三三独演新春特別公演(2011/1/16)
1月16日国立演芸場で行われた「月例・三三独演新春特別公演」へ。
月例ということで、国立演芸場が改装になる2月を飛ばして毎月三三の独演会が行われる。
この日も、そして3月の例会も既に前売り完売という人気だ。
早めに会場に着いたので、1階資料室の演芸資料展「萬歳・万才・漫才」を見学。
懐かしい東京の漫才師たちの写真が紹介されていたが、さすがに「並木一路・内海突破」はラジオでしか知らないが、「リーガル千太・万吉」以後はナマで観ている。「荒川のペリ住まい」のギャグを思い出す。
「トップ・ライト」「天才・秀才」「Wけんじ」「てんや・わんや」「三球・照代」、みな面白かったなぁ。
< 番 組 >
柳家三三「王子の狐」
三遊亭兼好「権助(一分)芝居」
~仲入り~
柳家三三「橋場の雪」
後で兼好が三三の人柄について、これだけ人気者になりながら誰からも好かれると語っていた。
三三の独演会におけるゲストの人選を見ていると、周囲に対する目配り気配りを感じる。
こうした人間関係に対する配慮というのは、サラリーマンの世界と同様なのだろうと思う。
三三の1席目「王子の狐」、主人公の男が最初から狐を騙すつもりでいたのか、それとも成り行きから騙すことになったのかで演者の演出が分かれるが、三三は後者のようで、料理屋へは狐が誘うという設定。
ただこの設定だと、男が誉めておだてて狐を無理やり酔わせるというこのネタの見せ場が弱くなるように思う。
ゲストの兼好「権助芝居」、又は「一分芝居」ともいう。
兼好の高座をみていると、この人の持って生まれた天分、そこに存在しているだけで面白いというような才能を感じてしまう。
この人が高座に上がってくるだけで、こちらがニコニコしてしまう。
恐らくこうしたことは、努力だけではどうにもならないだろう。
マクラで歌舞伎や能、狂言の形態物まねを披露したが、これが傑作で大笑い。
ネタに入ると、主人公の「権助」に愛嬌があって楽しめた。
チラシの挨拶で三三がいっている通り、兼好は「只者」でない。
三三の2席目「橋場の雪」、この人が最も得意とするジャンルのネタと言って良いだろう。
この演目、ネットで調べたら古くからあった人情噺「雪の瀬川」が、元の「橋場の雪」(別題「夢の瀬川」)として落し噺化され、それを「鼻の円遊」が現行のサゲに直したものらしい。
「雪の瀬川」は、現役では柳家さん喬が得意としている。
一方「橋場の雪」の方は八代目桂文楽が手を加え、「夢の酒」として磨き上げたとある。
筋が「夢の酒」とソックリなのは、そのせいなのか。「天狗裁き」にも似ている。
三三の高座は、登場人物の演じ分けが鮮やかで、季節感も十分で良い出来だったと思う。
新春早々の若手実力派のぶつかり合い、見堪えがあった。
終演後に下の写真のホワイトチョコが全員に配られた。
こういうサービス精神も、人気の秘訣か。
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