「雀々・志らく二人会」#6日経ホール落語
7月24日は第6回日経ホール落語会、「桂雀々・立川志らく二人会」に出向く。
まるで芸風が異なる二人だが、今年が雀々は50歳、志らくは芸歴25年と、いずれも節目の年を迎えた二人の組み合わせということのようだ。
この会について志らくがマクラで「まるで枝雀・談志を偲ぶ会」と言っていたが、両師匠の芸風を継いでいる二人がどんな高座をみせるか、楽しみだった。
紅雀、雀々ともにライブでは初見。
桂紅雀「普請ほめ」
ご存知「牛ほめ」の短縮版だろうか。
いかにも上方落語らしく明るく元気があってよい、と言いたいところだが、歳が志らくと7才しか違わない。
芸歴15年といえば、東京落語ならそろそろ真打に手が届く位置だ。
もうちょっと何とかしないと。
桂雀々「手水廻し」
師匠・枝雀の家に住み込みで修行していた当時のエピソードをマクラに振って。
大師匠連中の物真似がとても似ていて面白かったし、ちゃんと本筋につながっていたところは流石だ。
ストーリーは、「手水(ちょうず)」という言葉を知らなかったばかりに「長頭」と勘違いし、長い頭の男が客の前でグルグル廻すという実に他愛ない噺だが、これが爆笑モノ。
頭を廻すときや、盥の湯を飲むときの仕種が上手い。
こうした徹底的なバカバカしさは、上方落語ならではだ。
立川志らく「紺屋高尾」
「手水廻し」の後では何をやってもダメと、マクラ抜きで本題へ。
明らかにやりにくそうで、いつもの本調子には程遠く、珍しく2度も言い間違いをしていた。
高尾が素の言葉で喋るのも不自然だったし、何だか息子に意見する母親のように見えてしまった。
「本当は談春より上手いのだが」とエクスキューズしていたが、ネタのチョイスにも問題があったのではなかろうか。
~仲入り~
立川志らく「疝気の虫」
こちらは志らくの独壇場、誰も真似できない。
「虫」を主役にするという着想が良いし、これが実に可愛らしくも憎たらしいのだ。
クスグリの一つ一つに志らくの才気が迸り、今まで聴いた志らくのネタでは、これがベスト。
桂雀々「さくらんぼ」
東京だと「頭山」。
ストーリーは殆んど同じだが、こちらは鳴り物も入って味が濃くなっている。
頭の上に繁った木がどんどん成長し花が咲き、周囲の人の喧騒とは逆に、次第に辛くなってゆくのを仕種で見せて、オチにつなげる。
この噺って、こんなに面白かったかなと感心する一方、トリのネタとしてはどうなんだろうという思いも残る。
欲をいえば、別のネタを聴いてみたかった。
東西の落語家を組み合わせて定期開催の「日経ホール落語」、とても好企画だと思うし、この日の会も充実していた。
でも次回はパス。
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