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2011/03/31

半井小絵さんサヨナラ「大特集」

7年間、NHKニュース7の天気アナをつとめ、「午後7時28分の恋人」という異名をとっていた半井小絵さんが、この3月で番組を降板することになった。
当ブログへのアクセスキーワードで、半井小絵は常にトップ、それも断トツだった。
こちらのサイトとしてもドル箱を失うことになり、残念だ。
しかし彼女も来年は四十路、そろそろ引き際だったのだろう。

半井小絵は、中高年のオジサンたちに絶大な人気があるといわれていた。
なかには、「いつも胸元ばかりに目が行っちゃって、天気予報の方は覚えてないんだよな」などという、不届き者もいたが。
彼女の魅力の秘密は、「上品な色気」にあると思う。
オジサンたちの日常は、下品に取り囲まれている。
職場に行っても下品だらけ、家に帰っても下品な女性が目の前に座っている。
だから半井小絵のような、いかにも品が良さそうな人を見ると、ホッとして気持ちが和むのだ。
しかも、よく見るとけっこう色っぽい。
つまり半井小絵は、中高年男の精神安定剤の役割を果たしていたわけだ。

そんなオジサンたちのために、ここで半井小絵の画像を一挙公開する。
期末の大サービスです。

Nakarai11

Nakarai12

Nakarai13

Nakarai15

(いずれの画像もクリックで拡大)

東電とはその程度の会社だったのか

呆れてモノも言えないとはこのことだ。
福島第一原発での重大事故で陣頭に立って指揮すべき東電の経営トップが、なんと雲隠れしていたのだ。
3月30日の記者会見で同社の勝俣恒久会長が説明したところによれば、清水正孝社長は3月16日から約1週間にわたって過労で対策本部を離れ、東京・内幸町の本社内で休養していたというのだ。
周辺住民を避難させておきながら、社長は休養していた!
続いて29日からは入院だと。
もちろん、世間の非難から逃げた「計画入院」であることは、火を見るより明らかだ。
東電はこの間、最も重要な時期にトップが不在だったというわけだ。
無責任な企業体質だね、従業員の人たちは一所懸命に働いているんだろうけど。
事故を起こすのは当たり前だ。
こんな時こそ、最高経営者は命がけで職務にあたらにゃ。

電力会社とお付き合いのある方はご存知のとおり、電力会社は民間企業といっても中身は親方日の丸、役所のような企業文化を持っている。
大大名でもあり、それぞれの地域の経営者団体では、電力の社長がトップを務めている例が多い。
つまり財界でのリーダーでもあるわけだ。
清水社長も経団連の副会長という要職にある。
それがこのザマだ。
この間に東電の株価は約8割下落し、仮に国有化ともなれば上場は廃止、株券は紙くずになる可能性もある。
預金代わりに東電の株を持っていた人たちには、大きな痛手だ。

福島第一原発の事故を受けて、全国の電力会社では設備の総点検を行うのだろうが、設備だけでは不十分だ。
むしろ経営者について総点検が必要だ。
国民の生命と安全を守るためにも、是非やってほしい。

2011/03/30

少し肩の力を抜いてみませんか

今日も開店前のスーパーに行列ができていました。
東北関東大震災から10日経ったあたりから、棚に商品が並ぶようになってきたと思ったら、3月23日に東京都金町浄水場から暫定基準値を超える放射性物質が検出されたとの報道から、再びペットボトル水、トイレットペーパーやティッシュペーパー、即席めんなどの棚が空になってきました。
とにかく国民全体がナーバスになっているというか、浮足立っています。
日々の細かな情報に一喜一憂し、それが直ちに買い占め、買いだめに走らせてしまう。

妻は下手な俳句にこり、いくつかの句会に参加しているのですが、3,4月に予定されていた句会がいずれも中止になったと嘆いております。
大震災の被害者への思いを発句に託したかったのに、というのです。
その妻も、朝から晩までTVの報道番組をみて、原発事故による放射線や放射性物質の数値に敏感に反応しているうちに、近ごろでは体調を崩しかけています。
軽いウツではないかと心配しているところです。
原発ウツ病です。

こんな時期に不謹慎ということで外食が減り、旅行もキャンセルが相次いでいるようです。
上野公園などの都の施設では花見の宴席が禁止されているようですし、卒業や入学にかかわるイベントも中止、結婚式の延期も少ないとか。
このままでは国全体が沈んでしまうのではないかと憂慮しています。

私が新卒で入社して間もないころ、仕事でX線回折の仕事を集中的にやらされました。
分析方法の一つで、材料にX線をあてると反射するのですが、その反射角はそれぞれの化合物固有の数値を持っています。
この原理を使って、化合物(結晶)の種類や大きさ、配向性などが分かるという仕組みの装置です。
X線が外部に漏れないよう、壁も天井も鉛が張られていましたが、私たち測定者はその室内で作業するわけですから、かなりの放射線を浴びたことになります。
今は法律が厳しいですが、当時はルーズだったんです。
測定条件も現在はおそらくコンピューターで制御しているのでしょうが、私たちのころは殆んどマニュアルでした。
条件設定の一つに「感度(sensitivity)」というのがあり、これをあまり高くし過ぎると全体が把握しづらくなります。
かといって低すぎると細部を見落とし、不純物を検出できなくなる。
したがって材料に見合った適正な「感度」に設定することが、分析の精度を上げることになるわけです。

私たちも日々発せられる情報に対し鈍感ではいけないし、あまり過敏になってもいけない。
情報に対する適切な「感度」が求められるような気がするのです。
これからの被災者の方々への救済と生活再建支援は、息の長い闘いになります。
復興のために資金は、ざっと計算して、赤ちゃんからお年寄りまで平均で、国民一人当たり20万円近い金額になるでしょう。
これを被災地以外の私たちが稼ぎ出さねばならないわけです。
少し肩の力を抜いて、前向きにというのはいかがでしょうか。

2011/03/29

「当て逃げ」コメントお断り

迷惑コメント(スパムコメント)の一つに「当て逃げ( hit and run )」コメントがあります。
ブログのコメント欄(掲示板)は、サイトの管理者と訪問者とのコミュニケーション・ツールであり、双方向で意見を交換する場です。
しかしコメントを寄せる方の一部に、自分の言いたいことだけを書いておきながら、二度とそのサイトを訪れない人がいます。註)
始めからコミュニケーションする気などなく、一方通行の言いっぱなしという困った人たちです。
註) cocolog-niftyでは、サイトの訪問者をフォローできる仕組みになっているため、チェックが可能。

私が数年前にブログを始めた当時、もう一つ別のサイトを運営していました。
そこにある国会議員の不祥事をテーマにした記事を書いたことがありました。弁護士の資格を悪用した犯罪で、最高裁で刑も確定しています。
ところが、その記事を掲載してから間もなく、批判コメントが多数寄せられるようになりました。
内容は全て類似していて、その議員が拉致被害者の救援活動に携わっており、そういう人を批判するのはケシカランというのです。
こちらの記事はあくまで議員の犯罪を批判したもので、拉致問題とは無関係であり、コメントは的外れだと思いました。
それでも当方としては出来るだけ誠実に、一つ一つのコメントに回答しました。
しかし相手の大半は「当て逃げ」で、サイトに再訪することもなく、当然ですが私の回答など読まないわけです。
しかもコメントを寄せる人は日替わりで、毎日一人か二人、別の新しい人が同じような文面で投稿してきます。
文面の中で「お前はバカか」とか、「あなたは人間として最低です」といった人格攻撃が含まれているのも同一でした。
この波状攻撃が2週間ほど続き、ついにこちらも嫌気がさしてきて、そのブログを閉鎖してしまいました。
一種のトラウマみたいになり、今でも似たような現象に出会うと、ついつい身構えてしまいます。

後から調べたら、私と同様の攻撃を受けていたサイトが他にも結構あったことが分かりました。
明らかに組織的攻撃だったんですね。
最初から自分たちに不都合な主張をターゲットにして嫌がらせを繰り返し、主張を取り下げさせるか、私のようにサイトの運営を断念させることが目的だったわけです。
そうした苦い経験から、これからも「当て逃げ」コメントはお断りしたい。

ネットでは、誰もが自己の主張を行うことができます。
それだけの思いがあるのなら、自分のサイトでその思いのたけを綴ってみたらいかがでしょうか。
自分のサイトは自宅ですが、他人のサイトはよその家です。
私は他人のサイトで最初に書き込みする際は、必ず挨拶と自己紹介は欠かさないようにしています。
マナーを守って、お互い気持ちよく交流できたらと思います。

2011/03/28

桂吉弥独演会2011 vol.2(2011/3/27昼)

3月27日国立演芸場で行われた「桂吉弥独演会2011 vol.2」へ。
当日配られた「ごあいさつ」の中に、会を開くかどうか迷ったとあり、「こんな時こそ落語」というファンの声に後押しされてと書かれていた。
昼夜公演で昼の部は前売り完売だった。

<  番組  >
開口一番・桂雀五郎「みかん屋」
桂まん我「桜の宮」
桂吉弥「愛宕山」
~仲入り~
桂吉弥「地獄八景亡者戯」

吉弥の独演会は一門から2名2席、本人が3席という番組が多いが、今回は中入り後は大ネタの「地獄」(ネタ出し)があり2席となっている。

雀五郎「みかん屋」。初見でネタも初めて。語り口が淡々としていて、もう少しアクセントが欲しい。

まん我「桜の宮」。東京の落語ファンにもお馴染みの噺家だ。
ネタは東京落語では「花見の仇討」となる。
まん我の高座は、吉弥と同年ということもあってか本気モードで、熱演だった。
仇討をやる4人の人物がくっきりと描き分けされており、とりわけ薩摩のイモ侍二人の人物像が鮮やか。
本日の主役を食う勢いだった。
前回の桂しん吉もそうだったが、引き立て役に徹するというより、出演した以上は自分の良いところを見せようとする芸人魂を感じる。

吉弥の1席目「愛宕山」。
花粉症だそうで、やや辛そうな印象だったが、後の大ネタを含め全力投球だった。
東京落語の同じネタに比べ、こちらは京都の春の長閑な風景を描きながら、全体としてユッタリとした噺になっている。
弁当を担いで山登りする幇間が次第に息切れするシーンや、小判惜しさに傘を手に崖から降りるシーンが力強く演じられていて、良い出来だったと思う。

吉弥の2席目「地獄八景亡者戯」。
上方落語界ではこのネタを高座に掛けられるようになると一人前という、なんとなくそんな印象を受けている。
一席に75-90分要するという長講であるばかりでなく、登場人物が多彩であり、しかも独自のクスグリや芸を見せる場面が多いという難物であることは間違いない。
吉弥の演出は、米朝のオリジナルをかなり大胆にカットし、同時に閻魔の前で芸を披露するシーンでは、まん我と組んで、往年の夢路いとし喜味こいしコンビを物真似で再現させるなどの工夫で、最後まで客を飽きさせることなく、終演予定時間を大幅に超えての大サービスだった。

吉弥の高座スタイルというのはスマートな反面、コッテリとした上方落語に馴染んだ人には物足りなく感じると思われる。
実力も、例えばこの日の桂まん我の方が上かも知れない。
しかし芸人というのは実力だけでは計れない世界でもある。
本人が生来持っている魅力とか、ソフトな語り口が全国区に向いているとか、そうした要素も大きいのだろう。
人気に溺れることなく、現在のような精進を続けていけば、やがて上方落語を背負う一人になることが期待できると思う。

2011/03/27

二兎社「シングルマザーズ」(2011/3/26)

Singlemothers_2

3月26日、東京芸術劇場・小ホール1で行われた二兎社公演36「シングルマザーズ」を観劇。
開演に先立ち、作者の永井愛より、本公演が地震の影響で数日中断したことと、この日の公演に来場してくれた観客への謝意が表された。
永井愛の芝居にハズレ無しという安心感と、沢口靖子がお目当て(ミーハーだな)。
テーマのせいかお客の多くは若い女性で、爺さんとしては少々こっぱずかしい思いだ。

作・演出:永井愛
<  キャスト >
沢口靖子/上村直
根岸季衣/高坂燈子
枝元萌/大平初音
玄覺悠子/難波水枝
吉田栄作/小田行男

作者の永井愛によれば、劇団のスタッフの一人が母子加算復活を求める投書が新聞に掲載されたのを偶然読んだことが、作者に「書け」と囁くきっかけとなった由。
ストーリーは。
オンボロアパートの一角にシングルマザーの支援団体、“ひとりママ・ネット”の事務所が置かれ、DV離婚で12歳の息子を育てているシングルマザー・直は、事務局長。代表の燈子とともに児童扶養手当の削減を阻止する運動を行っている。
事務所にはシングルマザーたちから引切り無しに電話の相談がある。
キャバクラでアルバイトしながら子育てする水枝や、三高男と別れたのに養育費を払ってもらえない3人の子持ち初音も、そんな中で出会い運動に参加していく。
ある日、妻子が当然家を出てしまったと訴える行男がここを訪れ、直が原因は男のDVにあることを諭し、この男との奇妙な交流が始まる。
やがて国会への請願活動は、いよいよ正念場を迎えるが・・・。

私の周囲をみても、離婚の原因の大半は男性側にあり、その理由の多くは夫の浮気かDVだ(因みに、この両方ともに私には無縁だけど)。
子どもは妻の側が引き取る例が多く、シングルマザーとなるのだが、女性が子供を育てながら働くというのは経済的にも精神的にも多大な困難を伴う。
永井の脚本はそうした実態を丁寧に取材していて、リアリティがある。
同時に、シングルマザー同士の連帯から生まれた一筋の曙光を描き、彼女たちへの激励としている。
悲惨な内容を描きながら、明るい笑いと未来への希望を抱かせてくれる。
見事な脚本だ。

5人の出演者はいずれも熱演で、脇の枝元萌と玄覺悠子が特にいい味を出していた。
吉田栄作がエキセントリックな役柄を好演し、沢口靖子はひたすら可愛らしい。
ただ主役クラスでセリフがとちる場面が散見され、やや画龍点睛を欠く印象を受けたのは残念。

公演は4月末まで全国で。

2011/03/26

2週間の「買い控え」を終えて

3月11日の東北関東大震災の発生の翌日から2週間、我が家では保存食品や日用品を買い控えることを決めた。
家族に言い渡し、協力を求めた。
何しろ我が家では、買い物係つまりバイヤーは、エッヘン、この私の仕事なので、決定権は私にあるのだ。
対象品目はペットボトル水、カップめんなどの即席めん、米、トイレットペーパー、ティッシュペーパーなどである。
震災後の1週間は、パン、卵なども購入しなかった。

2週間と決めたのは、第一義的には被災者の生活やその救援活動に迷惑をかけないためだった。
過去の阪神淡路大震災などの経緯から、勝負は最初の2週間と見たのだ。
しかし今回の震災の規模と深刻度は予想をはるかに上回り、2週間後の現在も見通しが立たない状況下にある。
もう一つの理由は、石油危機(オイルショック)の時の経験からだ。
あの時もトイレットペーパーを買うのに長い行列ができ、洗剤を血相を変えて買い求めていた。
しかしピークは2週間位で、それが過ぎると少しずつ落ち着きを取り戻していた。
不思議なもので、店から商品が無いとなると買い急ぐのに、商品が棚に並ぶ頃は誰も手を出さなくなる。
消費者心理というのだろう。

即席めんは今でも品薄だが、一時期は米、パンから、うどん、スパゲッティなどの乾麺類も品薄になっていた。
幸い近所のスーパーには、冬季でも冷麦を置いている。
普通は冷やして食べるものだが、冬場なので「かけ」にして温かいまま食べた。
これが結構いけるので、1日1食は「かけ冷麦」にしていた。
買い控えで浮いたお金は、募金にまわした。

今回の大震災は、長期戦の様相を呈している。
被災者の方々は勿論、それ以外の人たちも相当の覚悟が求められることになろう。
例えば20兆円といわれる復興資金は、国民の生産や消費といった経済活動から生み出すしか方法がない。
そのためには、いつまでも縮こまっていてはダメなわけで、国全体が早く活力を取り戻さねばなるまい。
被災者の救援も復興も、新たなステージを迎えている。

2011/03/25

J亭落語会「志らく・三三・白酒 月替わり独演会」(2001/3/24)

3月24日、J亭落語会「志らく・三三・白酒 月替わり独演会」~スタートスペシャル揃い踏み公演~と、題する会に出向く。
余談だが、この会の後にそれぞれ個々に独演会を行う趣向になっていて、同じ日に前売り発売が行われた。完売にはなったが、志らくの会が一番最後にsold outという意外な結果になった。
この会は虎の門から夕方7時開演という条件からか、客席は圧倒的にサラリーマン(サラリーパースンというべきか)の姿が多い。
わたし同様に大震災以来、落語は久々という人が多数だったと思われるが、そうした期待感とある種のギコチナサが同居しているような、そんな雰囲気を感じた。

<  番組  >
前座・立川らく兵「初天神」
柳家三三「笠碁」
桃月庵白酒「禁酒番屋」
~仲入り~
立川志らく「五人廻し」

三三「笠碁」。マクラで独演会の会場入り口で切符が無い止められたエピソードを紹介していたが、確かにこの人、洋服だと誰か分からないかも知れない。
それに対して白酒の場合は、直ぐに気づかれるようだ。彼の場合はどんな格好でいても、素人には見えない。
三三は目の使い方が上手い。
このネタではそうした利点を十分に活かしていた。

白酒「禁酒番屋」。柳派の出演者に囲まれていながら、柳家のお家芸を出し物にするのだから、いい度胸だ。
何かと不謹慎の声が上がる時期に相応しくということで、このネタに入る。
酒をカステラと偽って番屋を通るときに、ついつい「ドッコイショ」。
「ただいま、ドッコイショと申したであろう。」
「いや、そんなこと申しません。ドイツの将校と。」
「よけい怪しいではないか。」
そして徳利に入った酒を、ドイツ製水カステラと言い張るというクスグリ、よく出来ていた。
今一番面白い噺家はと訊かれれば、迷わず白酒の名をあげる。

志らく「五人廻し」。このネタ、現役では師匠・談志が最高だ。
志らくの高座は、随所に演出の工夫と独自のクスグリを入れて面白く聞かせてくれたが、やはり家元には及ばない。
志らくにはセリフを言う前に、短く「エー」を入れる癖がある。
これが江戸っ子の啖呵のシーンで、リズムを微妙に壊してしまう。
談志のような、粋でイナセな江戸っ子風情に欠けてしまうのだ。
他の4人の人物像についても、やはり師匠の造形性には敵わない。
談志を知らなければ評価は変わってくるだろうが、志らくの場合、芸風からどうしても談志と比べたくなる。
そういう意味では損なのかも。

久々の外出、久々の落語会。
少しずつ日常を取り戻していく。

2011/03/24

石原慎太郎に「天罰」を!

本日、東京都知事選が公示され、4選を目指す現職の石原慎太郎も立候補した。
既報のとおり、このたびの東北関東大震災の3日後の3月14日に石原都知事は、「津波をうまく利用して、我欲をやっぱり一回洗い落とす必要がある。積年にたまった日本人の心の垢をね。やっぱり天罰だと思う。」と発言した。
後日この発言を取り消したが、これは決して石原知事が軽はずみにもらした発言ではなく、彼の信念に基づくものなのだ。
上記発言の前段で、彼はこう述べている。
「日本人のアイデンティティーは我欲になっちゃった。アメリカのアイデンティティーは自由。フランスは自由と博愛と平等だ。日本はそんなもんない。我欲だよ。物欲、金銭欲」。

震災の3日後といえば、未曽有の災害により多くの方が亡くなり、行方不明者への必死の捜査活動が行われていた。
数十万人に及ぶ被災者が被災地に避難し、全国からボランティアを始めとする救援活動が行われつつあった。
その時期に「日本はそんなもんない。我欲だよ。物欲、金銭欲。」と言い放った石原慎太郎は、人の心を持たない、鬼である。
こんな人間にこそ、天罰を下すべきだ。
石原慎太郎を四たび都知事にしてはならない。
今なお被害に苦しんでいる被災者の方々に対する、これは東京都民の務めだと思う。

エリザベス・テーラーの死去

戦後のハリウッドを代表する女優で「リズ」の愛称で知られたエリザベス・テーラーが、3月23日ロサンゼルスの入院先で死去した。
享年79歳だった。
映画好きの兄が、「スクリーン」という雑誌のグラビアから彼女の写真を切り抜いて、額に入れて部屋に飾っていた。
我が家の額はこの1枚だけだったので、ボクは物心がついた頃からずっと、毎日エリザベス・テーラーの顔をみながら生活をしていたわけだ。
とにかく美しかった。
非の打ちどころのない完璧な美女といわれ、美人の代名詞となっていた。

映画デビューは10歳で、たしか「名犬ラッシー」などに出演していた記憶がある。
芸能界では、子役は大成しないというジンクスがあるが、エリザベス・テーラーは子役から大女優になった稀有な存在だといえる。
「若草物語」や「陽のあたる場所」での輝くばかりの美しさは、今でも瞼の奥に残っている。
やがて単なる美人女優から、「ジャイアンツ」あたりから次第に演技派へと進化し、アカデミー主演女優賞を2度獲得しているのはご存じのとおり。
8回の結婚歴に見られるように、艶聞においても大女優の貫録十分だった。
でもボクの中では、いつまでも永遠の美女として存在している。

下の画像は、最盛期のエリザベス・テーラーの写真。
ご冥福を祈る。

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2011/03/22

ほうれん草は食べられるのか?(下)

昨日、近所のスーパーの野菜売り場から、ほうれん草が消えた。
茨城県産だということで、すべて撤去されてしまったようだ。
生産者はさぞかし悔しい思いをしておられるだろう。
すでに根拠のない過剰反応による風評被害も起きている。

事故の起きた福島第一原発から発生した放射性物質は、大気に浮遊したのち地表に落下し、土壌や河川を汚染し、食品の中に入り込む。
その影響は東北から北関東にかけての農作物や畜産、魚介類にまで及ぶ可能性がある。つまりこのたびの大震災の被災地と重なる。
そうなると私たちの台所を直撃するだけでなく、今回の大震災の被災地復興にも支障となることが憂慮される。
食品の安全性は大事だ。
同時に、かりに基準値を超える放射性物質を有する食品でも、工夫することにより人体に影響がなく摂取できるのであれば、私たちは安全性と被災地への支援・復興との間で、どこかで折り合いをつけねばならない局面に遭遇するかもしれない。
そうならないことを祈るが、心づもりはしておいた方が良いかもと考え、この記事を書いている。

さて、ここで検査データについて私が疑問に感じているのは、検体の採取方法だ。
試験や検査をやったことのある人はお気づきだろうが、サンプリングが的確に行われているかが、検査結果以上に大きな問題になることがある。
抜き取りが適正に行われているか、採取したサンプルが収穫物の山(母集団)を代表するといえるかどうかだ。
例えば、A市のほうれん草の検体から5000ベクレルの放射性ヨウ素が検出されたとしよう。
これがA市のほうれん草全体の平均値なのか、それともこの検体だけの異常値(高いor低い)なのかが分からないということだ。

検体の前処理はどのように行っているのか、検査にいたる保管方法はどうしているのか、それも分からない。
厚労省は葉物野菜の場合、水洗いしてから検査するよう指導しているとしているが、水洗いの方法や程度によっても数値は大きく変わるはずだ。
そうした測定条件が詳らかでないので、数値だけでは判断がつきかねるのだ。
今回発表された野菜の試験結果は、いずれも露地もののようだ。
ハウス栽培のように上部が覆われている場合は、影響は少ないだろう。

時間経緯という課題もある。
定点観測で日にちを変えて試験し、放射性物質がこれから増えてゆくのか減ってゆくのか、これによっても安全性の評価が変わってくるだろう。
検体の経時変化のデータも重要だ。
とりわけ放射性ヨウ素は半減期が短いので、日にちをおけば数値は急速に下がる可能性がある。
農作物の場合、収穫して集荷され倉庫に保管される。
そこから出荷されて卸し市場でセリにかけられ、小売店にわたる。
産直などを除けば、収穫された野菜が私たちの口にはいるまで、一定の日数がかかっている。
収穫時に基準値を超えていても、食卓に上がるころは基準値以下に収まっていることは十分有り得るわけだ。

さて、表題の「ほうれん草は食べられるのか?」に対する答えだが、現在までに私たちに公表されている試験データだけでは、
・データが少な過ぎる
・検体の採取方法や前処理条件が不明
・時間経緯の試験データや検体の経時変化のデータがない
などの不備があり、結論は出せない。
ネットでは、ほうれん草は「安全」「食べても大丈夫」などと断定している学者もいるが、私には早計に思われる。

ただ一つだけ言えることは、我が家ではほうれん草は「おひたし」にしてしか食べない。
先ず流水で十分水洗いして、ほうれん草1把をおよそ2リットルの熱湯でゆで上げ、再度流水で水洗いしてから食卓に乗せている。
この工程で表面に付着した放射性物質の大部分は除去されるので、基準値をオーバーしたほうれん草でも問題なく食べられる筈だ。
ほうれん草を水洗いもせず、生でそのまま食べる人はあまりいない。
そういう意味では一律に出荷停止したり、廃棄したりするのはとても勿体ないと思うのだ。
これから仮にキャベツやレタスで基準値をオーバーするようなケースが生じても、表面の葉を数枚はいで良く水洗いすれば、安全に食すことができるだろう。
関係機関がこうすれば安全に食べられるということを試験データでもって立証すれば、消費者はさらに安心できるのではなかろうか。

しかし水道水や原乳についてはそうした前処理はできないので、厄介だ。
ヨウ素131なら半減期が短いので、一定期間過ぎれば危険はないと見られるが、セシウム137が基準値を超えているようなケースでは、飲用を控えるのが賢明だろう。
特に乳幼児や学校給食に対しては、使用を避けるべきだ。

繰り返しになるが、政府や地方自治体は放射性物質に関する詳細な検査データと、放射性物質の危険性とその対処方法について正確に公表することが肝要だ。
これからは、放射性物質をCTスキャンと比較するなどというバカな事はせぬことだ。
過剰反応や風評被害を防ぐためには、先ずは正確な情報開示が求められる。

2011/03/21

ほうれん草は食べられるのか?(上)

政府は3月19日、福島県内の原乳と茨城県内のホウレンソウ6検体から、食品衛生法の暫定基準値を超える放射性ヨウ素が検出されたと発表した。
暫定基準値は放射性物質にさらされた食品の出荷制限などを検討するためのもので、東日本大震災に伴う福島第1原発の事故を受けて政府が設定したもので、放射性ヨウ素131が原乳で1キログラムあたり300ベクレル、ホウレンソウなどの葉もの野菜で1キログラムあたり2000ベクレルとなっている。
厚労省によると、福島県川俣町の1農家で16~18日に採取された原乳からヨウ素が基準値の3~5倍にあたる1キログラムあたり932~1510ベクレルを検出した。
ホウレンソウは、茨城県高萩市、日立市、常陸太田市、大子町、東海村、ひたちなか市の各自治体の1検体ずつ計6検体から、基準値の3~7倍にあたる1キログラムあたり6100~1万5020ベクレルが検出された。
いずれも放射性セシウム137に関しては、基準を下回ったとみられる。
記者会見で枝野幸男官房長官は、今回の検出と同量の放射性物質のホウレンソウと牛乳を1年間とった場合の被ばく線量に関し、牛乳がCTスキャン1回分、ホウレンソウが5分の1程度と説明。「ただちに皆さんの健康に影響を及ぼす数値ではない。冷静な対応をお願いしたい」と呼びかけた。

また茨城県の発表によれば、19日に15地点で採取した露地野菜3品目と、20日に県が県北2地点で採取した生乳を分析した結果、ホウレンソウから790~500ベクレルの放射性セシウムが、また5700~3200ベクレルの放射性ヨウ素が検出されたとしている。
この検査結果では、セシウムについても基準値の500ベクレルをわずかに上回っている。
菜の花の1種のかき菜からは2000ベクレルの放射性ヨウ素が検出されたが、ネギと生乳は規制値を下回った。
茨城県は同日、農業団体に対し、ホウレンソウとかき菜の出荷自粛と自主回収を要請した。

福島第一原発の重大事故は完全に収束しておらず、今なお放射線を出し続けている。
したがって食品への影響はむしろこれから現れることになるだろうし、安全性は重大な関心事だ。
今回の検査結果についてどう評価するかだが、政府が言うようにCTスキャンと比較するというのは、かなり乱暴なやり方だ。
食べるものとレントゲン検査では、まるで次元が異なるし、こういう説明ではかえって消費者に不信感を抱かせる恐れさえある。
ネットでも安全性について様々な意見が寄せられているが、どうも原発に対する見解、すなわち反対派であるか容認派であるかによって、評価にバイアスがかかっているような印象を受けている。

ここで、いくつかおさらいを。
先ずは摂取の基準値の根拠だが、放射性物質を含む牛乳や乳製品を1日1リットル、水を1日2リットル、葉もの野菜を1日100グラムなどについて、それぞれすべてを1年間毎日飲んだり食べたりし続けた時に、発がんなど健康に害が出る放射線量を計算したものだ。
ほうれん草を1年間毎日食べる人はまずいないだろうが、水は常に口に入るものだ。
数値だけでなく、食品のアイテムによっても安全性に対する評価は異なってくるということになろう。
いずれにせよ、短期間の摂取ならば問題はなさそうだ。

次に放射性物質の中でもヨウ素131は8日たつと放射線の量が半分になるが(半減期という)、セシウム137は、放射線の量が半分になるのに30年かかり、土壌に長くとどまって農産物に影響を与える。
半減期を超えると放射線の量は急激に減るので、ヨウ素の場合は日にちを置けば安全性は高まる。
その点、セシウムは始末に悪いが、はんめん体内に入っても多くは排出されるという利点もある。
今のところ、基準値を大幅にオーバーしているのはヨウ素が多い。

放射性物質はどのようにして食品に入り込むのかだが、ヨウ素とセシウムは風に乗って運ばれ、ホウレンソウなど葉の大きいものほど付きやすい。
キャベツの場合は、外側には付くが中には入りにくい。
放射性物質は土の表層にとどまりやすく、短期的には大根などの根菜類への影響は少ないとみられている。
原乳からの検出は、乳牛が放射性物質を含んだ餌や飲み水から摂取したのではないかと推測されている。

つぎに摂取した人の年齢の影響だが、子どもは大人より放射線の影響を受けやすい。
大人では体内に入ったヨウ素の約7%が甲状腺にたまるが、子どもは約20%が甲状腺にたまってしまう。
いずれも残りは24時間以内に排出されてしまう。
子どもさんにはより注意が肝心だということであり、私ら年寄りは少しぐらい摂取しても大して影響しないということ。
どうせこの先、そう永くはないし(涙)。

(続く)

2011/03/19

国民がイライラするから「イラ菅」

菅直人首相はカンシャク持ちで、直ぐにイライラして周囲を怒鳴りつけるところから「イラ菅」の異名がある。
どうやら最近では、国民の側が菅首相にイライラしているから「イラ菅」のようだ。
菅直人首相は19日午後、自民党の谷垣禎一総裁に電話し、副総理兼東日本大震災復興担当相での入閣を要請した。
谷垣氏は「応じられない」と断った。
谷垣氏も首相にと言われりゃ喜んで受けるだろうが、副総理じゃ断るだろう。
菅氏の狙いは明らかで、政権維持のための大連立を策したものだ。
内閣支持率がジリ貧になるなかで、このままでは政権がもたないことは明白になってきた。
ここは一丁、震災復興増税で自民党と歩調を合わせ、政権延命を狙ったというわけだ。

まさに大震災のドサクサに小賢しいマネを。
こういう所が国民感情を逆なでするのだ。
今は最高指揮官として国の先頭に立って、被災者の救援と原発の放射能汚染の防止のために命をかけねばならないのに、そんな気概はまったく窺えない。
国民への説明は枝野官房長官任せで、たまに顔を見せても短いメッセージを残して質問を受け付けず、逃げるようにして会見場を去って行く。
そんな菅総理の姿に、私たちのイライラはますます募るばかりだ。

2011/03/18

”グスコーブドリ”にはなれないけど・・・

本日の記事に書こうと予定していたら、朝日新聞の「天声人語」に先を越されてしまった。
それは宮沢賢治「グスコーブドリの伝記」で、福島第一原発の冷却に携わる人々の行動をTVで見て思い出したのだ。
子どもの頃に読んだ方も多いと思うが、ストーリーは・・・。
【イーハトーブの森に木こりの子どもとして生まれたグスコーブドリは、冷害による一家の離散や火山噴火、干魃などの苦難を経験して育つ。
やがて彼はイーハトーブ火山局の技師となり、火山噴火被害の軽減や人工降雨を利用した施肥などを実現させる。
冷害を克服するために火山島を爆発させることになり、ただし最後の1人だけは島に残らねばならない。
グスコーブドリはその最後の1人の役を買って出て、身を挺して冷害の再発を止める。】

10歳ぐらいの時にこの童話を読んで感激し、私もいずれグスコーブドリのようになることを夢見ていた。
現実はそうは行かず、大して世の中のためになることもなく今日に至っている。
放射能の恐怖とたたかいながら原発の現場で奮闘している人々や、現地に入ってボランティア活動をしている人々には、ただただ頭が下がる。
そうした積極的な支援を行える人というのは、やはり限られる。
それならいわば消極的支援、これだったら国民誰でもができるのではあるまいか。
募金や物資を贈るのもその一つだ。
それだけではない。
都市部の人間がガソリンや灯油など燃料や、保存食品や日用品を当分のあいだ買い控えるのも、やはり消極的支援といえるだろう。
そんなに眼の色を変えてカップめんを漁らなくても、他に食べるものはいくらでもある筈だ。

昨日のTVでも、都市部のガソリンスタンドで通常の5倍も給油があったと報じられていたが、もし買いだめだとしたら人として恥ずかしいと思わないのだろうか。
震災をチャンスとばかり為替や株で利益を上げた人たちも同様だ。
ニセ募金などの詐欺行為に対しては、極刑にしたい位の気持ちだ。
政権や東電に、言いたいことは山ほどある。
今は国民の1人として、出来ることからやってゆくことが先決だと思う。
グスコーブドリのようにはなれないけれど。

2011/03/16

「欲しがりません克つまでは」

いったい私たち周辺に、何が起きてるんだろう。
この都市部でおきている日用品の買占め、買いだめは異常としか言いようがない。
先ず水がなくなり、次いでカップめん、まあそこまでは理解できる。
それがパン、納豆、袋ラーメン、牛乳、乳製品、冷凍食品類に及び、普段あまり客が来ていなかった米屋さんまでが配達で飛び回っている。
トイレットペーパー、ディッシュから紙オムツ、みな売り場の棚はガラガラで、果ては洗剤まで売り切れている始末。
いずれの商品も供給能力は十分なのだ。
ただ東北地方関東大震災の被災地に優先的に商品をまわしている影響と、一部の工場で操業が停止しているとか、燃料不足で輸送が間に合わないために、一時的に商品がショートしているだけだ。
この状態が改善されるまで、せいぜい1-2週間の我慢だ。

だから我々被災地以外に住んでいる人間は、むしろ買い控えしよう。
その間、被災者の皆さんのために、多少の不便には耐えていこう。
戦時中のスローガンをもじって「欲しがりません克つまでは」を合言葉に、どうだろうか。
オリジナルの「勝つ」を「克つ」に代えたのは、被害を克服するという願いをこめたものだ。
困った時はお互い様。
もう一つ、これも戦中のキャッチコピー「足らぬ足らぬは工夫が足らぬ」を追加しても良い。

2011/03/15

石原都知事「大震災は天罰」「津波で洗い落とせ」

共同通信によれば、東京都の石原慎太郎知事は3月14日、東日本関東大震災への国民の対応について「我欲で縛られた政治もポピュリズムでやっている。それを一気に押し流す。津波をうまく利用して、我欲をやっぱり一回洗い落とす必要がある。積年にたまった日本人の心のあかをね。やっぱり天罰だと思う。被災者の方々はかわいそうですよ」と述べた。
石原知事はまた一連の発言の前に持論を展開して、「日本人のアイデンティティーは我欲になっちゃった。アメリカのアイデンティティーは自由。フランスは自由と博愛と平等だ。日本はそんなもんない。我欲だよ。物欲、金銭欲」と語っていた。

石原慎太郎によれば、日本人は我欲のかたまりで、だから天罰が下ったということだ。
津波で我欲を洗い流せとまで発言している。
世に中には、言っていいことと悪いことがある。
石原慎太郎という男は政治家として最悪であるばかりでなく、人間的にも最低である。
こんな男を東京都民は絶対に知事に再選してはならない。
それこそ日本の恥だ。

2011/03/14

東電に責任はない?

当ブログ2007年7月27日付の記事“これは「風評被害」じゃなくて「東電被害」”で、電力会社の隠蔽体質について、次のように書いています。
「先般、発電所のデータ改ざんや事故隠しなどの電力会社の不正問題で、経済産業省が行政処分を発表しました。
明らかになった不正は、電力12社で一万件を超しています。」
「原発で事故が起きていて、それが外部に公表されていないということは、かなり前から分かっていたんですね。
監督する原子力安全・保安院も、所管官庁である経済産業省も、このことは百も承知だったでしょう。
ただ経済産業省という役所は、徹底した産業寄りで、特に電力と自動車産業への肩入れは異常です。
消費者や地域住民のことなどお構い無しという体質ですから、見て見ぬフリをしてきた、これが真相だと思います。」

この記事について先般、「名無し」さんから次のようなコメントが寄せられました。
【原子力は国策でしょ?
なんで電力会社ばっかり責めるの?
民間への説明・理解活動は、
本来、原子力安全・保安院
が100%するべきで、
強制的にやらされてる電力会社を
責めるのはお門違い!
電力会社は、今すぐにでも、
原子力を手放したいんだよ。
ぜーんぶ、国に従ってやってるだけ!】
当方の記事は原発そのものを否定した訳ではなく、電力会社の隠蔽体質を批判したものであり、コメントそのものは的外れです。
文面から電力企業の関係者かと推察するのですが、今回の福島原発の事故と照らし合わせると傾聴すべき意見かなとも思えるのです。

東電のHPでは、原発施設の地震対策を見ると、「厳重な安全対策がとられています。このことにより、周辺に影響を及ぼすような大きな事故を未然に防ぐことが出来るものと考えており」、「考えられる最大の地震も考慮して設計」などと書かれていて、十分な安全対策が講じられていることが強調されています。
また津波対策に関しても、「過去最大の津波を上回る、地震学的に想定される最大級の津波を数値シミュレーションにより評価」により「重要施設の安全性を確認」としていました。
しかし今回の福島第1原発の1号機と3号機の事故は、設置されていた非常用発電機がいずれも作動しなかったことが原因のようです。
そのために原子炉に冷却水を送ることができず、重大な事故を招いたのです。
「発電所の中の発電機が作動しなかった」なんて悪い冗談としか思えませんが、いずれにしろ東京電力側の大失態です。

本来なら直ちに経営責任を取らされる事柄でしょうが、連日連夜、原発事故の弁明を行っているのは菅首相や枝野官房長官です。
東電は政府首脳を「広報担当」にしているわけで、こんな私企業は他にありません。
して見ると「名無し」さんの、「ぜーんぶ、国に従ってやってるだけ!」というのは、電力会社の本音なのかも知れませんね。

2011/03/13

大震災を「政治ショー」に利用するな

今は何より生存者の救助と被災者の救援活動を優先すべきで、あまり批判的なことは控えたいと思っていたが、これだけは黙っていられない。
菅直人首相は3月12日朝に東電福島第一原発を訪れ、1時間近く視察した。
12日午後に行われた与野党党首会談では、原発に関し「危機的な状況にはならない」と強調していた。
会談中に官邸側は「会談後、首相と官房長官の会見を行う」と発表した。
ところが第一原発の1号機で爆発が起きたのは、その会談の最中だったのだ。
その結果、総理の記者会見はキャンセルするはめになった。

菅首相はこの時期に、一体なんのために原発視察を強行したのだろうか。
首相が来訪となれば、現場がその対応に追われることは眼に見えている。
その後の事故を引き起こす原因の一つとなった可能性だってある。
どうも辞任か解散か追い詰められていた菅首相の、人気回復を狙ったスタンドプレイとしか映らない。
事故に対する対応が後手後手にまわり、枝野幸男官房長官が会見で爆発事故を認めたのは、事故発生後5時間近く過ぎてからだ。
菅首相が「危機的な状況にはならない」と大見得を切ったツケだ。

原発事故に対して経済産業省原子力安全・保安院は当初、午後5時15分から記者会見を開くとしていた。しかし、開始直前になって延期。
結局、会見が始まったのは午後6時からだ。
しかも詳細な情報はほとんどない。
「状況をもっと詳しく」「原子炉は安全なのか」といった質問に保安院の中村幸一郎審議官は、「確認しているところ」「情報を収集します」と、視線を泳がせながらバカのひとつ覚えのように繰り返すだけ。
放射能漏れや、被爆の被害が明らかになっても事実と認めようとせず、ウヤムヤな答弁に終始した。
記者から「説明がなければ住民も安心できない」と詰め寄られたのは当然である。
この会見を見ていた視聴者の多くは、こんな人たちに原子力の安全を任せておけるのか不安を覚えたのではなかろうか。
東電幹部の説明もまた然りだ。

今朝になって、福島第一原発の3号機で、冷却水を炉心に入れていた高圧注水系が停止したことが明らかになった。
圧力が上昇し損傷することを防ぐため、蒸気逃し弁の開放作業を始めたとある。
枝野官房長官は相変わらず心配要らないと言明していたが、1号機と同様の道をたどる可能性もある。
最も懸念されるのは、情報が正確に開示されているのかどうかだ。
なにせこの3号機は、1978年に炉内の核分裂が一時的に制御不能となる臨界事故を起こしたにもかかわらず、事故を隠蔽した前科がある。
被災者や周辺住民にこれ以上の不安を与えないためには、情報の正確な開示が肝要なのだ。

2011/03/12

皆様、ご無事だったでしょうか

3月11日午後2時46分に起きた「東北地方太平洋沖地震」、先ず被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
避難されておられる方々には、一刻も早く救援の手が差し伸べられるよう祈念いたします。
夜明けと共に、次第に惨状が明らかになりつつあるようですが、今はただこれ以上被害が拡がらぬよう祈るのみです。

ここ東京でも一部を除きあまり大きな被害は無かったようですが、地震発生時はいつ建物が崩れるかという恐怖の中で震えておりました。
70年近い人生の中で最も恐い思いをしたわけで、今でもユラユラと揺られ続けているような気分に陥っています。
電器のカサが揺れているところを見ると、実際に余震が続いているのでしょう。
幸い家の中では棚のものが落ちてきた程度で済み、家族の無事も確認できて一安心しております。
昨晩は、交通機関がストップして帰宅できなくなった娘夫婦の家に、孫のお守りのために泊まりこみ、早朝帰宅しました。

近所のパチンコ屋の店員にうかがったのですが、地震発生時に8割の人は直ちに店外に避難していったそうです。
残りの2割のお客は、出玉の交換を求めてカウンターに並んでいたとか。
店内の装飾の一部が落下している中で揺れに耐えながら、それでも辛抱強く景品に換えるために並ぶ人々がいる。
とっさの場合に人間が取る行動というのは、不可解ですね。

2011/03/11

【菅首相】違法献金の疑いで、辞任か、解散か

朝日新聞の報道によれば、菅直人首相の資金管理団体が、在日韓国人系金融機関の元理事から計104万円の献金を受けていたことが分かった。
献金を受けていたのは菅首相の資金管理団体「草志会」(東京都武蔵野市)で、同団体の政治資金収支報告書によると、旧横浜商銀信用組合(現中央商銀信用組合)の元理事の横浜市内の男性(58)から民主党代表代行だった06年9月に100万円、09年3月に2万円、同8月に1万円、政権交代後の副総理兼国家戦略担当相だった同11月に1万円の計104万円の献金を受け取っていたということである。
なおこの男性は07年6月まで旧横浜商銀信組の非常勤理事を長年務めた。商業登記簿などによると、東京都内のパチンコ店などを経営する会社の代表取締役を務めている。
いずれも、献金者名の欄には「通名」である日本名が記載され、職業は「会社役員」とされていた。
朝日新聞の取材に、複数の商銀関係者や親族は、元理事が韓国籍だと話しているとある。
この件で朝日は菅総理周辺及び献金を行った男性に取材を申し入れているが、現在までに回答は無いとのこと。

政治資金規正法は、日本の政治や選挙への外国の関与や影響を未然に防ぐため、外国人からの個人献金や外国人が支配する企業からの政治献金を禁じている。故意や重い過失があった場合は、3年以下の禁錮か50万円以下の罰金の罰則がある。
外国人からの献金をめぐっては、前原誠司前外相の政治団体に対して京都市内の在日韓国人女性から献金があったことが判明。6日に辞任したばかりだ。
事実関係がはっきりすれば、菅首相は総理の座にとどまることは困難であり、辞任か解散かの決断を迫られることになる。

外国人からの献金は違法であるのは間違いないが、今までも個人献金で偽名が使われたり、本人に無断で勝手に名前を使ったり、ひどい場合は故人の名前で献金されていた例など、多数あった。
もし国会議員全員ついて、外国人関連からの献金の有無を厳密に調べたら、引っかかる議員がかなりいるのではなかろうか。
又その気になれば、外国国籍の人を使って偽名や通名で献金させ、後で違法だといって告発することにより、ターゲットにした議員を失脚させることも可能だろう。
かといって、献金してくれる人全員の身元調査を行うとか、献金する場合は戸籍謄本を提出させる分けにもいくまい。
今回の菅首相や前原前外相の件は別にしても、現状の政治資金規正法について改正を検討する必要があるのかも知れない。

2011/03/09

鈴本演芸場3月上席・昼(2011/3/8)

3月8日、鈴本演芸場上席昼の部へ。
若手真打がトリをとり、実力者が脇を固めるという顔付け。
そのせいか、平日の昼だというのに7分程度の入り。
当方の一番のお目当ては、もちろん喬太郎。

<  番組  >
前座・林家けい木「寿限無」
三遊亭司「湯屋番」
すず風 にゃん子・金魚「漫才」
橘家文左衛門「手紙無筆」
柳家喬太郎「初音の鼓」
三増紋之助「曲独楽」
入船亭扇遊「蜘蛛駕籠」
柳家さん生「ぞろぞろ」
林家二楽「紙切り」
三遊亭歌之介「かあちゃんのあんか」
~仲入り~
鏡味仙三郎社中「太神楽曲芸」
三遊亭金馬「孝行糖」
三遊亭白鳥「ナースコール」
三遊亭小円歌「三味線漫談」
三遊亭歌奴「試し酒」

鈴本の昼の部の開始は12時半、ちょうど昼飯時になるので1時ちょっと過ぎまでは客席がガサゴソする。
文左衛門「手紙無筆」、1時に上がったので前半は落ち着かない雰囲気だったが、途中から会場を馴らしていた。軽く演じているようで無筆の兄いの仕種がかわいらしく、十分楽しませてくれた。

喬太郎「初音の鼓」、下手の袖の席から上手で出を待つ喬太郎を見ていたら一瞬目が合い、今日は古典だと思ってワクワクしてきた。
果たせるかな「初音の鼓」、物語は。
骨董が趣味の殿様のところへ、出入りの道具屋・吉武衛が訪れ、「初音の鼓」なるものを売りつけようとする。
「この初音の鼓、鼓を打てば、その音を聞いた者に狐が乗り移り、コンと鳴くという曰く付き」と触れこんで、殿様が鼓を叩くと吉武衛はコンと鳴く。
吉武衛から頼まれた中間の三太夫も一鳴き一両でコンと鳴く。
感心した殿様は百両でその鼓を買おうと言い出し、うまくいったと思った吉武衛に・・・。
民話風のストーリーだが、登場人物の描き方が鮮やかで、場内に適度な緊張感が流れる。
喬太郎を知らないお客が多かったようだが、会場の空気を一気に変えた手腕はさすがだ。
普段の落語会などではチケットが取れない喬太郎だが、こんな日にこんなネタを聴けると、とても儲かった気分になれる。

扇遊「蜘蛛駕籠」、短縮版ながら最後のオチまできちんと演じてくれた。
上手いなぁこの人は。
実力と安定感(市馬とは違う意味で)では、いま現役ではトップクラスだろう。

中トリの歌之介「かあちゃんのあんか」、完成度が高く、何度聴いても飽きない。
少年時代の貧乏話、苦労話がこの人の風貌と語り口に合い、リアリティを高めている。
師匠の「中沢家」に迫るか。

白鳥「ナースコール」、度々高座にかけているが、どうもこういう上滑りしたような新作は面白味を感じない。

トリの歌奴「試し酒」、柄も声も大きく明るい高座に好感が持てる。
先日の圓太郎の高座が眼に残っているせいか、未だ未だ荒削りとの印象を受けたが、「華」があって将来性を感じる。
注目すべき若手の一人だ。

この他、さん生「ぞろぞろ」がニコニコと楽しい高座を、金馬「孝行糖」は久々で板つきだったが元気な姿を見せてくれた。

2011/03/06

米高官が「沖縄人は怠惰で“ごまかし”と“ゆすり”の名人」

共同通信は6日、アメリカ国務省メア日本部長(前駐沖縄総領事)が昨年12月3日、東京と沖縄に研修に向かうワシントンのアメリカン大の学生ら14人に対し国務省内で行った講義で、日本人は合意重視の和の文化を「ゆすりの手段に使う」「沖縄の人は怠惰」などと発言していたと報じている。
講義を聞いた複数の学生がメモを基に作成した「発言録」によると、メア日本部長の発言要旨は次の通り。

【海兵隊8千人をグアムに移すが、軍事的プレゼンス(存在)は維持し、地域の安全を保障、抑止力を提供する。
(米軍再編の)ロードマップのもとで日本は移転費を払う。日本の民主党政権は実施を遅らせているが、私は現行案が実施されると確信している。
日本政府は沖縄の知事に対して「もしお金が欲しいならサインしろ」と言う必要がある。ほかに海兵隊を持っていく場所はない。
日本の文化は合意に基づく和の文化だ。合意形成は日本文化において重要だ。
しかし、彼らは合意と言うが、ここで言う合意とはゆすりで、日本人は合意文化をゆすりの手段に使う。
合意を追い求めるふりをし、できるだけ多くの金を得ようとする。
沖縄の人は日本政府に対するごまかしとゆすりの名人だ。
沖縄の主産業は観光だ。農業もあり、ゴーヤー(ニガウリ)も栽培しているが、他県の栽培量の方が多い。沖縄の人は怠惰で栽培できないからだ。
日本に行ったら本音と建前について気を付けるように。言葉と本当の考えが違うということだ。私が沖縄にいたとき、「普天間飛行場は特別に危険ではない」と言ったところ、沖縄の人は私のオフィスの前で抗議をした。
沖縄の人はいつも普天間飛行場は世界で最も危険な基地だと言うが、彼らは、それが本当でないと知っている。(住宅地に近い)福岡空港や伊丹空港だって同じように危険だ。
日本の政治家はいつも本音と建前を使う。沖縄の政治家は日本政府との交渉では合意しても沖縄に帰ると合意していないと言う。
日本文化はあまりにも本音と建前を重視するので、駐日米国大使や担当者は真実を言うことによって批判され続けている。】

メア氏は、日本人は本音と建前を使い分けるとしているが、この発言こそ彼らの本音というべきもので、公式の席上では口が裂けても言わないだろう。
その点では米国だって似たようなものだ。
メア氏の言いたいことは明確で、
・沖縄の米軍基地は危険ではない。
・沖縄県民は怠け者で、ごまかしとゆすりの名人だ。
・県内への移転に反対しているのも金欲しさの“ゆすり”だ。
・日本政府は沖縄県知事に、金が欲しけりゃサインしろと言え。
こうした本音をきいていると、米国から見れば日本は従属国であり、未だに沖縄を植民地としか見ていないことが分かる。
沖縄県民に対する蔑視もひどい。
こうした米国の本音には、私たち日本も本音で立ち向かう必要があるというものだ。

閑話休題。
GHQ最高司令官であったダグラス・マッカーサーが、1951年5月5日に米上院軍事外交委員会において、
・科学、美術、宗教、文化などの発展の上からみて、アングロ・サクソン民族が45歳の壮年に達しているとすれば、ドイツ人もそれとほぼ同年齢である。
・.しかし、日本人はまだ生徒の時代で、まだ12歳の少年である。
という内容の発言をした。
私は、この報道を知った周囲の大人たちが激怒していたことを覚えている。
それまでマッカーサーといえば日本で一番偉い人とみられ、尊敬を集めていたが、この発言でいっぺんに評価が激変してしまった。
前後の文脈からみると、必ずしも日本人を蔑視したものではなかった面もあるようだが、少なくとも“上から目線”での発言だったといえる。

60年経っても、アメリカの日本に対する見方はあまり変わっていないようだ。

現代狂言V (2011/3/5千秋楽)

3月5日、国立能楽堂で行われた「現代狂言V」を鑑賞。
狂言師の野村万蔵とタレントの南原清隆が中心となって、狂言とコントが結婚したらというコンセプトで始まったこの企画、今年で5周年を迎える。
全国各地の公演を終え、この日が楽日。
狂言というのは約600年前に生まれたそうだが、今見ても十分に面白いし笑える。
してみると笑いのツボというのは数百年、いやもっと永いのかも知れないが、あまり変わっていないと言える。

<  演目  >
一、 古典狂言 「六地蔵」
ある田舎者が新しく建てたお堂に納める六地蔵を求めて都にやってくる。
仏像を彫ってくれる「仏師」を探すのだが、「すっぱ」が仏師になりすまし仲間3人と共に田舎者を騙し、代金を取ろうとする。
3人で六地蔵に扮し、田舎者も出来栄えに感心するのだが・・・。
二、現代狂言 「五獣拳」
「六地蔵」の現代狂言版で、こちらはデンマークからきた空手家が「五獣拳」という動物の彫り物を求めて来日するという設定。
詐欺師が「伝説の彫師」になりすまし、仲間3人を集めて動物の像に扮するのだが・・・。
三、 現代狂言新作 「ドラゴンキャッスル」
作・演出:南原清隆
ニートで就職活動中の浦島太郎が、面接の時に出会った亀に連れられて、海の中のドラゴンキャッスルを訪れる。
ここでは全ての魚がコンピューターで管理されていて・・・。

<  出演者  >
南原清隆
佐藤弘道 / ドロンズ石本 / 大野泰広
森一弥・平子悟(エネルギー) / 石井康太・中村豪(やるせなす)
ニコラス・ペタス / 山田まりや
野村扇丞/高部恭史
野村万蔵
<  演奏  >
和田啓/打楽器
稲葉明徳/管楽器

先ず感じたことは、いつもの国立能楽堂とは客層が全く異なるなぁということだった。
コンサート会場のような雰囲気で、小さな子どもさんも目立った。
恐らく初めて狂言を観る人も多かったと思われ、新規のファン開拓には良い機会だっただろう。
最初の狂言「六地蔵」には南原が出ていたが、なかなかサマになっていた。
生身の人間が6体の地蔵になりすますのに、3人だけでやろうとする。
こうしたチグハグが、しばしば狂言の題材になる。
照明も背景も舞台装置もなしで、ただセリフと動きの面白さだけで笑わせる。
落語と似ているが、演者が立って動くということと、複数の演者によって演じられる点が異なる。
二番目の狂言「五獣拳」は前者の改作といったところ。
落語ファンなら、立川談笑のネタを想像して貰えば分かりやすいかも。
やはりオリジナルの古典の方が面白いという点でも、落語と共通。
三番目の狂言「ドラゴンキャッスル」は南原の新作。
公演パンフレットによれば「巨大な情報を利用するつもりが振り回される現代人。・・・得る答えは何もかも明快なようでいて、手ごたえがない。それは海に漂う姿に似ているのかもしれません。」とあるが、そうした作者の意図がどこまで伝わったのか大いに疑問ではある。
それより劇中での各出演者によるパフォーマンスや、フィナーレへの盛り上がりに観客は満足していたのではなかろうか。

出演者は萬狂言の野村万蔵らと南原清隆を始めとするお笑いタレント、それに体操のお兄さんである佐藤弘道、格闘家のニコラス・ペタスに紅一点・山田まりやが加わるという混成チーム。
それにしてはアンサンブルはしっかりとしていて、お互いが個性を発揮しながら息の合ったところをみせていた。

2011/03/05

【大相撲】八百長と「君が代」

八百長事件でゆれる相撲協会、調査を進めれば進めるほど八百長の該当者は増え続ける。
八百長が絶対にダメということになれば、大相撲をやめるしかなかろう。
相撲協会の最大のタニマチはNHKだ。
何しろNHKの放映権料は一場所あたり4億7500万円にのぼり、NHKなくしては大相撲は成り立たない。
海老沢氏のように、NHK会長から横審委員長に天下れるのもそのためだ。
NHKあっての相撲協会であり、この両者の関係は切っても切れない間柄だ。

NHKは大相撲の八百長を知らなかったのだろうか。いや、そんなことはなかろう。
多くの相撲ファンがうすうす感づいていたくらいだから、協会内部に深く入り込んでいたNHKが気が付かぬ筈はない。
でも、そんな事を告発して誰の得になる。
見て見ぬふりをしていれば、みんながハッピーなのだ。
大相撲はしょせん「見世物」であり、本場所は「興行」だ。
観客もそれを承知で楽しんでいるとしたら、敢えて波風を立てる必要もないわけだ。

では、そんな興行を国技だの公益法人だのとしていたのは何故か。
これはあくまで推測であるが、千秋楽の「君が代」にあるのではなかろうか。
1999年の国歌国旗法の制定以後、プロスポーツのイヴェントなどで「君が代」が頻繁に演奏されるようになったが、かつては学校行事などでも「君が代」が歌われることがなかった。
オリンピックで金メダルを取れば演奏はされるが、それも4年に1回だ。
その中にあって、昔から大相撲だけは千秋楽ともなると必ず「国歌斉唱」という場内アナウンスと共に「君が代」が演奏されてきた。これがNHKを通じて全国に放送される。
「君が代」が相撲の歌だと思っていた人がいたという、冗談まであった位だ。
「君が代」を国歌としてなんとか定着させたかった政府、とりわけ協会を所管する文科省にとって、大相撲は特別な存在だったのだと思う。
国技も公益法人も天皇賜杯も総理大臣杯も、全て「君が代」普及活動への恩賞として与えられたものだったと考えれば、八百長の存在などはどうでもいいことになる。

プロレスが八百長であることは誰もが知っている。
でもプロレスラーやプロレスファンに「プロレスって八百長だろ」と訊(き)けば、怒りだす。
こういうことは「きくだけ野暮」、「鳴く鳥ゃチャボ」なのだ。

2011/03/03

【入試不正】犯人捜しだけで良いのか

連日メディアを騒がしている「入試投稿」は、ほぼ人物が特定できたと報じられている。
容疑者の逮捕が近いのだろうが、試験のカンニングというのは昔からあり、今回の携帯とウェブサイトを使った不正についても手段が新手ではあるが、果たして刑事事件にするような問題だろうか。
説諭と入学取り消し、再発防止で十分ではなかろうか。
第一、携帯電話を頻繁に操作していたとすれば、試験官はいったい何をしていたのだろうか。
不正を監視し、未然に防ぐという役割を負っていなかったことに過失があったと言わざるを得ない。

今回は大学の一般入試における不正だが、それ以外の入試に関しては不正が全く存在せず、公正が担保されているだろうか。
そうは思えない。
現在、私立大学に一般入試以外の入試方法で入学する学生は44%にのぼり、何らの学力審査を受けないで大学生になる学生は20万人を超すと言われる。
つまり、推薦入試やAO入試などの非学力入試が半数近く占めているということになる。
そうした入試による合否判定はいわば匙加減であり、不公正な選抜が行われても表沙汰になることは滅多にない。
一般入試の不正がこれほど大きな社会問題となるのであれば、非学力入試についても大学側は合否の基準を明らかにし、公正が担保されていることを世間に公にすべきだろう。
一般入試の受験者との間に不公平が生じないよう、全ての受験者に対してかつての「大検」のような試験を実施し、一定の学力が確保されている学生のみ入学できるようにするなどの措置が必要だ。

今回の入試不正をきっかけにして、大学の入試方法全体の見直しが行われることを望みたい。

2011/03/02

ジェーン・ラッセルの死去

米国の女優ジェーン・ラッセルが2月28日に呼吸不全のため米カリフォルニア州サンタマリアの自宅で死去した。享年89歳だった。
ジェーン・ラッセルといえば、よほどのオールド映画ファンでないとご存知ないかも知れないが、1940-1950年代にかけてハリウッドのセックスシンボルとして活躍した女優として記憶されている。
とりわけ下の画像にある映画「ならず者」のスチール写真が有名で、日本で公開された当時は私は小学生だったが、この写真だけは鮮明に憶えている。
なにせ早熟でしたからね。
未だに早熟。

Photo_2

もっとも映画は駄作だったようで、兄から聞いたところによると印象に残ったのは「ジェーン・ラッセルのおっぱいだけ」だった由。
ともかく当時の日本男性の眼を、胸の谷間にくぎ付けにした功績は大だった。
彼女の映画を最初にみたのは「腰抜け二丁拳銃」で、これはひっくり返って笑いましたね。
グラマー女優ジェーン・ラッセルと喜劇役者ボブ・ホープとのからみが、実に愉快だった。
映画を知らない方でも、主題歌「ボタンとリボン」の「♪指輪と飾りとバッテンボー♪」のフレーズは憶えているかも。

「紳士は金髪がお好き」は成人してからリバイバル上映で観た。
マリリン・モンロウ主演で有名な映画だが、撮影当時はジェーン・ラッセルの方が格上で、クレジットでも彼女の名前が先に出ている。
二人の曲線美の競艶が印象的だった。
戦後のなにも娯楽のなかった時代、多くの男性ファンに希望の光を灯したジェーン・ラッセルさん、ご冥福をお祈りする。

阪神ファンは高浜選手を笑顔で送り出そう

3月1日の話題から二つ。
一つはプロ野球から、阪神の高浜卓也内野手(21)がロッテへ移籍することが決った。
ロッテからFAで阪神に移籍した小林宏投手(32)の補償選手として、ロッテが獲得したものだ。
現在のルールではFA選手の旧所属球団が補償として選手を求める場合、移籍先の球団がプロテクトする28人以外から1人を獲得できることになっている。
ロッテが指名したということは、高浜選手はそのプロテクトから外されていたことになる。
阪神サイドからは有望な選手を「獲られた」だの「もったいない」だの、坂井オーナーの「ルールとはいえ非常に残念」だのという発言が聞こえてきているが、そんな大事な選手だったらプロテクトしていれば良かったのだ。
プロテクトしていなかったということは、トレードは止むを得ないという判断だったからだろう。
他球団の実績のある選手を獲得していくという、今のタイガースのチーム作りのツケが回ってきた。

高浜選手は神奈川・横浜高から2008年ドラ1で阪神に入団したが、故障もあり、昨年までの3年間で1軍出場はなかった。
今シーズンはキャンプからオープン戦にかけて好成績を残し、活躍が期待されていたが、現在のチームの内野陣からすれば先発出場できる可能性は極めて低い。
一方ロッテは、西岡が米大リーグ・ツインズに移籍し、内野強化を求めていた。石川球団運営本部長は「高浜選手は若くて将来性がある素晴らしい選手」とコメントを出した。
なにせ日本一の球団から高評価され、請われて移籍するのだ。
高浜選手には喜び勇んで行ってほしい。
そして我々阪神ファンは笑顔で送り出そう。

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