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2010/06/08

#13たから寄席「扇辰・兼好二人会」@寳幢院

東京の最南端、大田区西六郷にある「寳幢院」(ほうどういん)で定期的に行われている「たから寄席」。
6月5日は第13回ということだが、参加は初めて。
この日は入船亭扇辰と三遊亭兼好の二人会という趣向だが、この取り合わせが絶妙。
会場はお寺の本堂で、席亭は住職、窓の外からは小鳥の囀りや祭囃子が聞えてくるという、いかにも地域寄席らしい雰囲気だ。

< 番  組 >
前座・立川こはる「湯屋番」
入船亭扇辰「麻のれん」
三遊亭兼好「天災」
~仲入り~
三遊亭兼好「一眼国」
入船亭扇辰「片棒」

このラインナップを見て、知ってりゃ自分も行くんだったなと思われた向きもあるだろう。
そう、なかなか充実した会だったのだ。

先ず、三遊亭兼好がドンドン良くなっている。
以前はやや控え目な印象だったが、ここのところ自信がついたのだろうか、グングンと押してくるような感じになってきた。
参院選に出馬するタレント候補のエピソードをマクラにネタに入ったが、この入り方も自然で良かった。
「天災」では八五郎がやたら単純な男に描かれていて、心学者の紅羅坊名丸の説教にコロッといかれる様(さま)に説得力がある。

2席目の「一眼国」ではガラリと趣向を変えて、マクラを含めて先代正蔵の演出をほぼそのまま踏襲した高座だった。
香具師の親分が正蔵に比べギラギラしていたが、一つ目を生け捕りに行く男としてはこちらの方がリアリティを感じる。
こうした落ち着いた高座でも、観客を惹き付ける技量が備わってきた。
天性ともいえる声の大きさと滑舌の良さをバックに、兼好の快進撃が続きそうな気配だ。

対する入船亭扇辰だが、1席目は師匠扇橋の十八番である「麻のれん」を。
こういう季節感のあるネタが出ると、もう夏だなとしみじみ感じてしまう。
盲人の滑稽ぶりを描く扇辰の温かさを感じる一席。
ただし、枝豆の食い方は師匠にまだまだ及ばない。

2席目の「片棒」は、外から聞える祭囃子に合わせたネタ選びだったのだろうか、こちらも夏場らしい演出だった。
倅(せがれ)を二人にしてオチをガラリと変えていたが、これだと「片棒」というタイトルから外れてしまう。
この演出はあまり賛成できない。
全体的に扇辰としてはやや引いた高座だったが、この日は兼好の引き立て役に回っていたようだ。

開口一番の立川こはる、もし近い将来、男の噺家に伍す可能性がある女流落語家が出現するとしたら、この人がその第一候補だろう。
まあ女ということを全く感じさせないので、「女流」という表現も適切ではないかも知れないが。
二ツ目も近そうだ。

金儲けだけを目的としたような落語会も少なくない中で、こうした手作りの地域寄席が頑張っている姿というのは、とても心地よい。

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コメント

ほめ・く先輩も、あの本堂にいらっしゃったんですね!
なかなか暖かな落語会で、良かったですね。
たしかに、兼好が光っていたと思います。
彼のネタは、正蔵(彦六)→好楽→兼好という流れのものが多く、
「あれぇ、円生一門だったよね?」と思う時もあるのですが、正蔵の
流れを引いた噺をしっかり自分のものにするところが魅力だと思います。
扇辰の「片棒」へのご指摘、まったく同感で、私もブログに書きました。
昨夜は扇遊の本寸法でのこの噺が良い出来でした。
こはるへの高い評価も、よく分かります。
落語の大先輩と同じような視点や感想を持てていることを知って、
うれしい限りです。

小言幸兵衛さま
そうですか、半径1m以内の至近距離におられたわけですね。
話は変わりますが、近ごろ二人会で一人1席なんていう落語会が増えてきましたが、あれは人をバカにしてますよね。
それも大ネタじゃないんですから。
仲入りだと思っていたら終演なんて、腹が立ちます。
鈴本あたりで開く会でもそういうのがあるというのは、困った傾向です。

「半径1m以内」かどうかは分かりませんが、間違いなく同じ空気を吸っていたわけです(笑)。
独演会で前座が二人なんてのもありますよね。客を馬鹿にしてます。
二人会では、鯉昇・平治、かい枝・兼好あたりの横浜にぎわい座の会が好きですね。がっかりする会は、主に“○空間”主催の会。最近は行っていません。

小言幸兵衛さま
同じ企画会社でも「オフィス・エムズ」 主催の会は良心的ですし、地域寄席で行われる二人会は当りが多いですね。
最近では「鯉昇・喬太郎二人会」が充実していました。

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