落語教育委員会(8/22夜)@横浜にぎわい座
「柳家喜多八・三遊亭歌武蔵・柳家喬太郎」三人会(落語教育委員会)が8月22日、横浜にぎわい座で行われ、夜の部に出向く。
この日で22回目だそうだが毎回大入り状態だそうで、先ずはご同慶に堪えない。
歌手の元祖三人娘(言うことが古い!)にたとえれば、喜多八がチエミ、歌武蔵がいずみ、そして喬太郎がひばりといったところか。
< 番 組 >
オープニングコント
林家きく麿「金明竹・博多弁」
柳家喜多八「おすわどん」
~中入り~
柳家喬太郎「ぺたりこん」
三遊亭歌武蔵「強情灸」
携帯を題材にしたオープニングコントだったせいか、この日は最後まで携帯音が鳴らなかった。
場内放送では「携帯は切るかマナーモードに」と言っていたが、これは喬太郎の「必ず切って」が正解。あの振動音は呼び出し音に劣らず不快。
きく麿「金明竹・博多弁」、きく麿はこの9月に真打昇進だそうだが、この日の出来を見る限りでは「ウ~ン」だ。
金明竹で訪れる男が博多弁で九州の名産を並び立てるという趣向だが、面白いと思わなかった。
喜多八「おすわどん」、にぎわい座の館長である桂歌丸が、かつて埋もれていた古典を掘り起こしアレンジしたネタで。その縁で高座に掛けたのだろうか。
先代円楽の持ちネタでもあった。
この噺、私にはいまひとつピンとこない。
オリジナルの古典では、妾のおすわが本妻をイジメて自殺に追い込む。だから毎夜の「おすわどん」の声に怯えるのだ。怪談噺風に持っていって、ストンと落とす。
妾が良い人で本妻との関係も良好という設定なら、「おすわどん」の声に怯えるというは不自然で、オリジナルの方が自然ではなかろうか。
喬太郎「ぺたりこん」、三遊亭円丈の作品だが、不条理で後味も良くないネタだ。
喬太郎の演出は課長の悪意が露骨で、机に掌がくっ付いた男の哀れさが強調される。
しかし観ている観客が不快な思いをせず、けっこう楽しめるのは、喬太郎のマゾヒズムにあると思う。
「按摩の炬燵」をはじめとする一連の盲人ものでも、虐められる側がむしろ楽しんでいるようにさえ見えてくる。
「お菊の皿」のお菊への責め場でも、それを感じる。
この種のネタで喬太郎の高座が説得力を持つのは、そのせいではなかろうか。
歌武蔵「強情灸」、NHK-BSの演芸番組の話題をネタにふって。
ねずっちとか言う芸人が謎かけで売れたせいで、演芸番組でも客席からお題を頂いて、即席で謎かけをやらされる機会が増えたそうだ。とんだトバッチリを受けているわけだ。
歌武蔵の古典はオーソドックスで、クスグリも少ない。
持ち前の明るさとエネルギッシュな高座スタイルで、この日も客席を沸かせていた。
着実に力をつけている。
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