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2010/07/27

「電子カルテ」で医師が患者の顔を見なくなった

電子カルテがいま多くの医療機関で導入されている。
医師が診療の経過を記入するカルテだが、長い間、紙に書かれていた。
これを電子的なシステムに置き換え、電子情報として記録し管理するというのが「電子カルテ」の仕組みだ。一括してカルテを編集・管理し、データベースに記録する仕組みのことである。
厚生労働省の肝いりで推進されており、私の通う診療所でも1年以上前から導入され実施されている。
カルテの管理に必要なスペースと手間がなくなり、検査結果などがデータベース化されるので、複数の診療科にまたがって診察を受ける患者にとっては有効なシステムといえる。
処方箋もコピー&ペーストで書きこめるから、時間は短縮されるし間違いも減る。
一見、良いことずくめのように見えるのだが、ここに大きな問題が生じている。
それは、医師が患者を見ることなく、専らモニターと対話する状況が生まれている。

こんな具合だ。
「はい、〇〇さん、どうぞ」
と言いながら、医師はカルテと検査データが表示されているモニターを見ている。
そのままの姿勢で、「その後いかがですか」と訊ねてくる。
患者が病状を説明すると、それを医師はキーボードで入力する。もちろん、モニターから眼を離さない。
「検査結果ですが、特に問題はありません」と、これもモニターに向かって話しかけ、「それではいつもの薬を4週間分出しておきます。」と言いながら前回の処方箋をそっくりコピー&ベーストする。
「では次回は4週間後で、0月00日ですね。予約は午前10時でいいですか。」とここで処方箋と予約表を渡され、「では、お大事に」と帰される。
近ごろは聴診器をあてる医師などメッタにいないから、診察の間、医師が患者の顔を一度も見ずに終わってしまうことになる。
特に内科系の場合は、一日中医師がモニターとキーボードにかかりっきりになっていて、ただ患者だけが次々と入れ替わるような状況になる。

患者は医師に診てもらいたくて通うのだが、医師はモニターしか見ない。
キーボード入力に不慣れな医師が、どうしてもそっちの方に気をとられるのは止むを得ないだろう。
人は顔色を見ただけでも体調の良し悪しが分かる。
患者の顔を見ずに、果たして正確な診断が下せるのだろうか。
こいなると厚労省の指針に「電子カルテ運用にあたっては、医師は必ず1分間以上患者の状態を眼で観察すること」と書き加えねばなるまい。

電子カルテでもうひとつ心配なことは、これからはカルテの書き換え、改ざんが容易になるということだ。
医療ミスの係争で、患者が不利にならねば良いのだが。

【追記】
麻酔医をされている方から指摘があり、電子カルテの場合は時系列で記録されるため、カルテの改ざんは出来ないとのことでした。

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医療・福祉」カテゴリの記事

コメント

 ついでに、過去のエントリ見せてもらいました。電子カルテは、患者と医師の距離を広げるだけでメリットはありません。ところが、カルテの改ざんは実は無理なんですよ。すべて時系列で記録されて変更も履歴に残るのです。

タカ派の麻酔科医様
ご指摘有難うございます。
医療の門外漢が書いたものですから、不正確な記述だったようです。
早速、当エントリーに訂正をいれます。

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