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2010/08/21

海上保安庁は何を隠したかったのか

香川県沖で第6管区海上保安本部(広島市南区)のヘリコプター「あきづる」が18日に墜落し、乗員5人が死亡した事故で、会見のたびに6管の発表がクルクル変わるという失態を演じている。
その要因のひとつに、今回の事故が岡山地検の司法修習生による体験航海向けに「あきづる」がデモンストレーション飛行をした間に起きたにもかかわらず、これを公表しないと決めていたことにある。
体験航海は岡山地検の依頼を受け、司法試験に合格して地検で研修中の司法修習生を対象に水島海上保安部(岡山県倉敷市)が計画。ヘリが所属する広島航空基地(広島県三原市)は18日、計2回の体験航海に合わせたデモ飛行とパトロールの実施を決めた。しかし、18日午後3時10分、ヘリは2回目のデモ飛行の前に墜落した。

6管が事実を公表しないと決めたのは事故当日の18日夜で、現場トップの林敏博・本部長が「それでいこう」と最終判断を下していた。
以後会見は迷走し続け、21日午前までに21回に及んでいる。
デモと事故との間に因果関係は無かったとされており(この点はさらに検討が必要)、それならなぜ事実を隠蔽しようとしたのか疑問が残る。
これから法曹界を担おうとする司法修習生に海保の現場を体験してもらう目的であれば、なにも隠し立てする必要もなかろう。
ここまで組織あげて隠そうとしたのには、特別の理由があったと考えるのがフツーではなかろうか。

先ずは海保と検察の関係を見てみよう。
かたや法務省、かたや国交省の管轄である二つの組織だが、関係は深い。
海上保安庁法には次の規定がある。
【海上保安庁法】
第三十一条  海上保安官及び海上保安官補は、海上における犯罪について、海上保安庁長官の定めるところにより、刑事訴訟法 (昭和二十三年法律第百三十一号)の規定による司法警察職員として職務を行う。
次に刑事訴訟法には、以下のような規定がある。
【刑事訴訟法】
第百九十三条  検察官は、その管轄区域により、司法警察職員に対し、その捜査に関し、必要な一般的指示をすることができる。この場合における指示は、捜査を適正にし、その他公訴の遂行を全うするために必要な事項に関する一般的な準則を定めることによつて行うものとする。
2  検察官は、その管轄区域により、司法警察職員に対し、捜査の協力を求めるため必要な一般的指揮をすることができる。
3  検察官は、自ら犯罪を捜査する場合において必要があるときは、司法警察職員を指揮して捜査の補助をさせることができる。
4  前三項の場合において、司法警察職員は、検察官の指示又は指揮に従わなければならない。
第百九十四条  検事総長、検事長又は検事正は、司法警察職員が正当な理由がなく検察官の指示又は指揮に従わない場合において必要と認めるときは、警察官たる司法警察職員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会に、警察官たる者以外の司法警察職員については、その者を懲戒し又は罷免する権限を有する者に、それぞれ懲戒又は罷免の訴追をすることができる。
(2項以下略)

つまり海上保安官には海上救援活動という任務以外に司法警察官という職務があり、後者については検察の指揮下にあるわけだ。
指揮や指示に従わなかった場合は、検察から懲戒や罷免を受けることになり、コワイ存在なのだ。
地検からの要請で行ったデモ飛行中に事故が起きたことを公表すると、もしかして親分の顔に傷をつけることになるかも知れない。
あるいは検察の要請で、こうした体験航海だのデモ飛行だのを行っていたこと自体、あまり世間に知られたくなかったのかも。
ムダな金を使ってと、また世間から非難されかねないし。
6管が隠したかった理由というのは、この辺りではなかろうか。

もう一歩勘ぐれば、この行事そのものが元々は研修を口実にした官官接待だったニオイも。

とにかく海保は全ての事実を公表し、悲惨な結果になってしまった今回の事故原因を徹底的に調査してほしい。

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