
福島のガンコな姿勢にいちばん驚いたのは、社民党内部だったのではなかろうか。
確かに社民党としては県外、国外移設を主張していたが、それはあくまで建前。
前身の社会党は例の自社連立政権のときから、安保容認に転じている。日米軍事同盟を日本の安全保障の基軸におくかぎり、移設先としては沖縄以外の選択肢はないのだ。
安全保障政策については、共産党以外の政党はみな似たり寄ったりだ。
だから社民党の大半の議員(沖縄選出の議員以外の)は、本音では政府方針を受け容れていただろうし、福島党首の抵抗はさぞかし「マジかよ!」「殿、ご乱心!」と映っただろう。
しかし間違ったことを言っているわけではないので、表立って反対はできない。党を割って出ようにも、掲げる旗印がない。
従って、最も困っているのは社民党自身ということになる。

ヤクザが主人公の時代劇をみると、やたらに出入り(喧嘩)シーンが出てきて、派手に斬り合いをする。
でも実際にあんなことをしていたら、ヤクザは命がいくつ有っても足りない。
第一、いくら斬り合いをしても一銭にもならない。得にならないようなことは、今も昔もヤクザはやらない。
果し合いになると、一応ケンカの仕度だけはして双方の一家がにらみ合う。そこに仲裁が現れ「まあここは一つワシの顔を立てて」ってな具合に収めていたらしい。
そうでなけりゃ、海道一の親分さんたちが生き残れませんや。
清水の28人衆だって、大半は明治まで生き残ってるし。
だから、たまに本気の喧嘩(例えば「荒神山」の出入り)が行われると、後世に残ることになる。

天保15年(1844年)、笹川繁蔵一家と飯岡助五郎一家が大利根河原を挟んで睨み合い。
いわゆる「天保水滸伝」。
笹川一家の用心棒だった平手造酒(ひらてみき)、この人は武士の出身だから本気になって斬りこみ、斬死してしまう。
♪むかし侍(サムライ)さんは本気になってチャンバラして・・・♪
だったわけだ。
福島も政治の世界ではシロウトだ。だから本気になって建前を主張し続け、そして罷免されてしまった。
福島瑞穂はバカである。
でもお利口さんばかりのこの世の中、一人ぐらいは沖縄の人たちのために信を貫くバカがいても良いではないか。
なにせ私たち本土の人間は、沖縄の人たちに三重(さんじゅう)の借りがあるのだから。

「福島瑞穂」と「平手造酒」、チョット無理があったかな。

2010/05/28

往生際の悪いシー・シェパード元船長

南極海で調査捕鯨をしていた捕鯨船団の監視船「第2昭南丸」(712t)に侵入したなどとして、艦船侵入や傷害、威力業務妨害、銃刀法違反(所持)など五つの罪に問われた反捕鯨団体シー・シェパードの元船長、ピーター・ベスーン被告の初公判が5月27日、東京地裁で開かれた。
罪状認否でベスーン被告は、酪酸入りのガラス瓶を発射して乗組員を負傷させたとされる傷害罪について、「いかなる人も傷つける意図はなかった」と否認した。
またベスーン被告の弁護側は、「乗組員がいない場所を狙ってガラス瓶を発射しており、酪酸が人体に傷害を及ぼす可能性があるとの認識もなかった」と主張した。
下に薬品入りのガラス瓶を発射している被告の画像(写真)があるが、この姿はもう海賊そのものだ。
Photo
お互いが航行中の船からガラス瓶を発射すれば人にあたることは当然予測されただろうし、中味の有機酸が人にかかれば被害を与えるだろうことは中学生でも分かる。
いい訳にもならない言い逃れであり、実に往生際が悪い。

海洋資源の保護のために捕鯨を制限するというなら賛成だが、自分たちの主張を通すためなら人を傷つけても構わないというのであれば、これはテロ行為といわれても仕方があるまい。
検察側は冒頭陳述によれば、ベスーン被告が昭南丸に侵入した動機について、ドキュメンタリー番組のカメラマンに撮影させるためだったそうだが、何をかいわんやだ。
反捕鯨の主張など口実で、要は売名行為であり飯のタネだったというわけだ。
ベスーン被告は「第2昭南丸」の船中では肉を食べ、菜食主義はシー・シェパードに乗船している時だけだと述べていたそうだ。
彼らを擁護する声もあるようだが、シー・シェパードの行為はその人たちの「反捕鯨」運動にもかえって水を注すのではなかろうか。

2010/05/26

あなたは「一般人」?「特殊人」?

芸能人や女子アナなどの結婚報道のとき、しばしば「相手は一般人」「一般の人」という報道にぶつかる。
この「一般人」という表現が使われるようになったのは、ここ数年来ではあるまいか。
人間には国籍もあれば住所、氏名もあるし、多くの人は仕事を持っているわけで、一般人などという人は存在しない。
ある種の人たちを特別視しそれ以外の人を見下したような表現で、日ごろ不快に感じているが、その定義は不明確だ。
では「一般人」とは、どういう人だろう。
一般の反対語は特殊だから、
(一般人)=(人間)-(特殊人)
という公式で考えてみよう。

「一般人」に含まれない「特殊人」とは、次の人たちだろう。
・芸能関係者;芸能人(アナウンサーを含む)やマネージャー、TV局のスタッフなど、芸能人とその周辺
・プロスポーツ選手;サーファーなんていうのもあった
・芸術家;作家、音楽家、イラストレーター、デザイナーなど
・議員;二世(ニセ)議員が増えたし
・実業家;一時期はIT企業社長がもて囃された
・医師;看護師は一般人
・大学教授:小中高の教師は一般人
・外国人:お相手はフランス人・・・なんて

ざっと見ていくと、TVによく出るような有名人著名人と社会的地位の高い人が「特殊人」になるようだ。
いわば「まっとうな職業」に就いている人、市井の人は皆「一般人」の範疇に入るということになる。
それなら「普通の人」でも通じるではないか。
名もなく貧しく美しく。
あなたは「一般人」? それとも「特殊人」?
ワタシはもちろん一般人で、しかも「一般の下」です。

2010/05/25

今日5月25日は「山手大空襲の日」

東京大空襲というと3月10日を思いおこすが、それ以後も東京への空襲はおよそ30回に及んだ。
5月25-26日にかけては主に東京の山手(やまのて)地域に、米軍による爆撃が行われた。
この日は新宿から原宿、池袋にかけて空爆が行われ、大きな被害を出している。
先ず周辺を焼夷弾で焼いて逃げ道をふさいでおいて中心部に爆弾を投下、逃げ惑う人々を低空飛行で機銃掃射を浴びせて殺傷するという、米軍の典型的な攻撃がこの日も行われた。
3月10日の大空襲で既に首都の防衛力が無いことを確認していたので、米軍としては安心してやりたい放題だった。
もちろん、非戦闘員である一般市民の殺戮だけを目的とした空爆だったことは、いうまでもない。
いくら戦争中とはいえ、明らかな国際法違反だった。

アメリカが日本を守っているなどと言っている人もいるようだが、本来は敵国だった日本を守る義務は無い。
沖縄の米軍基地も当初は本土決戦に備えて、イザという時は抵抗する日本人を皆殺しにするための基地だった。
それが朝鮮戦争経て重要性が再認識され、今日に至っている。
ただ他国の土地に基地を置くわけだから何か理由が要るわけで、いちおう日本を守るという大義名分は掲げてはいる。
もう一つ、米軍の駐留が日本への抑圧、つまり日本を反米国家にさせないことも大きな目的の一つだ。
「山手大空襲の日」にあたり、そんなことを考えてみた。

2010/05/23

鳩山「せんみつ」総理

「千三つ(せんみつ)」なんてぇことを言います。
千のうち三つしか本当のことを言わない、あるいは千に三つしか物事がまとまらないと、そんな意味です。
つまり0.3%。
鳩山首相の公約、鳩山政権のマニフェストの達成率って、そんなとこでしょう。
もっとひどくなると「万八(まんぱち)」てぇのがあるけど、むしろソッチに近いかな。

本日5月23日、鳩山由紀夫首相は沖縄を訪れ、沖縄県の仲井真弘多知事や名護市の稲嶺進市長と会談。
首相は「代替施設は県内、辺野古付近にお願いせざるを得ないとの結論に至った。断腸の思いで下した結論だ」と語ったそうですね。
鳩山首相の辞書に「断腸」はありえませんよ、元々「腸」が無いんだから。
だって昔からいうでしょ。
「鳩山は皐月の鯉の吹き流し 口先ばかりで腸(はらわた)は無し」
そういえば2,3日前にも、宮崎県の東国原知事も「断腸の思い」って言ってましたっけ。
腸の無い、口先男の常套句になっちまたんですかねぇ。

常套句っていやぁ、そのむかし吉原の花魁は馴染みの客に「年が明けたらきっとお前さんと一緒になるよ」ってなことを言って期待を持たせた挙句、
「年(ねん)があけたら お前のそばに きっと行きます 断りに.」。
「ヤァ去年の選挙中はついつい調子こいて国外だ県外だのと言っちゃたけど、ヤッパよく考えたらムリだわ」と、こちらも年が明けたら断りに。

稲嶺市長は「自民党政権より悪い」って怒ってました。
自民党政権が「下(ゲ)」なら、鳩山政権は「下下下の政権」てぇことになりますね。
もうグダグダ言わずに、早く辞めるこってす。
「沖のカモメと 飛行機乗りは どこで散るやらネ はてるやら ダンチョネ」

2010/05/21

「篠山紀信の略式起訴」はやはり疑問だ

6月20日東京区検は墓地で公然とヌード写真を撮影したとして、写真家の篠山紀信氏を礼拝所不敬と公然わいせつ罪で略式起訴した。
起訴状によると、篠山氏は2008年10月15日夜、東京都港区の都立青山霊園内などで、女優を全裸で写真撮影したとされる。女優は指示に従っていたとして不起訴(起訴猶予)となった。
3日前に、当ブログに掲載していた『「篠山紀信」屋外ヌード撮影で送検は疑問だ』の記事を削除していて、たまたま今回の検察の処分と時期が重なってしまった。記事の削除は突然アクセスが異常に増えたので、リンクをたどると、大半が不適切なアクセスであることが判明したための処置だった。
撮影の際にモデルを墓石に立たせたことが大きく採りあがられているようだが、問題は公然わいせつ罪と表現の自由との関係だ。
結論からいうと、今回の検察の略式起訴という処分には、やはり大きな疑問を抱かざるを得ない。

今回の件で篠山紀信氏はメッセージを出しているが、この中でこう述べている。
「40年間ずっとこの手法で撮影を続けてなんのお咎めもなかった」
「だが警察の見解は『100%見られないように出来ない裸はこの罪(註:公然わいせつ罪)にあたる』の一点張りだった」
「これ以後、戸外のヌード撮影は一切出来ないのだろうか。・・・野外に完全密室などありえない。」
そして、こう危惧している。
「そして、この事件がきっかけになって、創造のエネルギーが抑止され、表現することが窮屈になってしまわないだろうか。」
「一連の捜査報道は、表現の萎縮効果を生みかねない。一度壊されてしまうとこの自由は、修復にとてつもない時間とエネルギーを要する。」
私もこれらの主張に賛成だし、その通りだと思う。

この世の中で最も美しいもの、それは人間の身体ではあるまいか。
だからこそ古今東西、絵画や彫刻、写真芸術などでヌードが主要なテーマとしてとりあげられてきたのだろう。
Photo
私見だが、ヌードはとりわけ自然の中でその美しさ、魅力が際立つ。
しかし屋外で撮影する以上、外部から100%遮ることなど不可能だ。
そうなると、例えば下のような写真は、これから日本では撮影出来ないということになる。
Nude1

公然わいせつ罪というのは、本来は公衆の面前で性器や性行為を見せることを取り締まる法律だったはずだ。
それを人気のない深夜に、目隠しや見張り役をおいた上で、モデルが長くて1-2分ガウンを脱いで撮影していたことを罪に問うのは、あまりに拡大解釈し過ぎだ。
それより警察も検察ももっと凶悪事件の解決に力を注ぐとか、小沢一郎のような巨悪に対して厳しく捜査するとか、他にやるべきことがあろう。
限られたマンパワーをもっと有効に使ってほしい。

2010/05/20

井上ひさし作「夢の泪」(5/18)@新国立小劇場

井上ひさし作の東京裁判三部作・第二部「夢の泪」が、新国立劇場・小劇場で上演されているが、5月18日の会に出向く。
いま井上ひさしの芝居はどこも人気が高く、ここでも5月6月の土日は全く歯が立たず、平日の昼となった次第。

作:井上ひさし 
演出:栗山民也
<キ ャ ス ト>
辻萬長/弁護士:伊藤菊治
三田和代/妻で弁護士:伊藤秋子
大和田美帆/娘:伊藤永子
木場勝己/老弁護士:竹上玲吉
小林隆/事務見習い:田中正
福本伸一/朝鮮人組長の息子:片岡健
石田圭祐/日系二世:ビル小笠原
土居裕子/クラブ歌手:ナンシー岡本
春風ひとみ/クラブ歌手:チェリー富士山

ストーリーは、東京裁判で起訴された松岡洋右(日独伊三国同盟の立役者、外相)の弁護を引き受けた弁護士夫婦とその娘の家族が軸になる。
娘の幼馴染である朝鮮人ヤクザの組長の息子だとか、復員兵で弁護士事務所の手伝いを志望する青年とか、持ち歌の著作権をめぐって争うクラブ歌手二人だとか、戦争直後の日本の世相を背景に物語は展開する。
二人は老弁護士のアドバイスを受けながら、松岡の弁護方針や資料集めに奔走する一方、GHQの法務大尉に弁護料の捻出を掛け合うなど、日々苦闘の連続だ。
ようやく弁護方針が固まり、さあこれからという時に、肝心の被告・松岡洋右が死亡してしまい・・・。

今回の芝居を理解する上で重要なのは、「パリ不戦条約」だ。
第一次世界大戦の惨禍を経て、先進諸国は植民地獲得のための戦争はもう止めようということで、1928年に日本を含む世界主要15ヶ国によって「戦争放棄に関する条約」が結ばれた。
これ以後欧米諸国は新たな植民地を獲得するより、資本投下による経済支配に重点を置くようになる。
東京裁判というと直ぐに、平和や人権への罪などは事後法で適用は違法だという主張がされるが、東京裁判では日本が「パリ条約」に違反したかどうかが焦点の一つとなっていた。
二人の弁護方針も、この点をどう突き崩すかに最も頭を悩ませていたというわけだ。

芝居の中で、いくつかの戦後の世相がとりあげられている。
例えば・・・、
・戦争終結前の8月7日に、日本政府は各行政機関に対し文書の焼却を指示していた。
・焼却を免れていた文書の多くは、戦後アメリカが持ち帰ってしまった。
・以上のことから、戦犯の弁護に必要な証拠の多くが失われてしまった。
・戦犯を弁護するということで、当時の弁護人らは日本国民から白い眼で見られることもあった。
・弁護料を日本政府が出すことを拒否したため、GHQ法務部から支出された。しかし清瀬一郎主任弁護士らの一部はこれを快しとせず、受け取りを拒否した。
・東京裁判の評決は8:3で有罪となった。なぜか日本ではインドのパル判事だけが無罪を主張したかのように持ち上げられているが、実際はインド以外にフランスとオランダの判事が無罪を主張した。
・アメリカ人弁護士も弁護に加わっていたが、概ね公平な弁護活動をしたとの評価が行われているようだ。
・焼け跡の闇市をめぐって、日本人と朝鮮人のヤクザがしばしば抗争を繰り返していた。これだけは私もリアルタイムで記憶がある。当時闇市を仕切っていたのは東京露天商同業組合であり、各支部長はみなヤクザの組長がつとめていたが、これがいうなれが警視庁公認。組合は警察署単位で組織されていた。
・東京宝塚劇場は進駐軍が接収して「アーニー・パイル劇場」と名前をかえて、日本人はオフリミット。ジャズ歌手達はそうした劇場や、ホテルのショー、クラブ、米軍キャンプをまわって歌っていた。
日米開戦後に、アメリカにいた日本人は強制的に収容所に入れられて、厳しい生活を送らされていた。日系の若者の中からは志願して兵士となって日本人と戦う人も出てくるようになり、収容生活は少し緩和されるようになった。

この芝居ではこれらの世相を巧みにおりこみながら、深刻なテーマを軽快なナマ演奏にのせて、楽しい音楽劇に仕立てている。
その一方、この「夢の泪」でも、東京裁判というのは結局「不都合なものはすべて被告人に押し付け、御上と国民が一緒になって安全なところに逃避した」という、井上ひさしの主張は色濃く示されていた。

この劇の真の主人公は娘の永子で、劇全体が彼女の成長記録にもなっている。
娘役を演じた大和田美帆は着実に演技力をつけてきて、今やこの手の芝居の娘役に欠かせない地位を築いたようだ。
若者役では小林隆の真っ直ぐな演技に好感が持てたが、福本伸一には演技の迷いがあるように見受けられた。
三田和代の弁護士ぶりはどうに入っている。井上劇作の芝居には欠かせない辻萬長や木場勝己らとともに、芝居の骨格を形成していた。
他に土居裕子と春風すみれが、歌と踊りで色を添える。
そして4人のミュージシャンの楽しいバンド演奏が、芝居のもう一つの主人公だった。

2010/05/17

前進座「切られお富―処女翫浮名横櫛」@国立劇場

来年創立80周年をむかえる前進座の5月国立劇場公演は、「切られお富―処女翫浮名横櫛(むすめごのみうきなのよこぐし)―」。
「お富さん」で知られる瀬川如皐作「切られ与三―与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)―」の書き替え狂言だ。
先代河原崎国太郎のお富は当たり役だったが、25年ぶりの再演は当代の国太郎が初役でそのお富に挑む。

作 … 河竹黙阿弥
補綴 …小池章太郎
演出 …中橋 耕史
<配   役>
切られお富 …河原崎國太郎
井筒与三郎 …嵐芳三郎
蝙蝠の安蔵 … 藤川矢之輔
赤間源左衛門 …中村梅之助
女房お滝 … 山崎辰三郎
按摩丈賀 … 中村靖之介
みる杭の松 …松涛喜八郎
舟穂幸十郎 … 嵐 圭史

ストーリーは・・・。
表向きは絹問屋、実は盗賊の観音久次こと赤間源左衛門の妾・お富は、乱暴者にを攫(さら)われ、あわやという時にかつての恋人・井筒与三郎が来かかり、助けられる。
その後二人は辻堂で情を交わす。
その密会を知った源左衛門は、お富をなぶり切りにして、川に捨てさせる。
かねてからお富に思いを寄せていた安蔵は瀕死のお富の命を助け、薩埵峠に茶屋を出し同棲する。
三年後、たまたま通りかかった与三郎は、全身75カ所の疵を負うお富と再会。
今は浪人となっている与三郎の御家再興のために二百両が必要ときき、お富はその金の調達を引き受ける。
お富は安蔵(こうもり安)とグルになり、今は府中の弥勒町で女郎屋の主人におさまっている源左衛門を強請り、二百両を手に入れる。
その金を持って逐電しようとする安蔵を殺し、お富は二百両を奪い返して与三郎に渡すが・・・。

早くいえば、「切られ与三」を裏返しにしたような筋なので、とても分かり易い。
この芝居に見所はストーリーそのものより、濡れ場、責め場、強請り場、立ち廻り、だんまり、六方などふんだんに盛り込まれた所作にある。
特にお富が責められる場面は、団鬼六もかくやとばかりSMチックなアブナイ雰囲気を漂わせる。

主役のお富を演じた河原崎国太郎が素晴らしい。
と、いうよりは、この芝居は100%国太郎の魅力にかかっている。
前半の純情可憐な女から後半の悪婆(悪女)への変身も鮮やか。
特に動きのさいの、背中から腰にかけての線がキレイだ。
座席がいわゆる花道の七・三の脇で、ここでお富が再三ふりごとをするのだが、そのムンムンするような色気に圧倒される。
これは男じゃなけりゃ表現できない。

蝙蝠の安蔵役の藤川矢之輔はハマリ役で、実に気持ち良さそうに演じていた。
井筒与三郎を演じた嵐芳三郎はやや硬さが見られたが、この人は口跡が良い。
お滝を演じた山崎辰三郎は上品過ぎて、あれでは女郎屋の女将には見えない。
みる杭の松役の松涛喜八郎は掘り出し物、代演ながら適役とみた。

ほかに、嵐広也改メ七代目嵐芳三郎の襲名披露口上あり。

公演は5月22日まで。

2010/05/16

充実の高座が続いた「#99朝日名人会」

人気と実力を兼ね備えた顔ぶれをそろえた第99回朝日名人会は、5月15日有楽町朝日ホールで。
補助席も出る一杯の入り。
前座・柳家花いち『一目上がり』
・三遊亭きん歌『ぞろぞろ』
今秋の真打昇進が決まっているようで、三遊亭鬼丸を襲名するとのこと。そういわれれば横顔が“鬼の面”に似ていなくもない。
舞台度胸が良いというか、物怖じしない。
オリジナルには無い神様を登場させ、民話風の噺を滑稽噺に近づけるのに成功していた。
トップバッターとしての役割は十分果たした。

・古今亭菊之丞『お見立て』
演者と聴き手が経験を共有できていた時代と違って、いま廓噺を演ることの難しさがある。
菊之丞の演出は、喜瀬川花魁の仮病を最初から「恋煩い」とすることによって、無理なく「焦がれ死に」にもって行き、前半の運びをスッキリとさせた。
杢兵衛ダンナのうろたえ振りに笑いをこらえる喜肋を対比させ、笑いを増幅させていた。
それにしても、喜瀬川花魁ってぇのはヒドイ女だ。

・柳亭市馬『宿屋の仇討』
市馬は、自慢の喉を披露する場面以外はオリジナルに手をつけたり、余計なクスグリを入れず、クスリと笑わせる柳家の本流を貫く。
このネタの眼目は、武士と宿屋の番頭、それに魚河岸の若い衆三人連れという対照的な人物の演じ分けにあるが、さすがに上手い。
安定感が抜群の市馬には、時に不満を感じてしまうこともある。

~仲入り~
・柳家喬太郎『松竹梅』
このネタをここまで面白くできるものかと感心させられる。
いま前座噺を演らせたら、間違いなく喬太郎が第一人者だ。
数年前に聴いた、横浜にぎわい座での喬太郎独演会「前座噺集」2回シリーズは、まさに至福の時間だった。

立川志の輔『帯久』
大受けの続いたこの日のトリで、この演目は演りにくかっただろう。
マクラで朝日名人会で初めて演じられるネタだと紹介されていたが、元々は上方落語で、六代目三遊亭圓生が東京に持ち込んだとされる。

ストーリーは。
本町四丁目に呉服屋を営む和泉屋与兵衛は好人物といわれ、評判も高い。
一方、本町二丁目の帯屋久七は、人柄が悪く店も流行らず資金繰りに苦しんでいる。
困った帯屋は和泉屋へ借金を申し入れ、その度に和泉屋は快く用立てていた。
やがて百両を借りた帯屋が十二月の大晦日に返しに来たが、暮のドサクサに紛れて帯屋はその金を懐に入れて持ち帰ってしまう。
帯屋はその百両を元手にして手広く商売をひろげ繁盛するようになるが、それに対して和泉屋は不幸が続き店も傾き始め、ついには火事にあって一切の財産を失ってしまう。
それから10年、与兵衛の面倒を見続けてきた番頭の苦労に報いようと、与兵衛は開店資金を帯屋に借りに行くが、煙管で眉間を割られて末、店の外に放り出される。
すっかり気落ちした与兵衛が帯屋の裏手に回り、松の枝を目にして首を括ろうとした。
今生の最後の一服と煙草を吸う。その吸い殻が帯屋の普請場の鉋屑に転がっていき、燃え出してしまった。
帯屋の訴えで与兵衛は火付けの罪で捕われ、大岡裁きになる。
当時は火付けは死罪、さて名奉行のお裁きやいかに・・・。

筋がやや陰惨な上、笑いを取る場面も少ないので、演じ手があまりいない。
志の輔の演出は、円生のオリジナルにいくつか手を加え、陰惨な部分を和らげていた。
この噺、大ネタの割にオチが貧弱なのが欠点だったが、志の輔の考案したオチは良くできていた。
好演が続いた会の締めくくりに相応しい熱演で、場内は拍手喝さい。
ただ志の輔の喉の調子がかなり悪いのではなかろうかと、それだけが心配だった。

期待通りの充実した会となり、いっそ次回の100回記念にとっておいた方が良かったのではと思わせた。

2010/05/15

柳家三之助真打披露(5/14昼)@国立演芸場

Sannosuke国立演芸場5月中席は落語協会の新真打4人の昇進披露公演だ。
春から都内4軒の定席をまわり、寄席としてはここが最終となる。
5月14日昼の部は、「柳家三之助」の真打披露とあって平日にもかかわらず満席の入り。
寄席の客席やロビーでの会話は参考になることが多く、3年ほど前のある落語会で中年男性が三之助のファンだと言ってるのを小耳にはさんだのがきっかけで、この人に注目し始めた。
聴いてみると、確かに上手い。
当時は二ツ目だったが、実力は既に真打なみ。
今回の昇進は当然の結果だ。

<番   組>
前座・鈴々舎やえ馬「金明竹」
三遊亭金兵衛「反対俥」
ロケット団「漫才」
柳家福治「安兵衛狐」
柳家〆治「お菊の皿」
鈴々舎馬風「漫談」
―仲入り―
真打昇進襲名披露口上
ダーク広和「奇術」
柳家小三治「二人旅(序)」
柳家紫文「俗曲」
柳家三之助「景清」

披露口上で師匠がどういう挨拶をするかを毎回注目しているのだが、この日の小三治の口上は心のこもったものだった。
三之助が手紙で弟子を志願してきて入門を許したただ一人の弟子で最後の弟子という紹介から始まって、3年ほど前に高座を見てこれはいけるぞと思ったことまでを述べて、最後は「将来は大きな大きな看板を背負うような・・・」という期待でシメテいた。
三之助本人も、師匠の期待の大きさをヒシヒシと感じたに違いない。

余談だが、小三治の弟子は18人いたそうで、いま残っているのが9人。つまりはやめた人と続けた人が半々ということだ。
破門されたけど、その後ほかの師匠に入門した人もいるだろうが、単純に計算すれば定着率(転職率)は50%という計算になる。
本人が好きで入った道だが、それでも半分はやめて行くとしたら、なかなか厳しい世界なんだなと思った。

トリの三之助、緊張からか出だしはカタサがみられたが、筋に入るころから本調子に。
同じ盲人が主人公のネタでもこの「景清」の定次郎は、かつて酒に女の道楽三昧を尽くしたという設定になっていて、遊び人だったころの風情を残さなくてはならない。ここが難しい。
三之助はそこのところを上手く表現していて、神仏への悪態のつきかたがドウに入っていた。
石田の旦那も風格があり、目明きになるクライマックスもドラマチック。
全体として上出来の「景清」であり、三之助の実力を示していた。

これも余談になるが、三之助はなにより顔が良い。
落語家といえども芸人である以上は、顔は大事だ。
それも韓流スターやジャニーズ系のような安っぽい顔では勿論ダメ。
歌舞伎役者のようなノッペリとした色男でもダメ。
高座に上がってくるだけで、場内がパッと明るくなうような顔が望ましい。
三之助の顔はそういう意味で落語家として理想的であり、母親に感謝せねばなるまい。

仲入りの時の周囲から、「いま若手じゃ、三三とこの三之助かね。」という会話が聞こえた。
そういう声が出ているようだ。

2010/05/12

大相撲観戦記(5月場所初日)

5月9日に、両国国技館で行われている大相撲5月場所・初日を観戦。
国技館で大相撲を観るのは今回で3度目。
1度目は拍鵬時代、2度目は朝青龍の全盛期、そして今回の白鵬一人横綱の時代となる。
ご存知のとおりマス席は高嶺の花でとうてい手が出ないのだが、“ぴあ”が1万円前後で安い席を販売してる。
数が少ないので抽選販売になるのだが、人気が高くなかなか当たらない。
今回たまたま初日の「特別二人マス席C」が当たったので、両国に出向いた次第。

駅から国技館に向かうと歩道の両側に長い行列、入場で並んでいるのかというとそうではない、「入り待ち」なのだ。
力士はここを通って場所入りするので、その姿を見にきている人たちだ。
ご贔屓や人気力士が来ると、いっせいに「〇〇いいぞ!」「ガンバレ!」の掛け声がかかる。
取り組みが終わると、今度は「出待ち」にかわってゆく。

マス席といってもいちばん後の席なので土俵からは遠いのだが、ここだけは二人席でユッタリと観られる。
普通のマス席は4人だが、狭くて窮屈なのが欠点だ。同じスペースで二人だと、足を投げ出すこともできる。これはイイ。
正規料金の人は飲み物やお土産のサービスがあるが、こちらは無し。自分で缶ビールと名物の焼き鳥を売店で買う。
隣席のご夫婦は山梨から来たとのこと、息子さんが入場券を買ってくれたと嬉しそうに話してくれた。あちらはお土産付きだったから、そうとう奮発したのだろう、良い息子さんだ。

国技館内というのはとても華やいだ雰囲気に包まれていて、気分が良い。
相撲の取り組みだけをみるのなら、TVの方がよほど詳細にみられるのだが、ライブでないと分からないことも多い。
場内に響きわたる拍手(かしわで)の音、仕切りの時に力士が身体を叩く音、力士と力士がぶつかる時の音、土俵下に投げ落とされる時の音、一つ一つが心地よい。
力士一人一人の肌の色、ツヤ、張り、みな違う。
そんな光景を眺めていると、TV観戦の時には長く感じる仕切りも、ライブではあっという間だ。

幕下上位からみていると、上に行くに従って迫力がどんどん増してくるのが分かる。
特に立会いの鋭さと迫力は、上と下では天地の差だ。
野球に例えるなら、高校野球から大学、社会人、二軍、一軍を次々みているようなものだ。
初日ということもあって、協会挨拶、優勝旗返還、優勝額の除幕式に土俵入りと、白鵬は多忙を極める。
やはり一人横綱というのは大変なんだなと実感する。

幕内土俵入りで、力士が一人一人紹介されるが、外国人力士の多さを改めて実感する。
もやは大相撲は、国際大会になりつつある。
優勝力士は世界チャンピオンだ、そう思えば良い。
その白鵬、新大関把瑠都と共に圧倒的な強さを見せていた。把瑠都は明るいオーラを周囲に振りまいていて楽しい。
それに対して日馬富士は明らかに不調だ。
歩いているときの足の運びからして不安で、ケガの影響はかなり大きいとみた。
久々に魁皇が好調そうで、気合十分の稀勢の里と共に、日本人代表で頑張って欲しい。

打ち出し後、直ぐ前の席でみていた小さな坊やが、「楽しかったね」と話しかけてきた。
ウン、坊や、オジサンも楽しかったよ。

2010/05/11

南アの空港は最悪だ

昨日サッカーのW杯南アフリカ大会に出場する代表が発表になった。
応援に現地の南アに行かれる方もいるだろうが、安全には十分気をつけてほしい。
ヨハネスブルグの治安の悪さは様々に報道されているのでご存知だろうが、玄関口であるヨハネスブルグ空港(O.R.タンボ国際空港)の治安が先ず問題なのだ。
ここでは空港係官が平気で窃盗を行うのだ。
旅行者としては、入国手続きでバタバタしている時に被害にあうわけで、防ぐのが難しい。

2007年に空港に降りたち入国手続きを行った後、通関検査があるのだが、これがクセモノ。
係官にいきなりこっちへ来いと薄暗い場所に連れていかれ、ショルダーバックの中を調べられた。
成田空港で両替したドル札を見つけると、それを全部取り出した。何をするかと思っていたら、なにやら話しかけながら1枚1枚数え始めたのだ。
あらかじめ添乗員から注意を受けていたので、札を持っている係官の手元から目を離さずにいたら、諦めたのか返してよこした。
場合によっては、もう一人別の係官が横から話しかけてきて、そちらに気を取られている内に現金を抜き取るそうなので、くれぐれも用心が肝心だ。
とにかく係官が金目のモノを触ったときには、絶対に手元から目を離さないこと。

出国のときも危ない。
現在液体の機内持ち込みが制限されているが、その空港の売店で購入し密封包装された液体は機内持ち込みが許されている。
ところがヨハネスブルグ空港で、ツアーの同行者が空港内の店でブランドものの高級化粧品を買い機内持ち込みしようとしたら、保安検査で取り上げられてしまった。
きっと後で店に戻して、彼らの小遣い稼ぎにするつもりだろう。
ここは添乗員が粘り強く交渉して取り戻したが、個人旅行者では先ずムリで諦めるしかない。
帰国のときも、この空港ではあまり高価な土産物は買わないほうが良い。
ブランドものだったら、途中の香港で買うほうが安心だと思う。

これ以外にも、この空港ではスーツケースのロストが多いことでも知られていて、私たちのツアーでは3分の1の人の荷物がロストになっていた。
幸い一日遅れで出てきたが、旅行者としてはとても不安な思いをすることになる。
これも係員がスーツケースを開けて金目のモノを抜き取ることがあるそうで、高価なモノは預け入れ荷物には入れないようにするしかない。

ヨハネスブルグの街に出れば、金持ちの家では電流を流した有刺鉄線を周囲に廻らし、銃を持ったガードマンが警備している。
商店のウインドーには鉄格子が嵌められ、レストランは夕方過ぎると店を閉めてしまう。
警察が殆んど機能していないため、こんな状況になっている。
南アフリカ共和国は見所が多くとても魅力的ではあるが、被害にあってイヤな思いをしないためには注意が必要なのだ。

2010/05/07

次の一手は鳩山退陣と小沢辞任か

突然ですが、休みをチョコット中断して一言。
3月初めに当ブログで、鳩山内閣の普天間問題の結末を“【普天間移設】鳩山政権の「騙し」の手口”という記事で予測しましたが、ほぼその通りの結果をむかえそうです。
そこで民主党政権の次の一手を予想してみました。
「5月末前後に、鳩山首相は退陣、小沢幹事長は辞任、社民党とは連立を解消し、どこかの『新党』を新たに連立に引き入れ、内閣改造して選挙を迎える。」

鳩山首相の性格を端的に表すと、こうなります。
pretend(フリをする)
excuse(言い訳する)
pretendにはこの他に「取りつくろう, 見せかける, 偽る、まねごと遊びをする」という意味があり、まさに鳩山由紀夫総理にピッタリではありませんか。
記者会見では毎度「言い訳」のオンパレエードですしね。
しかし、もうこれ以上は国民に通用しません。
退陣は時間の問題だし、それなら7月の選挙前でしょう。
執行部の責任をとって、ここで小沢幹事長も辞任です。
お荷物だった社民党を切り、ナントカ新党とやらとくっ付き、反小沢の誰かが次期総理に就任して内閣改造という筋書が見えてきます。
政策は今よりさらに自民党寄りになっていくので、自民党も安心です。
ご主人様のアメリカさんからも覚えめでたくなりますね、きっと。

民主党という政党は、「選挙に勝つ」ことを自己目的にしています。
勝つことは使命だし、負ければ解体に向かうでしょう。
だから負けると分かっている選挙をやるわけにはいかないんです。
雨後の筍のように涌いてきた「新党」も、つまるところは政権参加が目的。
利害が一致した同士で連立を組むと、まあこういった寸法。
さて、当たるも八卦当たらぬも八卦。
もし予想が外れたら、謹慎でもしますか。

それでは又、しばらくお休みです。

2010/05/03

阪神5連勝で首位は嬉しいけど・・・

Hanshin_top5月2日阪神タイガースは接戦をモノにして巨人を3タテ、今期初めての5連勝でついに首位に立った。
甲子園での対巨人3連勝は2004年以来、新井の4番打者として初のホームラン、藤川(俊)のプロ入り初安打、ベテラン関本の久々の決勝本塁打とくれば、阪神ファンには堪らない試合結果となった。
しかしこの勝利、明日につながるかというと疑問が残るし、シーズン通してという観点からすると、あまり素直に喜べない。

それは1イニング(7回)に1失策2暴投の一人相撲で逆転を許した久保田、前日とは別人のようにメッタ打ちにあった西村、両中継ぎへの不安だ。
岩田のケガ、安藤の二軍落ちという非常事態から投手陣は火の車で、中継ぎの一部を先発に回さざるをえなかった。
その結果、残された中継ぎに過重な負担をかけてきたツケが、昨日の結果に表れたのだろう。
能見が走塁で負傷退場したのも気になるところだ。

昨日も3失策と相変わらず守りに課題が残る。
エラーにこそならなかったが、7回にクッションボールの処理を誤り三塁打にしてしまったライト桜井の守備は、これからも不安材料だ。
ここのところの連勝は、好調な打撃に支えられたものだ。
しかし打撃は水物、基本は守りだ。
勝利はしたが、課題ばかり目についた昨日のゲームだった。

2010/05/02

「カネの切れ目がエリカの切れ目」

Sawajiri_erika「ボクと別れて未だ間がないに 女は出世の早いもの」とは柳家三亀松の都々逸。
今からざっと数ヵ月後には芸能活動を再開した沢尻エリカを横目にして、高城剛サンはきっとこんな心境になっているでしょうね。
でも昔からいうように、「カネの切れ目がエリカの切れ目」。ウダウダいわずに早く諦めるこってす。
あんなに尽くしてやったのにと思ってるでしょうが、一般に女性というのはあまり男に恩義を感じないものじゃないのかな、とりわけ美女は。
「金も出来たし着物も出来た そろそろあなたと別れよう」、これも三亀松の都々逸。
こう見ていくと、沢尻エリカっていうのは、意外に古風な女なのかねぇ。

なんでも高城剛サンは「沢尻エリカに半年で数百万円送金した」と言ってるそうだけど、それであれだけの美女を自由にできたんなら、安いものじゃないですか。
それも相手は飛び切りの美女。
いま東京で愛人を囲うと年間数百万円かかるそうで、そう考えりゃ、お買い得さ。
1年3ヵ月、イイ夢を見させてもらったってこと。
このォ、イロ男!

「女氏(うじ)無くして玉の輿(こし)に乗る」。
美人に生まれたなら、それだけで幸せな暮らしが約束される。
これからもエリカ様は男を踏み台にして、人生をステップアップして行くんだろうね。
で、いっぽう男の方はというと「男氏無くして玉の汗をかく」。
これにめげず高城サンは、クリエーターとやらのお仕事で玉の汗をかきながら、何やらクリエートしてってください。

2010/05/01

賑々しく高座舞「鈴本演芸場4月下席・昼(楽日)」

GW谷間の4月30日、鈴本演芸場下席・昼の部の楽日に出向く。
しばらく続いた冷え込みも終わったようで、街にでると初夏の日差しが降りそそいでいた。

< 番  組 >
前座・三遊亭はら生「やかん」
三遊亭金兵衛「権助芝居」
翁家和楽社中「太神楽曲芸」
三遊亭金八「四人ぐせ」
三遊亭歌奴「子ほめ」
すず風にゃん子・金魚「漫才」
金原亭世之介「堪忍袋」
柳家三三「湯屋番」
神田織音「唐人お吉」
鈴々舎馬桜「たがや」
~お仲入り~
東京ガールズ「音曲バラエティ」
柳家喜多八「あくび指南」
花島久美「マジック」
金原亭馬生「安兵衛狐」
大喜利<高座舞>

最近ふと思うのだが、落語家の転職率って、どの位かしらん。
落語家は全員が希望して入門してくるわけだが、何年かやってみて、やはり自分には不向きだと判断するケースだってあるだろう。
師匠から「お前は見込みがないからやめろ」といわれることは先ず無いだろうが、適性がない才能がないと自分で気付くことはあるだろう。
好きなことをやって飯が食えれば、世の中これほど幸せなことはないが、全てがそうそう上手くゆくわけでもあるまい。
客席から見ていて、この人はどうあがいてもムリだよねと思わせる噺家というのは、結構いるものだ。
稽古を重ねて芸を上達させるのは基本ではあるが、それで全てが解決できないのが芸人の世界だ。
今さら後へは引き返せないとしたら、この人はこのままで行くんだろうなと、そんなことを考えながら高座をみてる時もある。
イヤな客だね。

普段あまり高座にかからない珍しいネタがいくつか並んだこの日の番組で、注目したいのは世之介「堪忍袋」だ。
先日、同じ演目で市馬の高座をみたばかりだが、世之介の方が遥かに面白かった。
発端の夫婦喧嘩の理由が、最初はなんでそんなことで喧嘩するのと思わせておきながら、その裏に深い溝があったというところが、斬新だし説得力がある。
バックグランドが存在しているから、些細なことで衝突して時には破局に向かうわけだ。
ヒョッとして、世之介本人の体験?
堪忍袋に鳩山首相が「小沢のバカヤロー」と怒鳴り込むギャグも大受け。
いかにもマルチタレントらしい才気を感じさせる一席。

中トリの馬桜「たがや」は、もっと颯爽として欲しい。
トリの馬生「安兵衛狐」、やけに色っぽい幽霊だ。こんな幽霊ならウエルカム。

この日のお目当ては大喜利「高座舞」。
「落語家が踊りのひとつもできなくてどうする」ということで、故・志ん朝らが提唱して、若手落語家を対象に月に3回踊りの稽古をしているとのこと。
馬生(現役ではこの人が一番ではなかろうか)が進行役となって、その成果を披露しようという趣向だ。
出演者たちも扮装したり着ぐるみをきたりと工夫を凝らし、大いに楽しませてくれた。
全体に踊りはそれほど上手ではなかったが、こういうのはご愛嬌。
楽日ということで、踊りの先生である浅茅師匠も「夜桜」を舞ってくれた。
最後は「並木駒形」の総踊りで、メデタクお開き。

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