#3成城寄席(9/28昼)@成城ホール
世田谷の成城ホールで行われている成城寄席、第3回は9月28日に開かれ、昼夜公演の昼の部に出向く。
談春、喬太郎の二枚看板が顔を揃えたとあって、自由席だということで午後1時開演なのに午前11時にはもう並んでいた人もいたとか。熱心というか、ヒマというか・・・。
この会、喬太郎が冒頭に「談春師匠からお誘いがあって」と言っていたので、談春が中心の会らしい。
仲入りを挟んで前半が立川流、後半が落語協会になっていた。
前座・立川春樹「浮世根問」
全く物怖じしない落ちついた高座は、前座とは思えないほどだ。素質は十分とみた。
クスグリも入れ込んで、面白く聴かせていた。
・立川志の吉「寿限無」
後から登場した談春が「志の吉と談修は次の真打」と紹介していたが、それで「寿限無」が得意とは・・・。
拍手と笑いで大受けだったが、アタシには何が面白いのかさっぱり分からなかった。
それと芸人は腰が低いことや謙るのは良いが、卑屈になっているという印象を与えるのは好ましくない。
・松元ヒロ
一般にピン芸と呼ばれているが、これはジャンルを表すものではない。漫談でもないし、こういう芸をなんと言うのだろうか。
ライブでは初見だったが、面白かった。
パントマイム出身だけあって動きがキレイだし、流暢とはいえないトークも味があって良かった。
個人的には時事ネタを入れて欲しかったが。
・立川談修「宮戸川」
談志の「死ぬ死ぬ詐欺」をマクラに本題へ。
無難な出来だったが、せっかくこうした会だから、もう少し意欲的なネタに取り組んで欲しかったように思う。
会場の反応から、今日は甘い客と見たか。
・立川談春「替り目」
今日出演の若手をいじってから本題へ。
通常はこのネタに登場する亭主は泥酔状態なのだが、談春の演出はそれほど深酔いしていないという設定。女房もただ従順というよりは、キツイ面を持たせている。
女房が出かけたと思い込んだ亭主の独白の場面では、自分が死ぬ前に感謝の言葉を口にしたいと言い、もし女房の方が先に死ぬようなことがあったらと涙にくれる、夫婦の情愛の深さを示す談春独自の演出。
こういう「替り目」もいい。
~仲入り~
・橘家文左衛門「のめる(二人癖)」
かつては池袋演芸場で受ける噺家というイメージがあったが、ここ数年で一新した。すっかり人気落語家の一員になってしまった。
この人の魅力は、「程よいアクの強さ」だ。
品は良いとはいえないが、決して卑しくない。
このネタ、久々だったが楽しめた。
・柳家小菊「粋曲」
いつ聴いても、いいねぇ。
特に「淡海節」は絶品。やはり基礎がしっかりしているからだろう。
・柳家喬太郎「死神」
本人は古典は1週間ぶりと言ってたが、稽古不足のせいだろうかセリフのトチリが多かった。
こういうネタは、セリフがつかえると聴いている側の緊張感が薄れてしまう。
喬太郎にしては、平凡な出来の「死神」だった。
ニュースで、古今亭志ん五の訃報に接した。
61歳、まだまだ若いというのに残念だ。
真面目な顔で喋るのだが、とぼけた面白みに溢れた高座で、いつも楽しませてくれた。
ご冥福を祈る。
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