「イラク戦争の根拠」は捏造だった
イギリスの新聞“ガーディアン”によると、米国がイラク戦争開戦の根拠とした大量破壊兵器の開発疑惑について、情報をもたらした亡命イラク人男性が、フセイン政権を倒すためにでっち上げたことを初めて認めたとある。
この男性に取材した“ガーディアン”紙に、以下のように伝えたものだ。
「カーブボール」の暗号名で知られる男性は、2000年3月にドイツへ亡命した。
独連邦情報局(BND)の当局者に協力を求められた際に、「サダム・フセイン大統領追放のチャンスだ」と思い、トラックを使った可動式の生物兵器施設や秘密工場の話を捏造した。
男性は化学エンジニアとみなされていた。
BNDは2002年5月以降、頻繁に男性に接触し、もし男性が協力しなければ国外にいる妊娠中の妻がドイツに戻れなくなると示唆され、聴取に応じた。
男性によれば、米当局の聴取は受けなかったとしている。
2003年2月、パウエル米国務長官(当時)が国連でイラクの兵器計画隠蔽の「証拠」を提示した際に。男性は自らでっちあげた生物兵器施設のイラストをパウエル氏が掲げていたことに衝撃を受けた。
その後ホテルに監禁されている間に、イラク戦争が始まったという。
大量破壊兵器は結局みつからず、市民を含む10万人以上が戦争の犠牲になった。
男性は戦争による犠牲は悲しいとしつつも、「誇りに思う。イラクに自由をもたらすには他に方法がなかった」と、「世紀の大ウソ」を正当化した。
昔から「亡命者の情報は信用するな」と言われている。
ドイツもアメリカも、この男の情報を信じていたわけではあるまいが、利用価値があるとふんだのだろう。
裏づけのないままイラクの兵器計画隠蔽の証拠と断定し、イラク開戦の根拠に仕立てあげたわけだ。
こんな情報操作にだまされて、我が国を含む多くの政府がイラク戦争を支持し、支援してきたことはご存知のとおり。
イラクに大量破壊兵器が存在すると断言し、イラク開戦を支持した小泉純一郎は今どのような気持ちでいるのだろう。
まあ、あの男のことだから、反省などしてないか。
かの捏造に協力した男性だが、現在の中東各国の民主化への動きをどう見ているだろう。
民主化というのは、やはりその国の国民自身の手によって行われるべきことなのだ。
この男性の「世紀の大ウソ」への言い訳は、「曳かれ者の小唄」でしかない。
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