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2010/08/29

#9三田落語会(8/28夜)@仏教伝道センター

第9回三田落語会が8月28日あり、夜席へ。
この会では当日、次回の前売りを行っている。
開場10分前から整理券を配り、番号順に中入り又は終演後にチケットを購入する仕組みだ。
昼夜2回公演だが昼席から先に販売するため、喬太郎が出る次回の前売りチケットは昼で完売。
せっかく夜席で開場前に早めに来て待っていた人は、空振りになってしまった。
昼夜公平に配分するよう工夫が必要ではなかろうか。
主催者に検討をお願いしたい。

さて、この日は「柳家さん喬・桃月庵白酒二人会」。
チラシによれば、一門の壁を越えてさん喬が白酒に目をかけているとのことで、この日の企画が実現したもよう。
同じ古典でも芸風が全く異なる二人の会、どのような展開になるか楽しみだった。

< 番  組 >
前座・春風亭朝呂久「道灌」
桃月庵白酒「臆病源兵衛」
柳家さん喬」「抜け雀」
~中入り~
桃月庵白酒「船徳」
柳家さん喬「子別れ(中・下)」

前座の朝呂久「道灌」、喋りがしっかりしているし、自分の型を持っている。
ただ歩き方が良くない。芸人だから見栄えも大事だ。

さん喬の二席、いずれも十八番というべきネタで、いつもながら上手いなぁと感心する。
例えば「抜け雀」では、墨のすり方、絵の描くときの筆の持ち方、そうした一つ一つが丁寧なのだ。
「子別れ」では、母子で糸をほぐすときの糸の繰り方もそう。
ちょっとした事と思い勝ちだが、それぞれ大事なシーンでの芸の見せ所なのだ。

白酒の1席目は「臆病源兵衛」。
マクラで日テレの24時間TVの胡散臭さをタップリ皮肉っていたが、同感。
そんなことを言ってると、「笑点」からお呼びがかからなくなるだろうけど。
さて「臆病源兵衛」とは、こんな噺。
明治の初めまで、根津に遊郭があった。今の東大の近くだ。
その根津遊郭は「地獄」と呼ばれる悪所というのがこの噺の設定で、オチに使われる。
八五郎と兄いが酒を酌み交わしているうちに、 暗闇を異常に怖がるが女には目の無い助平な源兵衛をおどかして笑おうということで話がまとまる。
兄いの遠縁で乙な娘がいると聞いて、暗い中を源兵衛は八五郎につかまって兄いの家にやって来る。
娘さんは用足しに出たことにし、八五郎も買物に出たふりをして台所に隠れている。 
兄いに命じられて源兵衛は台所にこわごわ行くと、それでも飲みたい酒を取りに来た源兵衛を、八五郎が白い手拭をかぶってワッと驚かす。 
驚いた源兵衛は恐ろしさのあまり一升瓶で八五郎の頭を叩き、のばしてしまう。 
てっきり八五郎が死んだと思った兄いと源兵衛。
八五郎に死に装束を施しつづらに入れ、源兵衛に捨てに行かせる。 
源兵衛がつづらを背負って不忍池のあたりまで来たところ酔っ払いと遭遇、怖くなってつづらをおっぽり出して逃げる。
その途端、気絶していただけの八五郎が息を吹き返し、おのれの姿を見て「死んじゃったよ、俺」と思い込む。
不忍池を見てはここは血の池地獄だと、いや蓮の花があるからこれは極楽だと。
そこへ根津遊郭で遊んできた男たちとバッタリ会って・・・。

珍しいネタで、私は初見だった。
白酒は二つ目時代から高座にかけているようだが、演り手がないのはあまり面白く出来ないからだろう。
しかし白酒が演るとこれが面白いのだ。
源兵衛の暗闇への怖がりぶりと八五郎が自分は死んだんだと思い込んでの慌てぶり。
白酒が描く人間の造形がクッキリとしている。
だから途中で入れるクスグリも効いて、実に楽しい1席。

白酒の2席目は「船徳」。
若旦那・徳の傍若無人ぶりに拍車が掛かった演出。
徳の開き直りぶりと、二人の客のうろたえぶりの対比が鮮やかで、観客は大喜び。
高座を観ていてつくづく感じたのは、白酒という噺家はその存在自体が面白いということ。
天性だといえる。

さん喬と白酒、それぞれの持ち味がいかんなく発揮され、期待通りの充実した会だった。

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コメント

>前座の朝呂久
「一目上がり」が上手です。声が大きくて気持ちがいい。歩き方は今後の改善点ですかね。

さて、雲助一門が一派を成しつつあります。実力派の白酒(「船徳」は聴きたかった)、固定ファンを持つ馬石、真打昇進が決まった弥助。

福さま
確かに雲助一門は若手が揃ってきました。
それとこの一門、名前が変わっています。
この秋真打になる弥助は蜃気楼龍玉と、なんだかオドロオドロシイ名前です。
師匠の好みですかね。

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