【寄席は学校5】“遊女は客に惚れたと言い・・・”
東京地裁で、客として通っていた耳かき店の店員江尻美保さん=当時(21)=と祖母鈴木芳江さん=同(78)=を殺害したとして殺人罪などに問われた無職林貢二被告(42)の裁判員裁判第5回公判で、検察側は論告で「極めて強い殺意に基づく残虐で計画的な犯行」として死刑を求刑した。裁判員裁判では初めてだ。
この事件に限らず、飲食店などの接客業につとめる女性が、客から被害を受ける例は後を絶たない。
指名制度があるような店で働く女性は、指名を受けないとタダ働き同様になってしまう。
だから指名してもらう客の獲得に必死だし、そのためには世辞や愛想は欠かせない。
時には客に「なんだか好きになっちゃった」位のことは言うだろう。
相手はビジネスで言ってるのだから、そう受け止めてその場を楽しんでくれば良いのだが、なかには勘違いしてしまう男がいるから始末が悪い。
「恋は恋でも金持ってコイ」の世界である。
女性に金を貸したら、ドロンされてしまったという話も少なくない。
ボクが子どもの頃はラジオの時代で、落語や漫才と並んで人気が高かったのが浪花節(浪曲)だ。
当時、人気があった浪花節のひとつに、篠田実の「紺屋高尾」という出し物があった。
その冒頭の出だしはこうだ。
“♪ 遊女は客に惚れたと言い、客は来もせでまた来るという、嘘と嘘との色里で ♪”
「だから水商売の女に惚れただのはれただの言われたって、信用しちゃぁいけなんだよ。」とは、戦前にカフェのママだった母の解説だ。
小学生の子どもには相応しくないアドバイスではあるが、内容はあるていど理解できた。
お陰で被害にあわず、むろん被害を与えることもなく今日に至っている。
古典芸能には生活の知恵がつまっている。
せいぜい寄席に通って、人生を「粋」に過ごしたいものだ。
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