初笑い!桂三枝の爆笑特選落語会(2011/1/8昼)
この日がアタシの初席となった「初笑い!桂三枝の爆笑特選落語会」の1月8日昼の部へ、会場は有楽町朝日ホール。
周囲を見渡すと、落語ファンというよりは三枝ファンと思われる方が多かったようにお見受けした。
こうしたコアのファンというのは、芸人にとって実に有り難い存在だ。
< 番 組 >
桂三幸「立候補」
桂三若「生まれ変わり」
桂三枝「相部屋」
~仲入り~
桂三枝「ハワイの夜」
古典に比べ新作落語(創作落語)というのはハンディがある。
古典は永い期間に磨かれ、完成度の高い作品として仕上がっているネタをベースに演じるが、新作はそうした熟成期間が短い。
それと古典というのは時代遅れになる心配は少ないが、新作の場合は時代の進歩とのズレがモロに響いてくる。
下手をすると、数年前の作品でも古臭く感じられてしまう。
マクラもそうだ、
新作のマクラというのは、どうしてもコンテンポラリーな話題を振ることになるが、演者が老いてくると時代感覚と微妙にずれてくる。
古典の噺家なら「枯れる」というのがしばしば褒め言葉に使われるが、新作の場合そうはいかないようだ。
こんな前振りを長々と書いてきたのも、三枝の高座に「衰え」を感じたからだ。
年に一度位のペースで三枝の高座を観てきたが、今年はそれを強く感じた。
この人の面白さは先ずマクラにあるのだが、1席目の「相部屋」での人間ドックのマクラは、アアそうそうと首肯する程度の内容だった。
2席目のハワイのマクラも、これといって新味がない。
ネタに入って、「相部屋」は入院患者と見舞いにきた同期生との会話が始まると結末が予測されるような内容だったが、会話の間の取り方が相変わらず絶妙で、楽しめた。
2席目の「ハワイの夜」は、聴いていてダレテきた。
ウクレレを弾きながらハワイアンソングを4曲歌うサービスがあり、会場から拍手喝采だったが、あれはファンサービスの範囲。
落語自体としては、いい出来だったとは思えない。
それより何より、三枝の元気のなさが気になった。
40年以上にわたりメディアの第一線で活躍し続けてきたのだから、老いや衰えは当然ではあるが、なんか寂しい。
若手では三若が上手くなった。
シャベリの間が師匠に近づきつつあるようで、「生まれ変わり」は面白かった。
テンポが良いし、何より明るい高座に好感が持てる。
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