「原発事故」もう一つの戦犯
福島第一原発の重大事故について、東電に対する批判が集中しているが、事故の背景には長年にわたる原子力行政が横たわっている。
この政策を長期にわたり推し進めてきたのは自民党政権であるが、今は下野しているのを幸いに一切口をつぐんでいるせいか、あまり表に出てきていない。
原発を推進するという政策のもとに、原子力安全委員会ならぬ「原子力不安全委員会」や、原子力保安院ならぬ「原子力不安院」などが活動をしてきたわけだ。
その学問的裏付けを提供してきたのは、いわゆる原子力「御用学者」たちだ。
大阪芸術大学芸術学部の純丘曜彰教授が、ビジネスコミュニティ「INSIGT NOW!」に、「東電のカネに汚染した東大に騙されるな!」との記事を掲載している。
同記事で純丘教授は、「なんと5億円! 寄付講座だけでも、これほどの大金が、東京電力から東京大学大学院の工学研究科にジャブジャブと流し込まれている。」「東工大や慶応義塾大学など、全国のあちこちの大学の大学院に、東京電力は現ナマをばらまいている」と指摘している。
電力会社や原子力プラントメーカーなどの「原子力ビジネスマネー」が、大学の原子力研究者たちを「御用化」しているのだ。
だから彼らのTV解説には、あまり公正・中立を期待しない方が良い。
今回の原発事故に関して、世間の矢面に立たされていないが、実はもう一つ戦犯がある。
それは地震予知の関係する団体とその研究者たちだ。
私など、あれだけ観測網が敷かれている天気予報でさえ当たらないのに、地震が予知できる筈がないと思っている。
これがどうも常識らしいのだ。
一時期は予知に対する幻想が広まっていたようだが、阪神淡路大震災で決定的に破たんし、今では地震予知ができるなどと本気で信じている学者は皆無だそうだ。
「地震予知連絡会」という組織があるのはご存知だろうが、そのHPを見ても今回の大震災についてなんのメッセージも出していない。
良心の呵責など存在しないのだろうか。
それどころか大震災後の5月20日に予定されている「190回地震予知連絡会」議題としてあげられているのは、
「1..地殻活動モニタリングに関する検討
◦地殻活動の概況
◦プレート境界の固着状態とその変化
◦その他の地殻活動等
2.重点検討課題の検討
◦プレート境界の固着と滑り -わかっていること、まだわからないこと-
3.次回の重点検討課題に関する趣旨説明
地殻変動モニタリング(仮題)
4.その他」
となっている。
この時期に、何だそりゃという内容でビックリしてしまう。
予知連として、今回の事態を予測できなかった不明を恥じるという姿勢がまったく見られない。
地震調査研究には、毎年100億円近くの予算がつぎ込まれている。
もちろん、我々の税金からだ。
予知ができないことを知りながら、できるフリをして予算を取っているとしたら、それは詐欺に等しい。
彼らの罪はそれだけではない。
原発を建設する際のプラントの構造計算には、震度(と津波)の想定が欠かせない。
現に東電のHPでは、原発の安全性についてこう書いている。
「地震学的に想定される最大級の津波を数値シミュレーションにより評価し、重要施設の安全性を確認している。」
その安全性へのお墨付きを与えていたのは、他ならぬ地震予知「御用学者」たちなのだ。
むろん、彼らにも原子力マネーが流れているであろうことは容易に想像がつく。
もしかしたら、彼らこそ本当のA級戦犯なのかも知れない。
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目に見えることは人間の力で改善できるが、目に見えないことを解決しなければ、真の復興にはならない。そして、それ以上の惨劇を繰返さなければならなくなる。
私たちが、今、しなければいけないことは、『救世主スバル元首様』に、救いを求めることだ。
もう、時間がない!!
http://www.kyuseishu.com/tanuma-tu-koku.html
投稿: hikaru | 2011/04/03 18:03