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2010/12/12

反時代劇「武士の家計簿」

今年は未だ一度も映画館に行っていないことに気がつき、上映中の作品から「武士の家計簿」を観にいく。
原作は古文書から幕末の武士の暮らしを読み解いた磯田道史「武士の家計簿 『加賀藩御算用者』の幕末維新」。
時代劇といえばチャンバラ、つまりクライマックスは戦闘シーンと相場が決っているのだが、森田芳光監督のこの作品は最初から最後まで一度も刀を抜く場面のない時代劇だ。
そういう意味では「反時代劇」といえる。
考えてみれば、関が原から大阪城落城を経て幕末までの間というのは、外国との戦争も内戦も無かったわけで、戦後の私たちのような平和な時代だったわけだ。
「武士道の精神」が持て囃されていたけど、戦闘をしない武士は役立たず。
かくして刀を算盤に持ち替えた武士が活躍することとなる。

この映画では、御算用者(経理係)として加賀藩に代々仕えてきた猪山家の八代目・直之が主人公で、「算盤バカ」と陰口をたたかれながら、藩の財政建て直しのために奮闘する。
そればかりではなく、家柄だの世間体だのと見栄をはる武士の家計も火の車、この猪山家とて例外ではない。
そこで直之は家庭内の遊休資産を売り払って借入金を返済、つまりバランスシートを改善したわけだ。
同時に家族に倹約生活を行わせ、日々の家計簿をつけて家計を黒字化、やがて借金も完済する。
B/SとP/Lを改善すれば「鬼に金棒」だ。
直之は親の葬式の時にも、葬儀費用の計算をするという、考えようによっては嫌な男でもある。
そして経理の実務をお家芸として息子をしこみ、そのお陰で猪山家は明治の官僚として生き残る。
本当は戦国時代の戦闘でも、勇者や豪傑のかげで実はロジスティックスの成否が勝敗を左右していたはずで、これからはこうした面に焦点をあてた映画が出来るかも知れない。

映画としては、これといった山場もないし、感動シーンもない。見所は家族愛。
日常生活を描くというのは、実に淡々としたものだ。
着眼点や企画の面白さは評価できるが、娯楽作品としてはやや魅力に欠ける。
主役の直之を演じた堺雅人はいかにもと思えるハマリ役で好演、妻を演じる仲間由紀恵が華をそえ、母親役の松坂慶子が貫禄を示す。

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