こりゃア「菅」
昨日の菅総理の施政方針演説をきいていると、歴代の自民党の首相のものと何ら変わりがなかった。
いろいろ批判はあったにせよ、鳩山前首相の場合は多少なりとも民主党カラーを打ち出そうとする姿勢はかいま見られたが、菅直人総理にはその片りんも認められない。
例えば普天間基地移設問題では、あれだけ世論の批判を浴びた「日米合意」をそのまま「踏まえる」のだという。
この件については社民党の照屋議員からの質問書にたいして、政府の答弁書では次のように書かれている。
【引用始め】
沖縄は、米国本土、ハワイ等と比較して、東アジアの各地域に近い位置にあると同時に、我が国の周辺諸国との間に一定の距離をおいているという利点を有している。
こうした地理上の利点を有する沖縄に、司令部、陸上部隊、航空部隊及び後方支援部隊を統合した組織構造を有し、優れた機動性及び即応性により、幅広い任務に対応可能なアメリカ合衆国の海兵隊が駐留することにより、種々の事態への迅速な対応が可能となっており、沖縄に駐留するアメリカ合衆国の海兵隊(以下「在沖縄海兵隊」という。)は、抑止力の重要な要素の一つとして機能していると認識している。
また、このような在沖縄海兵隊の位置付け及び機能を踏まえれば、御指摘の「佐世保の揚陸艦部隊」と共に行動することのみをもって、御指摘のように「在沖米海兵隊」が「沖縄に駐留する必要はない」とすることは適当ではないと考える。
【引用終り】
この答弁書の観点からすれば、地理上の利点から沖縄以外の選択肢はないということになる。
それなら元々、県外や国外への移転などということは有り得ない話であり、辺野古への移転は「鉄板」だったわけだ。
自民党政権のときも、ここまで露骨には言ってなかったのではなかろうか。
政府の基本方針の中では一応「沖縄の負担軽減」をうたってはいるが、実行する意志は全く感じられず、単なる「枕言葉」と化している。
経済をみると、「税制の抜本改革」を前面に押し出している。
スローガンとしてきこえは良いが、中味は「企業減税と消費税増税をセットで行う」という意味であり、これまた自民党政権の政策をそのまま踏襲したものだ。
社会保障の充実をうたった消費税だが、実際には企業減税の原資にあてられていたことは、以前の記事で指摘したとおり。
企業の税金はまけてやり、庶民からは消費税でふんだくろうというのが、この度の「税制の抜本改革」の狙いだ。
菅新政権は脱「小沢」だと持て囃されているようだが、政権の中枢を「松下政経塾」出身で固めた「パナソニック政権」でもある。
菅直人がサラリーマン家庭の出身だとか、若い頃は市民運動をやっていたなどというイメージに騙されてはいけない。
そうした経歴と、庶民重視の政治を行うこととは全く別問題だ。
代表選の最中には、イラ「菅」から責任「菅」へ変わったなどと言われていたが、もう一つ変節「菅」を加えねばなるまい。
やっぱり、ア「菅」か。
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