【特捜検事不正】厳正な捜査は期待できない
今ごろはきっと、逮捕された大阪地検特捜部主任検事・前田恒彦容疑者は、「なぜ俺だけが」と嘆いているに違いない。他の検事だって似たようなことをやってるじゃないかと。
検察内部では、誰が朝日にタレ込んだのか、そっちの「犯人」捜しに目が向けられていることだろう。
そして捜査を担当する最高検は、資料の書き換えは前田恒彦検事個人の行為であり、結果として村木厚子さんへの公判に対しては影響がなかったという結論に導くのだろう。
今年の1月末から2月にかけて、前田主任検事(以下、役職は全て当時のもの)が同僚らにFDの更新記録を書き換えたことを打ち明け、その事実は副部長を通じて大坪弘道特捜部長に報告されていた。
それに対して大坪部長の見解は「データを改ざんしたという噂もあったが、“2004年6月1日”という捜査報告書がすでに法廷に提出されており、公判で問題になることはない。」というものだった。
この件は数日後には、大坪特捜部長から大阪地検トップである小林敬検事正と玉井英章次席検事に報告されている。
それ以降、9月に朝日新聞がスクープし、最高検が前田検事を逮捕するまでのおよそ7ヶ月間は、検察内部でデータ書き換え疑惑が問題にされることはなかった。
組織的隠蔽という報道もされているが、そうではなくて検察内部では問題とされていなかったのだから、もっと悪い。
「別に・・・」が、大阪地検幹部の反応だったといえる。
この件で報告があったかどうかを訊かれた小林敬検事正は、「そういう言葉は覚えていない」と答えている。
このコメントを信じるなら、検事正がたった数ヶ月前のことを覚えていないとすれば、いかに書き換え不正に関心がなかったかを示している。
今回の検事による証拠の改ざんについて、上部へ行くほど重大さに対する認識が薄くなっているのは、これに類する行為が日常的であったかを物語っているのではなかろうか。
むしろ、検察内部の「文化」と化しているのではないかという危惧まで抱かせる。
同じ文化を共有する最高検が果たして厳正な捜査ができるものだろうか、大いに疑問を感じる。
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