【証拠品改ざん】検察の権威は地に堕ちた
過去の冤罪事件では、警察が証拠を隠滅したり捏造したことが明らかになったケースはあるが、検察による証拠品の変造はあまり例がないと思われる。
先日の郵便不正事件にかかわる裁判で、厚労省元局長・村木厚子氏に対して無罪の判決が言い渡されたが、この事件で大阪地検特捜部の主任検事によって重要な押収資料が改ざんされていた疑いが濃厚になっている。
問題の資料は、偽の証明書を作成していた上村勉被告のフロッピーデスク(FD)であり、この内容が次のように書き換えられていたというのだ。
・証明書の文書の最終更新日時が“2004年6月1日午前1時20分06秒”であったものが、“2004年6月8日午後9時10分56秒”に書き換えられていた。
・他の文書はいずれも厚労省の管理するパソコンで操作されていたが、この書き換えだけは別のパソコンとソフトが使われていた。
・その書き換えは昨年7月13日午後だったことも判明しており、この日は検察からFDを上村被告側に返す3日前だった。検察によって書き換えられたのは明らかだ。
ではなぜ検察はこのような改ざんを行う必要があったのかというと、特捜部は村木氏から上村被告への証明書発行の指示が6月上旬としていたからだ。
そうすると、当初の記録である“6月1日未明”では辻褄が合わなくなる。
そこで更新記録の日時を“6月8日夜”に変えれば、検察の思い描いたストーリーに当てはまる。
問題の主任検事は「誤って書き換えした可能性がある」と説明しているようだが、誰が見ても意図的な改ざんであるのは明白だ。
捜査関係者が自由に証拠を改ざんしたり捏造したりできるなら、事件のでっち上げは容易となり、私たちは誰でもいつでも犯人にされてしまう。
世の中「一時が万事」である。
検察のエースともいうべき特捜部において、このような証拠改ざんが行われていたとしたら、他の事件についても疑わざるを得ない。
地に堕ちた検察の権威を取り戻すためには、関係者に対する厳正な処分と、第三者機関による再発防止作を講じることが求められる。
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