【検事起訴】「佐賀元明を支援する会」の怪
最高検は10月11日、郵便不正事件の証拠を改ざんしたとして逮捕した大阪地検特捜部の元主任検事・前田恒彦容疑者を、証拠隠滅罪で大阪地裁に起訴した。前田元検事は起訴内容を認めているとされる。
一方、証拠改ざんを知りながら隠したとして、犯人隠避容疑で同部の前部長・大坪弘道容疑者と共に逮捕された前副部長・佐賀元明容疑者を支援しようと、弁護士36人が「佐賀元明を支援する会」を発足させた。司法修習の同期生を中心に、佐賀容疑者が司法研修所で教官を務めた教え子も参加した。今後、賛同者は100人規模に達する見込みだそうである。
会合では、弁護団長を務める伊藤裕志弁護士は「彼の人柄を知る者として、到底犯罪を犯す人物とは思えない。」と話し、同期の秋田真志弁護士も「彼は正義感にあふれ、検察官になるべくしてなった人。容疑を明確に否認していることから支援することを決めた」と述べた。
教え子の吉田豪弁護士(大阪弁護士会)は「当時から『供述に頼らず客観的に裏をとる必要がある』と力説していた」と思い出を語った。
弁護士というからには法律の専門家のはずだが、随分と乱暴な主張をしている。
世の中、“到底犯罪を犯す人物とは思えない”人間が凶悪事件を起こす例などザラだ。こんなことを根拠に無罪を主張されたのでは堪ったものではない。
“正義感にあふれ”もまた同様で、そういう人物が組織の利益を最優先することも決して珍しくない。
“「供述に頼らず客観的に裏をとる必要がある」と力説していた”とは、噴飯ものだ。
裏をとらずに供述だけで、厚生労働省元局長の村木厚子さんを有罪に仕立てあげたのは、どこの誰だっけ。
もし佐賀元明ら特捜部の幹部が部下に対して、「供述に頼らず客観的に裏をとる」ことを指示していたなら、元々こうした間違いは起きなかったのだ。
前田恒彦容疑者からFDの改ざんを打ち明けられた際に、
・証拠の改ざんそれ自体が違法行為であること
・オリジナルの日付通りなら事件の構図が崩れること
を指摘し、捜査のやり直しを命じるべきだった。
改ざんが故意か過失かが問題なのではない。
部下の違法行為を組織的に隠蔽したことそのものが、裁かれるべきことなのだ。
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