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2010/06/24

NODA・MAP「ザ・キャラクター」(6/23)

NODA・MAP第15回公演「ザ・キャラクター」が、東京芸術劇場中ホールで行われていて、その6月23日昼の部を観劇。
何かと評判の野田秀樹作品を一度みておきたかったのと、主演の宮沢りえの舞台女優ぶりに興味がそそられたからだ。

作・演出:野田秀樹
<主なキャスト>
宮沢りえ;マドロミ
古田新太;書道の家元
野田秀樹:その妻/ヘーラー
藤井隆:会計/ヘルメス
美波;ダフネー
池内博之;アルコス
チョウソンハ;アポローン
田中哲司;新人
高橋恵子;オバちゃん(代演)
橋爪功;古神/クロノス

芝居のモチーフはオウム真理教事件で、舞台では書道塾に置き換えられている。
これとギリシャ神話が重層的に展開しながら、芝居が進行する。
先ず、オウム真理教問題を扱ったものであることを事前に知っていたら、見に行かなかった。
この事件に衝撃を受けた人は多く、事件の意味あるいは意義をめぐって沢山の作品が書かれているようだが、どうもワタシにはピンとこない。
事件への怒りや不快感こそあるが、何かの意味や意義があるとは到底思えないのだ。

第一に宗教教団、特にその揺籃期は攻撃的であり、ときに暴力的になるのはごく一般的なことだ。
第二にあらゆる組織は、少数で孤立すればするほど先鋭化する。
第三にオウム真理教事件に限っていえば、事件がエスカレートしていった背景には警察捜査の失態が重なったことがある。
坂本弁護士一家の失踪事件から始まって、とりわけ松本サリン事件に対するまで、捜査当局は大きなミスを重ねてきた。
適正な捜査が行われていたなら、少なくとも地下鉄サリン事件は確実に防げた。
そういう意味でこのオウム事件は、捜査ミスが事件を次第に助長させていった側面が大きいとワタシは見てる。
だから結果として大事件にはなったが、日本の社会構造がどうの日本人の精神世界がどうのとか、そんな立派な問題をウンヌンするような事件ではないのだ。
そんなことから、最後までこの芝居に感情移入できなかった。
それを別にしても、作者の言いたいことがどこまで観客に伝えられたのか、疑問に残る舞台だったと思われる。
セリフで多用されていた言葉遊びや地口の応酬も、例えば井上ひさし作品と比べると鋭さが感じられない。
そんな事から、2時間10分の上演時間が冗長に感じられた。

主役の宮沢りえ、熱演だし声もよく透るのだが、セリフと表情がやや一本調子に感じられた。
それ以前に、この芝居のこの役に宮沢りえを起用する必要性があったのだろうか。それは集客力という興行面からの要請だったのか。
彼女の魅力が発揮できたとは思えない。
家元役の古田新太に圧倒的存在感があった。
コミカルな演技ながら教祖の雰囲気を醸し出していたのは、さすがだ。
橋爪功の飄々とした演技と共に、舞台をシメテいた。

公演は8月8日まで。

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