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2010/08/11

国立演芸場8月上席(楽日)

この暑さの中、4日間連続で落語三昧。
別に寄席の決死隊になったわけではなく、お盆休みで孫のお守りから解放されている。
だからこの日のように、平日の昼間から寄席に行ける幸せを噛みしめつつ、8月10日楽日の国立演芸場へ。

前座・春風亭ぽっぽ「垂乳根」
前座としてテキパキと仕事をこなしてる姿は度々見受けるが、高座は入門したてのころ以来で、着実に上手くなっている。
いや元々上手かったのだ。
それだけに痛ましく感じ、「落語家は女に向かない職業」の記事で当時の彼女をとりあげた。だから目の前の高座姿を見ると、面映い。
ちなみに当ブログへのアクセスのキーワードでは、落語家の中では喬太郎や談春といった人気者を抑えて、「ぽっぽ」が断トツの1位だ。
アイドル視されているのだろうか。
・春風亭一左「子ほめ」
普通は前座の後に二ツ目が登場してくると、こんなに違うんだと思わせるのだが・・・。
・三遊亭歌奴「鹿政談」
先代(現・円歌)と違って、朗らかで大らかな芸風に好感が持てる。
このネタも歌奴が演じると湿っぽさがない。
・ダーク広春「奇術」
寄席に出る手品師は、手品の技術より喋りが大事。
・三遊亭金時「不孝者」
落語によく出てくる道楽者の若旦那の噺だが、このネタは後半の展開が違う。
ストーリーは、
若旦那を使いに出せば今日も今日とて茶屋遊び。
奉公人では頼りにならずと、大旦那が下働きのむさくるしい身なりに扮装して、その茶屋へ乗り込む。
二階では若旦那がどんちゃん騒ぎで相手にされず、奉公人に見られてしまった大旦那は一階の布団部屋に入れられ、燗冷ましの酒で待たされる。
そこに酔いを醒ましに座敷を抜けた芸者が誤って入ってくるが、その芸者こそ大旦那がかつて世話をしていた相手で・・・。
先ずはこの出番でこのネタを選んだ、金時の了見がいいじゃありませんか。
時間の関係でやや短縮版になっていたが、芸者がすてられた恨みつらみを涙ながらに語り、それを受け止めようとする大旦那とのヤリトリは聴いていてグッとくる。
金時の演じる大旦那は、風格の中にかつて遊び人だった面影を残し、芸者の儚さと共に上出来。
金時の力量を見せつけた一席。
・柳家小満ん「幽女買い」
内容は、上方落語「地獄八景亡者の戯れ」の東京版といったところ。
むしろ小満んがマクラで、かつてのお盆のお迎え火について細かな解説をしていたが、子どもの頃を思い出し懐かしかった。
食うや食わずの時代だったが、お盆の作法だけはどこの家でもきちんとやっていた。
【訂正】
トシ坊様よりご指摘があり、ネタの題名を「幽女買い」に訂正しました。
古典を立川談志が掘り起こしたものだそうで、「遊女」があの世だと「幽女」、「新吉原」が「死に吉原」といった言葉遊びが随所に出てきます。

―仲入り―
・ホンキートンク「漫才」
・宝井琴柳「清水次郎長伝より『小政』」
落語では聴いたことがあるが、オリジナルの方の講談は初めて。
かつてヤクザは庶民のヒーローだった時代の物語。
・翁家勝丸「曲芸」
・春風亭一朝「抜け雀」
4人の登場人物、宿の主、その妻、無一文の客、その父の演じ分けがしかりとしていて、上出来の「抜け雀」だった。
特に好人物の宿の亭主の描写が秀逸。
オチも今の人には分りづらいので、マクラで「駕篭かき」の解説をしていたのも親切。

平日の昼席なので止むを得ないだろうが、客席がガラガラだったのは、高座の内容から見ると勿体なかった。

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寄席・落語」カテゴリの記事

コメント

小満ん師匠のは、最後があの世の吉原であれば、「幽女買い」だと思います。

トシ坊様
ご教示有難うございます。
早速訂正いたします。
「遊女」と「幽女」を掛けているんですね。
これも古典だそうですが、上方の「地獄八景・・・」と発想がよく似ている所が面白いですね。

一朝師匠主任の楽日に行かれたんですね。私はその前日でした。
私の日のように歌奴が休演ではなく、小満ん、一朝両師匠も相変わらず流石のネタ選びだったようですね。
私はたまたま夏休みなので行きましたが、団体さんで混んでいました。しかし、この顔ぶれでこの会場と木戸銭なら、もっと純粋な落語ファンで埋まっても不思議ではないですよね。
それはそれで行った人間には助かりますが、やはり残念な気もします。

小言幸兵衛様
仰る通りで、私みたいなシルバー料金では、何だか申し訳ないような気がしてくる内容でした。
前座からトリまでそれぞれに持ち味を出していた楽日でしたが、特に金時の高座が強く印象に残りました。
この人はいつ観ても充実した高座を見せてくれます。
もう少し人気が出ても良いと思うのですが。

国立演芸場は終演後に、ロビー前にネタ帳が貼り出されますよ。home★9さんはそちらを確認してないのですか?。

中川様
はい、確認したことはありません。
何か他に誤りがあったでしょうか?

返信どうもです。
いえっ、ただ貼り出されたネタ帳を確認すれば、「遊女」なのか「幽女」なのか、どちらが正しいのか分かったんじゃないか?と思ったもので(他の寄席はネタ帳が見れないのであれですが)。
私は判っている噺でも国立に行くと、一応帰りに確認しています。

>何か他に誤りがあったでしょうか?
参考ながら…少し前の今年の国立4/11(円楽襲名披露)での、三遊亭小遊三の演目は「道灌」ではなくて、「やかん」です。私もそれに行き、貼り出されたネタ帳にもそう書かれてました(揚げ足取りではなく、最近ここを知ったので、あえてこちらに書かせて貰いました。失礼があればご容赦を)。

HOME★9さんも知らない噺は無いと思いますが、最後にそちらを覗いてみれば如何でしょうか?。正確な演題が判ると思いますよ。

中川様
ご指摘有難うございます。
前半で切っていましたが、確かに「やかん」の方でしたね。
訂正します。
ただ貼り出しのネタ帳を確認するかどうかは、人それぞれだと思います。
面白そうなテーマですので、後日改めて記事にするつもりです。

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