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2011/02/27

#12三田落語会「志ん輔・圓太郎」(2011/2/26昼)

2月26日、仏教伝道センタービル8Fで行われた#12三田落語会昼席へ、この日は「志ん輔・圓太郎二人会」という趣向。
この会は開場10分前から次回落語会チケット購入の整理券を配るのだが、その時点で既に50名ほどの行列ができていた。
<  番組  >
前座・古今亭半輔「のめる」
古今亭志ん輔「高田馬場」
橘家圓太郎「試し酒」
~仲入り~
橘家圓太郎「締め込み」
古今亭志ん輔「佐々木政談」

実力と人気が一致しないというのはどの世界でもあることで、落語家の中にもどう見ても実力が足りないにも拘わらず常にチケットが完売という人気者がいれば、実力は十分なのに人気の面では今ひとつという人がいる。
前者でいえば・・・って、これは想像にお任せしよう。
橘家圓太郎は後者に属するといって良いだろう。
ネタの数は多いし、噺も上手い。高座にも適度の華がある。いつ聴いても裏切られるようなことが無い。
しかし、いわゆる人気落語家の範疇に入っていない。
三遊亭金時なぞもこのタイプだ。
共通点は、芸風がやや地味だということだろうか。

その圓太郎の1席目「試し酒」、この演目は先代小さんが得意とし志ん朝の名演があるが、圓太郎の高座はそれらを彷彿とするような良い出来だった。
ポイントは二つ。
一つは、1升入りの大杯の空け方で、早すぎず遅すぎず、旨そうに最後の一滴まで飲み干す動作だ。
1升目と最後の5升目は一気に空けるのだが、当然飲み方には差があるのであって、そうした細かな点がきちんと表現されていた。
もう一つは、当初の頃は田舎者丸出しだった久蔵が酔うにつれ、次第に都々逸を唄ったり酒の由来の講釈をしたり、洗練された一面を見せるようになる。酔うことによって性格が変わるという所を表現するわけだ。
熱演に対し、度々客席から大きな拍手がわいていた。
2席目「締め込み」、このネタで省略できない箇所が二つある。
一つは、泥棒が揚げ板をはずして縁の下にもぐる場面で近くに糠みそ桶があり、それが手入れが悪く臭いがひどいというシーン。
この家の女房は器量よしで人当たりも良いのだが、いわゆる「糠みそくさい」タイプの女ではないわけだ。
だから帰宅した亭主が風呂敷包みをみて、直ちに女房の浮気だと決めつけるには理由があった。
もう一つは、夫婦喧嘩の時に女房が二人の馴れ初めを語る場面で、「ウンか出刃か、ウン出刃か」と迫られたと言うシーン。
惚れ合って夫婦になったという二人の痴話喧嘩という設定だ。
だから泥棒が仲裁に入った際に、あれほど感謝され、酒まで振舞われる。
圓太郎の演出は泥棒のトボケタ味がよく出ており、珍しく最後のオチまで演じて、近ごろでは出色の「締め込み」であった。

志ん輔の1席目「高田馬場」、昔の縁日の思い出をマクラに、冒頭のガマの油売りの口上で場内をわかす。
敵討ちから翌日の高田馬場の飲み屋のシーンまでテンポ良く語り、楽しませてくれた。
2席目「佐々木政談」、こちらは感心しなかった。
時間を延ばそうとしたのかマクラがやたら長く、しかも取り留めのない内容で聴いていてダレテきた。
そのモタツキぶりがネタにも移って、始めの子ども達の裁きの場面で、同じセリフを3回繰り返すなど集中力を欠いていた。
後半のお白州の場面になると持ち直したが、奉行に威厳が足りないように思えた。
やはり客席から失笑が漏れるようなマクラの失敗が、最後まで響いたような気がする。

今回の二人会は、圓太郎の判定勝ち。

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コメント

>橘家圓太郎は後者に属する
たしかに実力者だと思います。いつぞやこれもまた酒の噺「親子酒」を聴いたのですが、
泥酔した息子がたおれ込むように帰宅の挨拶をするところで場内がわっときました。

投稿: 福 | 2011/02/27 20:08

福様
寄席の短い出番でも決して漫談でお茶を濁すようなことはなく、必ずといってよいほど一席うかがう。手抜きをしない。
圓太郎のような噺家に好感を抱く所以です。
「親子酒」、眼に浮かぶようですね。

投稿: home-9(ほめ・く) | 2011/02/27 20:22

>橘家圓太郎は後者に属する

私もかねてより、そう思っておりました。
同じご意見嬉しくて、思わずコメントさせて頂きました。

三田での試し酒も秀逸でしたが、以前、浅草の夜トリで同じく試し酒を演じた際は、久蔵が5升酒を飲み干せるかどうか、観客が一体になってヤキモキし、私の隣の方などは、一緒に喉を鳴らしていました。
その晩は、私も、お酒が進んで進んで困りました。

本当に、実力のある良い師匠だと思います。

落語にも非常に造詣が深くていらっしゃるご様子、拝読して感じ入りました。

投稿: 三晴 | 2011/03/03 21:57

三晴様
コメント有難うございます。
こうして圓太郎の実力を認める方がおられるのは嬉しい限りです。
下男の久造は酒が大好きですが、次第に酔っていくうちに5升の酒を飲み干すのは容易なことではない。そこを表現するのが難しい所です。
客席をハラハラドキドキさせる芸は、やはり大したものです。
私もあの日の夜は、お酒を過ごしてしまいました。

投稿: home-9(ほめ・く) | 2011/03/03 23:04

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